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ギリシア国債のCDSに注意

先週、延び延びになっていたギリシアの第二次支援についてついに欧州財務相会合で合に達しました。今後無事に各国の承認を得ることができれば晴れて第二次支援の実施、という流れになります。しかし、まだまだほかの問題もたくさんあります。とくに支援がほぼ決まった今気をつけなければならないのはギリシア国債のCDSの決済発生でしょう。
今回の支援の条件となっている債務率の引き下げには、大幅な債務のヘアカットを行うことになります。PSI交渉は長いことこのヘアカット率について話し合いを続けてきたのですが、おそらくはこのまま行くと75%近いカット率となることでしょう。また、ギリシアはCACも発動する予定です。CACとはざっくり言って全債務者のうち2/3の合意があれば全債務者の債権をヘアカットできる、という法律で、今回はこのCACが発動される確率が高く(というよりもほぼ確定と言ってもいいでしょう)、このため国債の利周りが急上昇しています(現在1年もので700%を超えています)。
このCACが発動されれば債権者の不随意の債務カット(=デフォルトの発生)ととらえられ、国際スワップデリバティブ協会の見解ではCDSの決済が発生することになります。市場ではほぼこのCDS決済発生を織り込み始めており、ギリシア国債のCDSスプレッドはここ数日で過去の最大値のさらに二倍近い水準まで上昇しています。
問題はこのCDSの残高です。もしこの支払金額が莫大なものだとすると金融機関や保険会社の連鎖倒産が発生する危険性があります。その仕組みは簡単なもので、まず巨額のギリシア国債にかけられたCDSを支払えなくなった銀行Aが倒産→銀行AにかけられたCDS決済発生→銀行AのCDSを売っていた銀行Bが、銀行AのCDS支払い不能で破綻→銀行Cが・・・という具合に連鎖破綻が発生する危険性があるのです。
リーマンブラザーズが破綻したときにはこのCDSによる連鎖倒産はさほど大きく取り上げられませんでした。しかしこれはアメリカ政府が先手を打ってリーマンブラザーズのCDS決済が発生したときに支払い義務を負っていたAIGを救済したからに他なりません。もしあのとき世論に押されて「一私企業でしかないAIG」を見捨てていたら、今の世界経済はずいぶん変わっていたはずです。
今回問題なのは、ユーロの元締めであるECBが、国としてのギリシアすらも単体での救済を拒んだ、ということにあります。もしCDSの問題が表面化したときに、恐らくECBは私企業の救済はしないでしょう。そうなると、今度は各国が自国内の危ない銀行の救済をしていく、ということになるのですが、ポルトガル、イタリア、スペインには果たしてそんな余裕があるのでしょうか。
この先数ヶ月程度の期間のどこかに、この危険な地雷が埋まっている可能性があります。何もなければそれに越したことはないのですが、もしこの懸念が具体化した場合には、直近の株式市場の上昇幅が大きい分、より急で大きな下落が発生する危険があります。トレンドは上昇方向に動いており、買いのポジションをたてやすい環境にありますが、必ずロスカットのストップは置いておいた方がいいでしょう。」
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