九州大学が1日、次世代燃料電池産学連携研究センターを設立した。同大学伊都キャンパスで10月末の完成を目指し、拠点となる研究施設の建設工事が進んでいる。
燃料電池は、化学エネルギーを直接、電気エネルギーに変えることから、化石燃料を燃やして発電するシステムに比べエネルギー変換効率が高い。最も基本的な仕組みは、水素と酸素から水ができる反応を利用するもので、騒音や振動もなく、さらに二酸化炭素(CO2)をはじめ環境に悪影響を与える排出物も少ないといったさまざまな長所を持つ。
電気と共に出る熱も利用する家庭用のコジェネレーション発電機器から、高効率火力発電システム、自動車の動力源、さらには携帯機器用の電源など、幅広い用途が期待されている。地球温暖化対策のみならず、昨今のエネルギー事情を踏まえて、期待が急速に高まっている。
セラミックスを用いる固体酸化物形の燃料電池の場合、九州地域には関連企業も多い。新しいセンターは、水素エネルギー国際研究センター、未来化学創造センター、稲盛フロンティア研究センター、工学研究院、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所などで生み出された研究成果も活用し、耐久性・信頼性や効率のさらなる向上など、実用に狙いを定めた研究開発活動を企業と連携して進める。
センター設立は、昨年6月、経済産業省イノベーション拠点立地支援事業(「技術の橋渡し拠点」整備事業)に提案した「次世代燃料電池産学連携研究施設」が採択されたことで、実現した。中心研究者である佐々木一成・工学研究院主幹教授は「セラミックスは日本のお家芸。そのセラミックスで作る次世代型の燃料電池は、最も効率良く電気が作れる技術。日本が世界をリードできるように、基礎研究から実用化までをワンストップでサポートできる研究拠点にしたい」と語っている。
