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ユーロ急落、ついに100円割れ目前…10年半ぶりの安値を

★ ユーロ急落、ついに100円割れ目前…10年半ぶりの安値をつける


 12月29日の外国為替市場は、欧州危機への懸念が再燃してユーロが円やドルなどの主要通貨に対して急落した。

 ロンドン市場で円相場は一時、1ユーロ=100円06銭前後まで上昇し、2001年6月以来、約10年半ぶりの円高・ユーロ安水準をつけた。

 その前の東京市場では午後5時、前日(午後5時)比1円14銭円高・ユーロ安の1ユーロ=100円47~51銭で大方の取引を終えた。ユーロは対ドルでも約
1年3か月ぶりのドル高・ユーロ安水準となる1ユーロ=1・28ドル台で取引されている。

 年末で薄商いの中、イタリアの10年物国債の流通利回りが危険水準とされる年7%を超えたことなどを背景に大口のユーロ売りが出て、円相場が上昇した。

(2011年12月30日01時34分  読売)

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★世界の時事解説 / ユーロ危機は2012年の上半期が正念場となる    

                                                       2011年12月29日

  来年の国際経済は今年よりも大変な1年間になろう。通貨ユーロが崩壊するかもしれないし、EU(欧州連合)の次に中国に金融危機が波及するかもしれない。
ユーロ危機は、米英の金融界がドルを防衛するためにユーロの国債市場を揺さぶり、危機を引き起こしていることに起因している。英国政府は、すでにユーロ崩壊に対する準備を進めているという。ユーロが崩壊したら、欧州大陸は経済・社会の全面で大混乱に陥り、大陸から英国に資金や人々の逃避がなだれ込むので、英国は欧州に対して国境を閉鎖し、ポンドの高騰回避策に追われるという。

Treasury plans for euro failure

 ドル防衛を目的とした、他の基軸通貨候補に対する次なる攻撃として、中国の金融バブル崩壊を利用した中国潰しが待っている。米英のヘッジファンドはすでに今秋、軸足を欧州から中国に移動したといわれている。

Hedge fund alarm bells are ringing over China

 ドルが復活するには、米国自身の経済的な再建が必要だ。EUや中国を潰しても、代わりの基軸通貨が消えてドル崩壊が先送りされるだけで、ドルの覇権維持のために世界経済全体を潰していくという、タコが自分の足を食って延命を試みるという俗説の構図であり、ドルの脆弱化に対する根本的な解決策になっていない。

 米経済を立て直すのは年々難しくなっている。米議会が政府の財政赤字を急減する合意に達せられないことは、今夏以来の展開で明らかになった。来年以降も財政赤字が増加し、ドルや米国債が持つ潜在的な信用力の低下が続く。米経済は、金融界だけが自走式の債券金融システムによって延命しているが、実体経済は悪く、実質的な失業が増えて中産階級の没落が進んだ結果、米国民の48%が、貧困もしくは準貧困の生活を強いられている。米国の子供の57%が貧困家庭に育っている。

Census shows 1 in 2 people are poor or low-income

 米金融の多くは不動産を担保にしているが、米国の住宅価格は少なくとも来年いっぱい下落傾向が続く。米経済を立て直せない以上、米国は、投機筋の力でユーロや中国を次々に潰していく金融戦争によってしか、ドルや米国債、米国の覇権体制を維持できなくなっている。



★ 米英の覇権を支えるプロパガンダの優越性

 しかし、多極化の流れを抑止して米英覇権の持続を画策する勢力は、金融界とプロパガンダの分野を掌握している。米金融界には、ポールソン元財務長官や、元連銀議長のグリーンスパンとボルカーなど、米金融界の力を抑止して多極化に貢献する人々もいて、暗闘状態だ。

 だがもう一つのプロパガンダの分野は、マスコミでも学界でも、米英覇権を維持しようとする勢力の力が、今も圧倒的だ。この分野は、マスコミや学界、教育界など、人々の価値観や歴史観、善悪観を形成し、操作する部門だ。

最高権威の学術誌を米英が握っているので、「歴史的事実」も、彼らにとって曲げたり延ばしたりできる存在だ。サダムフセインやアルカイダ、金正日などの「悪」のボリュームアップや、アウンサン・スーチーやダライラマなど、人権侵害と戦う英雄作りも得意技だ。

 金融界では、米英の金融兵器であるヘッジファンドやタックスヘイブンを、トービン税の新設や高頻度取引に対する規制などによって抑止していく動きがある。EUは、ユーロ危機を一段落させることができたら、投機筋の道具である高頻度取引を規制するとともに、金融取引を監視できるトービン税を導入していくだろう。

 しかし、金融兵器を潰せても、プロパガンダ兵器を潰すことは非常に困難だ。プロパガンダは国民国家と不可分だからだ。国家のプロパガンダ技能は、18世紀末の国民国家の創設とともに始まり、覇権国となった英国が特にそれを研ぎ澄まし、英国だけが善玉を維持し、ドイツなど敵対国は悪玉におとしめるという、歴史を定着する技能を獲得し、これが今に至るまで、英国を世界最強の国にしている。銀行家とジャーナリストが英国を支えていることになる。

 中国がいくら金持ちになっても、プロパガンダ技能では英米の足元にも及ばない。人々に「わが国のマスコミはプロパガンダだ」と気づかれている限り、まるで素人である。ドルや米国債が崩壊しても、その後の多極化の過程で、米英覇権を復活しようとする勢力が、あらゆるプロパガンダ機能を使って、事態を逆行ないし遅延させようとするだろう。


 米国では共和党に隠れ多極主義が強い。大金持ちに対する減税策の停止に頑強に反対し、米国の国力低下の大きな原因となっている貧富格差の拡大と中産階級の没落を引き起こしたのは共和党だ。米議会で財政赤字を削減するための二大政党間の談合を不可能にしているのも共和党だ(民主党にも責任はあるが)。茶会派など、最近の反政府勢力にも共和党勢が強い。共和党のおかげで、米国は内側から崩壊している。最後の仕上げは、今年、孤立主義者のロン・ポールが共和党の大統領候
補になることだろう。


★ いずれ危機に立たされる米英の覇権体制

 米英のプロパガンダ支配の力と、自走する債券金融システムの力が残っている限り、ドルと米国債と米国の政治・経済的覇権は延命しよう。

 ユーロがつぶれると、独仏だけでなく、EUに巨額の投資をしてきた米英の金融界も多大な打撃を被る。米英金融界は何とか延命しているだけだから、ユーロが崩壊すると米英も金融危機になる。その崩壊の中で、再びリーマン倒産直後のように「多極化やむなし」という声が世界的に強まり、覇権の不可逆的な転換が起こるかもしれない。そこで転換が起きなければ、世界は長期にわたって不況になる。

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 米英覇権の危機は前回、1970年代にも起きた。しかし前回は85年の金融自由化とプラザ合意(1985年)などによって、米英覇権の体制を、それまでの軍事主導の冷戦型から、債券システムを活用した金融主導型に転換した。新体制は、米英が再強化されるが世界も儲かるシステムだったので、世界の上層部全体が納得して合意に至ることができ、米英覇権が維持された。多極化(ヤルタ体制)を阻止していた冷戦を終わらせられるので、多極主義者も反対せず、談合どおり89年に冷戦が終わり、ソ連(ロシア)はG7に入った。

 金融覇権という新システムが用意された前回と異なり、今回の覇権危機は、代替案がない。いや、代替案はG20や「BRIC+EU+米国」といった多極型のシステムだ。世界は、米英覇権を延命するための世界不況が延々と続くか、もしくは早期に多極化するかの分岐点のあたりをうろうろしている。


 ゴールドマンサックスのローチは「ユーロ崩壊の影響で中国がつぶれるなら、その前にインドがつぶれる」と予測している。経常収支が中国は黒字だが、インドは赤字だ。今年秋以降、中国よりインドの経済成長の鈍化の方が激しい。

人民元は高値だがルピーは急落した。中国は過剰投資で不動産バブルが崩壊すると言われるが、中国の不動産投資は、固定資産投資全体の20%以下、GDP比だと10以下であり、不動産バブルが崩壊しても中国経済はつぶれないとローチは言う。彼は「EUは政治的に絶対ユーロをつぶさない決意があるので、ユーロは崩壊しにくい。ユーロが崩壊しなければ、中国もインドも経済のハードランディングにならない」とも書いている。

Why India is Riskier than China

 ユーロ危機は来年の上半期が正念場だろう。ユーロが崩壊するならその期間だろう。1カ国でもユーロから離脱したら崩壊になる。その間に米英投機筋がユーロをつぶせなければ、危機が中国に転移していく可能性は低い。焦点は米金融界に方に戻っていくだろう。
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