政府・日銀は円高の進行阻止へ総合的な対策を打ち出す検討に入った。野田佳彦財務相は3日の衆院財務金融委員会で「政策パッケージとして、総力を挙げる」と述べた。産業の空洞化を防ぐための対策費を2011年度第3次補正予算に計上する。日銀は回復してきた景気が再び悪化するリスクが高まったと判断。4日から2日間の日程で開く金融政策決定会合で、資産買い取りの原資となる基金の増額を軸に、追加の金融緩和策を検討する。
3日の東京外国為替市場で円相場は一時1ドル=76円台後半まで上昇し、東京市場での最高値を更新した。東京株式市場も全面安。日経平均株価は大幅続落し、終値は前日比207円45銭(2.11%)安い9637円14銭と6月27日以来、約1カ月ぶりの安値を付けた。
こうした状況を踏まえ、野田財務相は衆院で「産業の空洞化という視点を持つ」と発言し、円高の悪影響を防ぐ対策を策定する考えを表明した。高付加価値製品の生産・研究開発を支える補助制度などで国内の雇用維持を目指す。9月末までに具体策を詰め、第3次補正予算に計上する。
政府は急激な円高が進んだ場合は為替市場で円売り・ドル買い介入を実施することも視野に入れている。
日銀は追加の金融緩和策を検討する。資産の買い取りや固定金利オペ(公開市場操作)の原資となる基金(総額40兆円)のうち、資産の買い取り部分を現在の10兆円から5兆~10兆円拡大する案が有力だ。国債や社債といった買い取り対象を広げる案もある。潤沢な資金供給で企業や家計の心理の悪化を回避する。