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アメリカのデッドシーリング問題


アメリカでデッドシーリング問題が佳境を迎えています。アメリカでは国債を発行できる上限(国が借金できる上限の金額)が決まっています。この「それ以上国債を発行できない上限」のことをデッドシーリングと呼ぶのですが、アメリカは5月にこのデッドシーリングに到達していました。実はデッドシーリング自体が問題なのではなくて、過去にさかのぼればこの状態に陥ったのは今回が初めてではないことがわかるのですが、過去の事例では議会が債務上限の引き上げをすぐに議決するということがわかっていたため、あまり大きな問題とはなっていませんでした。
今回のデッドシーリングが過去のそれと違うのは、議会が債務上限の引き上げを渋っている、という状況にあります。これ以上借金を増やさずに一旦デフォルトさせたほうが良いという論調すら出てきており、世論も債務引き上げへの反対が賛成の二倍と、50%近くの人が債務引き上げに反対している状態です。確かにアメリカの債務と赤字の状況は一般家庭に置き換えると完全に破綻している状況ではあるのですが、そもそも国の借金と家計の借金では基本的な考え方がまったく異なります。同じような考え方を当てはめて、債務上限を引き上げないと何が起こるかを想像せずに、世論はただ感覚で反対している状態ですが、議会もこの世論に押される形で、債務上限の引き上げについての合意を渋っています。
5月の時点からすでに連邦政府は国が保有する不動産を売り、公務員年金の積立金を取り崩して対応しています。また、財務省が保有していた金まで売却を始めました。金の売却はドルの価値の裏づけを損ねることにもなりかねませんし(とはいえ現代は「金に裏打ちされた紙幣」という時代でもないのですが)、もしこの問題が長引けば公務員への給与支払いが滞ってしまう可能性もあります。もちろんそれを防ぐための一律給与カット、大規模公務員リストラ(=失業率の悪化)という選択も出てこないとは限りません。さらに、連邦政府が抱えている各方面(発行済み債権の利子、工事費、調査費など)への支払いが停止=デフォルトを起こす可能性も十分に出てきます。それ以外にも多方面に大きな影響が出てくることは避けられないと考えられ、影響範囲の広さから、まさに何が起こるかわからない状態と言えるでしょう。
これを回避する策は債務上限の引き上げを議決することなのですが、アメリカ国民には信用力の低い層にお金を貸し、家屋を抵当に返済可能上限を超えた借り入れを行って次々に債務不良を起こしたサブプライム問題の記憶が色濃く残っています。現在も続く就業率の低迷の発端となったのはこのサブプライム問題でもありますし、国民全体が結果的に「借り入れをして延命をする」という対策をとることに対して反対している状況なのです。しかしタイムリミットは目前に迫った8月2日です。財務長官はこの日まではなんとか先にあげた不動産と金の売却、公務員年金の取り崩しで持ちこたえられると発表していますが、ここから先のことはわかりません。今確実にわかっているのは一部再建への利子の支払いが滞ることですが、国家がそんな状態に陥れば市場は一気に信用収縮を起こしてサブプライムを超える危機が発生することは目に見えています。延命を選択するのか、世論に押されてデフォルトを起こすのか、選択の余地はないはずなのですが、アメリカ議会は揺れています。
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