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欧州ストレステスト


先週は先々週末のアメリカ雇用統計の結果を受けた調整の一週間となりました。雇用情勢の悪化も問題ですが、それよりもアメリカのデッドシーリングに伴う各種の危険性と、依然として改善する気配を見せないギリシアの状況のほうが株式市場にとっては危険要素でしょう。
テクニカル的な面も日経平均は一ヶ月かけた大きな上昇の後だったため、ファンダメンタルズの材料と共に下落方向への圧力が強く働いていたと考えられます。
そんな中、先週金曜日には欧州銀行のストレステスト結果が発表されました。自己資本比率5%をボーダーラインとする試験で、審査対象90行のうち、8行が不合格、という結果になりました。このほかに16行ほどぎりぎりで合格、となった銀行があったようです。市場では20行が不合格となることが予測されていて、実際に発表された結果を見ての反応は「試験内容が甘い」というものでした。
今回の試験では国債について償還期限まで保持する予定のものは額面通りで評価していい、ということになっています。これは前回の試験でも同様で、批判を浴びたポイントでした。つまり、国債を1,000億円保持している銀行があり、このうち90%は償還期限まで保持する、と銀行が申請すれば900億円は毀損しないものとしてカウントされるという試験なのです。しかも償還期限前に処分する分の国債も最悪のギリシアですら額面の75%で処理できるという想定のため、この例の銀行では975億円+現金保持分の資金があると判定されます。
しかし実際のところ、現在の国債はギリシアはもちろんアイルランドやポルトガルのものも額面の半額程度で取引されている状況であり、上記の例で、もし早急に資金が必要になって国債を即時売却した場合、およそ500億円+現金保持分の資金しか用意できないということになります。これはテストの想定と比べて475億円も足りません。確かに国債は償還期限を迎えれば国が責任を持って額面を保証する債券です。銀行も嘘をついて償還期限まで持つといっているわけではないでしょう。しかしそれをどうしても手放さなければならないような事態が発生した場合には、ここで書いたような大幅な毀損をしてでも売らなければなりません。
ではこのような状態になってまで銀行が資金を用意しなければならない状況とはどのようなものでしょうか。それは預金者が資金を引き出すときです。もし今欧州でこの状況が広く一般に知られ、状況の危険性についての理解が広がったとすると、預金者はこぞって銀行から資金を引き出しに走るでしょう。こうなったとき、銀行は預金口座の払い戻しに最優先で対応しなければなりません。
こうなると手元の国債を売却せざるを得ず、その評価額は本来の額面の半分にしかなりません。本当の意味でストレステストに合格という判断ができる銀行はこの状態になっても乗り越えられる銀行で、この意味で言うと危険な銀行の数はもっと多いはずです。
そして恐ろしいのは、預金者の預金引き出しはすでに現実の動きになりつつあるということです。昨年一年間だけでギリシアの預金の引き出し額は全預金額の1割を超え、今年に入ってからもこれを上回る水準となっています。引き出された預金は逃避先として金の購入に充てられていると考えられ、先週末にNYの金取引市場は市場最高値をつけました。
このようにユーロ圏の危機は銀行の連鎖倒産に向かいつつあり、決して楽観できる状態ではありません。一方でアメリカのデッドシーリング問題も深刻な状況になってきており、議会が強硬な姿勢を崩さない限りはアメリカ発の金融危機というシナリオも十分に考えられます。来週はこのアメリカの状況について詳しく書きたいと思います。
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