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借り物
太陽光・食糧備蓄など、「災害に強い住宅」の契約堅調
自家発電装置を備えたマンション、免震機能を持った物件……。東日本大震災の影響で、「災害に強い」住宅に消費者の注目が集まっている。住宅販売が総じて苦戦するなかでも、こうした住宅は堅調だ。電力不足から電力消費の少ない住宅も脚光を浴びている。かまどが付いて、災害時に炊き出しのできるマンション、地中熱を利用した住宅も登場した。
■見学者が倍増
オリックス不動産が東京都武蔵野市内に建設中の分譲マンション「サンクタス武蔵野関前」。モデルルームの来場者が震災前の2倍に増えた。来年1月に完成予定で、屋上に太陽光パネルを設置する。それぞれの住居にパネルを割り当て、自家用に消費できる。このため日中は停電時も電気を使え、オプションで家庭用蓄電池を付ければ夜間でも使うことができる。貯湯タンクがあり、断水時も水が使える。
遠方からの来場者も目立つという。千葉県浦安市に住む30代の男性は大震災による液状化の被害を受け、住んでいるマンションの水道やガスが止まった。「太陽光発電などの非常時対応の設備に魅力を感じた」ため、購入を決めた。
住友不動産が分譲する高層マンション「シティタワーズ豊洲」(東京都江東区)は非常用の自家発電装置や食料などの備蓄倉庫を備えている。「震災前は防災に関する問い合わせはほとんどなかったが、最近は増えてきた」(同社)
停電しても自家発電で非常用エレベーターが動く。マンションは停電すると電動式の給水ポンプが止まって断水することもあるが、ここは自家発電でポンプを動かし受水槽の水を各戸に供給。警備員も24時間常駐する。
震災後に入居した男性は「臨海部だが液状化被害がなかったうえ、備蓄倉庫など防災対策が充実しているところにひかれた」と話す。
不動産経済研究所(東京・新宿)によると、4月の首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県)のマンション発売戸数は営業自粛や販売時期の延期が響き、前年同月比で27.3%減。「震災直後は消費者心理の冷え込みで買い控えがみられた」(みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリスト)。こうした中でも、防災機能の充実したマンションの人気は高い。
■地中熱で節電
中堅不動産会社のナイス(横浜市)が横浜市内で分譲しているマンション「ヨコハマオールパークス」は免震構造が特徴だ。さらに、敷地内にある公園のベンチは腰掛け板を外すと炊き出し用のかまどになる。5月の大型連休から特に販売が増えており、販売センターの来場者に占める契約者の割合は従来1割程度だったが、最近は3割以上に上昇している。
野村不動産が千葉市内に建設中の分譲マンション「プラウドシティ稲毛海岸」は見学者が2割近く増えた。非常用の井戸と浄水装置があり、敷地のマンホールの蓋を外せば仮設トイレを置ける。
一方、節電を売りにした住宅も人気を集める。注文住宅の古郡ホーム(埼玉県深谷市)は地中熱を使った住宅を販売している。地中熱は年間の温度がほぼ一定で、外気との差を利用して屋内の温度を上げ下げする。5月に開いた工事現場見学会。「通常なら4組来ればいい方」だが、2日間で11組が訪れた。
不動産情報サービスの東京カンテイの中山登志朗上席主任研究員は「防災対策や地盤の強さ、節電などに注目して住まいを選択する消費者が増えそうだ」と分析する。