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現物取引、買い建て専門の人は もっとも苦しむ内容 借り物


来週の相場見通し 投資環境は「内憂外患」、海外勢の売り越し転換を警戒

サーチナ 5月14日(土)10時48分配信


 来週の日経平均は、軟調な展開を想定する。想定を超える外部環境の改善(米株高や円安)がない限り、調整色の強い相場になるだろう。日経平均の5月のSQは9758.38円だったが、これを下回って推移する限り、需給悪が続く見通しだ。今週最大のネガティブ・サプライズは、政府が13日発表した福島第1原子力発電所事故による東京電力 の損害賠償支援スキームの内容と、枝野官房長官の発言だ。

 当スキームは、「too big to fail」という前提で、株主や社債権者などの各ステークホルダーを事実上、免責するものとなっている。賠償資金捻出に関しては、本来は、まず株主価値をゼロにして、それでも足りないなら、次に、負債(他人資本)をゼロにしていく。それでも足りないなら、電気料金の値上げや、税金投入で、電力供給を国(税金)が担保するというのが筋だ。しかし、各ステークホルダーを事実上、免責するため、究極のモラルハザードが引き起こされ、絶対に破綻しない上場企業が誕生することになる。

 また、国民(家計や、製造業を中心とした企業)は、本来はステークホルダーが負担するべき(株主資本+負債)分まで、電気料金と税金で負担を強いられることになる。家計の負担は消費に悪影響を与え、企業負担は国際競争力に悪影響を与えるだろう。一般的に多くの国民は、負担する電気料金と税金が、原発事故で苦しんでいる人達への補償に使われるならば仕方ないと考えているようだ。しかし、さすがに、これまで配当や金利という形でメリットを享受してきた、ステークホルダーが負担するべき(株主資本+負債)分も、喜んで負担したいと思ってはいないだろう。

 さらに、枝野長官は13日午前の会見で、銀行団が債権放棄を行わなければ東電に対する支援は実行できないとの趣旨の発言をした。当スキームでは、株主責任も問われないのに、政府は暗に銀行負担を求めている。優先・劣後関係を完全に無視している。仮に、債権放棄や金利負担の減免など実施されるならば、メガバンクは、東電向け貸付金に引当金の計上を迫られ、業績が大きく圧迫されることになる。

 同時に、メガバンクの株価に対してはそれなりのネガティブなインパクトが予想される。また、今後、電気料金引き上げ等の国民負担回避のために、政府から経済合理性を無視する形で、メガバンクに対する協力を求められるリスクも市場は織り込む可能性も残る。メガバンクの株価が下がると、個人投資家の手の内、マインドが一段と悪化するだろう。

 国内の悪材料はまだある。それは福島原発事故の深刻化だ。1号機では、「メルトダウン(炉心溶融)」が発生したことが確認されている。これまで1号機の作業は最も順調とみられていただけに、1号機がこの有様では、10月ごろまでに冷温停止を目指すとしていた「工程表」の見直しは必至の情勢となった。よって、放射性物質の流出は長期化し、「放射能汚染の国、日本」の産物への風評被害は内外問わず深刻化し、日本経済全体に悪影響を与え続けることになる。当然これは当面の日本株の上値抑制要因として機能する見通しだ。

 一方、海外では、ここ最近、原油、金、銀などの国際商品市場が乱高下している。6月末の米QE2終了や、ギリシャなど欧州財務懸念の強まりを背景に、投機資金がリスク資産から流出傾向を強め、リスク回避志向を強めつつあることが主因とみられる。こうなると、当然のことながら、リスク資産である株式は世界的に売られ易くなる。特に、足元好調な米国株が売り込まれるようだと、日経平均に多大な悪影響を与えることが懸念される。

 確かに、5月第1週(2~6日)の投資部門別株式売買動向では、海外投資家が27週連続で買い越した。買越額は762億円と前週の1216億円からは減少したが、この週は立会いが2日間だったので、当然の減少だ。しかし、日経平均は5月2日の10017.47円を高値に、週末13日は一時9552.93円まで下落した。商品市況も高値波乱の展開となっているため、どうやら5月第2週は28週ぶりに海外勢は売り越しに転じたのではないとみている。

 今後、万が一、海外勢が売り越しに転じ、そのスタンスを継続した場合、ETFを購入する日銀以外に日本株を誰が買うのかが心配だ。今まで、日本人は、法人も個人も総じて、「頑張れ日本」と言いながら、投資主体としては、セッセと日本株を売る「売国奴」だった。海外勢だけが「買国奴」として、セッセと日本株を買い続けてくれていたのだ。

 来週の株式市場を取り巻く環境は、「内憂外患」だ。なお、今週半ば以降、東日本大震災や福島原発事故以降、信用個人や証券自己売買部門中心の短期資金中心に復興関連(浚渫、特殊土木、瓦礫処理、液状化対策)や代替エネルギー関連(太陽光発電、風力発電、リチウムイオン電池、LNG)、節電・省エネ(LED、省エネコンサル)等のテーマ性で急騰した材料株群の急落が散見された。これらの銘柄群は、時価総額低位銘柄が多く、日本株全体に対するインパクトは軽微だ。

 しかし、この流れが続くようだと、短期売買を好むトレーダーの動きが来週は一段と鈍る可能性が高いとみておく必要がある。仮にそうなった場合、日経平均が膠着していたとしても、相場の体感温度は大幅に低下する見通しだ。ただし、急落が今週からスタートしたため、来週以降、下落ピッチが加速する銘柄に関しては、目先底が入り、リバウンド買いのチャンスが到来する可能性は高いともみている。

 よって、この週末は、先述のテーマに乗って、東日本大震災以降株価が急騰し、その後の高値から下落率の高い銘柄群を、リバウンド狙い候補として、買う買わないは別として、リストアップしてみていかがだろうか。(編集担当:佐藤弘)

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