県は琵琶湖南湖の水草の異常繁茂を抑えるため放流しているワタカを通じて、小学生に環境問題を学んでもらう新事業に乗り出す。
県議会2月定例会に提出した新年度当初予算案に300万円を計上。
県水産課の担当者は「南湖の現状を広く知ってもらいたい」と話している。
ワタカはコイの仲間で琵琶湖の在来魚。
外来魚の繁殖にともなって生息数が激減し、県のレッドデータブックでは絶滅危惧種に指定されている。
水草を多く食べるため、南湖や西の湖で問題化していた水草の異常繁茂を抑えようと県が2002年から養殖、放流してきた。
県の試算では、魚が最も活性化する水温25度の条件で、100グラムの成魚1匹あたり1日で30グラムの水草を食べることが分かっている。
県は、来年3月にワタカ20万匹を放流する予定。このうちの半分が成魚になると仮定すると、年間300トンの水草を食べる計算になるという。
夏休み中には、養殖をしている草津市の琵琶湖栽培漁業センターで、子どもを対象とした学習会を開催。
3月の放流時には、参加者を一般公募して、子どもたちに水草問題や琵琶湖の生態系について学んでもらう。
財源はふるさと納税で集まった「マザーレイク滋賀応援基金」を使う。
県水産課は「県が刈り取りしている年間2400トンに比べれば効果は少ないかもしれないが、ワタカの放流は生態系の回復に役立つはず。
放流事業を通じて、子どもたちに環境問題について知ってもらいたい」と期待を込めている。