米連邦準備理事会(FRB)が17日公表した1月26─27日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、一部FOMCメンバーは比較的早い段階での資産売却開始を望んでいたことが明らかになった。市場関係者のコメントは以下の通り。
●コンセンサスに変化、利上げは数回先
<キャンター・フィッツジェラルドの市場ストラテジスト、マーク・パド氏>
サプライズがあるとすれば、議事録の多くが出口戦略をめぐる議論に割かれていたことだ。バーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長が議会(の公聴会)に出席する予定だったことが理由のひとつだろう。これは議論の主要なテーマであり、FRBは国債を保有しモーゲージ担保証券(MBS)を市場で売却する意向を表明した。数人のメンバーがMBS売却を提案したことも注目に値する。
(FOMC内で)コンセンサスが変わりつつあるようだ。まず議事録に変化が見られ、次に(FOMC)声明が変更され、その後で利上げが行われるとみられる。これはFRBウォッチャーには第一歩だが、われわれは数回のFOMCの後で利上げが行われると考えている。早くても2回目以降だ。12週間先でまだ時間がある。
もうひとつ目を引いた点は非常に現実的なFRBの雇用見通しだ。(失業率が)9%台に低下したことに(市場は)楽観的過ぎると考えている。しかし回復がいかに緩やかとなるかについてFRBの見通しは現実的だ。
●引き締め時期は不透明
市場では引き締めのタイミングに関する情報への関心が非常に強いが、議事録からはそれは明らかでない。市場が真に求めている情報は引き締めのタイミングについてだろう。
資産売却についてはさまざまな見方がある。(流動性対策)は前例のない新たなプログラムだったことから、解除の方法については異なる意見が出てくるだろう。
FRBが3月にモーゲージ関連証券買い入れの終了に踏み切った場合、その後も取引が維持されるか、民間が買い支えるか、といった疑問が浮かんでくる。このため、こうしたプログラムの解除に関する議論は市場にとって不安材料となるだろう。
●刺激策解除に近付く
<DAデビッドソン債券取引部門のバイス・プレジデント、メリーアン・ハーリー氏>
いずれかの時点で景気刺激策を解除する必要があるという見方で多くのメンバーが一致したことは債券市場でマイナス材料となる。
フェデラルファンド(FF)金利の変更については、誰も模索していないようだ。
解除実施の時期が遠ざかっているよりは、近付いてきているとの見方がFOMCのメンバーの総意になりつつあるとみている。
重要な点は、どの程度早い時期に刺激策の解除が実施されるかだ。だが、議事録からはすぐにも行われるという感触は得られなかった。