KDDIは10日、CATV最大手ジュピターテレコム(JCOM)株の取得方法が金融商品取引法に抵触する恐れがあると金融庁に指摘されていた問題で、米メディア大手リバティグローバルから取得するJCOM株37.8%の一部を信託銀行に預けて議決権を凍結する方針を固めた。持ち株比率を議決権ベースで3分の1以下にして、金商法の規定に抵触しないようにする。
12日に取締役会を開いて正式決定する。KDDIは1月下旬にリバティ傘下の中間持ち株会社3社を総額3617億円で買収すると発表。これに対して金融庁は、上場株の3分の1超を取得するにもかかわらず、すべての株主を対象とするTOB(株式公開買い付け)を実施しないと、金商法に違反する恐れがあると、KDDIに計画変更を促していた。
KDDIは取得するJCOM株のうち、持ち株比率が3分の1を超える部分(発行済み株式全体の約4.5%に相当)を信託銀行に預け、リバティが保有するJCOM株37.8%のすべてを買い取る枠組みは維持しつつ、議決権ベースで持ち株比率が3分の1を超えないようにする。
一方、JCOM株を実質27.7%保有する第2位株主の住友商事は現在、JCOM株をTOBする方向で最終調整している。KDDIを上回る出資比率を目指しているとみられる。KDDIが議決権ベースの持ち株比率を3分の1以下にすると決めたことで、JCOMの経営を巡るKDDIと住商の主導権争いは混沌(こんとん)としてきた。