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マニフェストを考える

 マニフェストを掲げて選挙を戦い、政権交代に成功した民主党ではあるが、4ヶ月の鳩山政治を見るかぎり、国民の期待に応えられそうもない。このエントリーでは敢えて政治と金以外の問題、特にマニフェスト選挙の危うい問題について考えたい。

 皆さんもよくご存知のとおり、八ッ場ダムの建設中止、普天間基地移設等に対する問題解決能力の無さは目を覆いたくなる。出口戦略なしと言ってもいいし、落としどころを知らないと言ってもいいし、政治的処理の方法論をもたないと言ってもいい。拙劣過ぎる。その他の政策のどれもこれも、マニフェストに書いてあるから、政権公約であるから、三党合意したことだからという理由で、「結論ありき」であれやこれやとやっているが、そんなことを言っているのでは、どうにもならないことが見えてきた。
 
 普天間問題では首相は5月までに結論を出すと何度も明言しているが、今の政府のやり方ではとても無理だ。首相は計画変更を望んでいるらしいが、現計画を変更することは容易でなく、5月までに結論を得られることなどはとても考えられない。
 唯一、実現可能な案は、現計画を沖縄県にお願いするかわりに、莫大な迷惑料を(名目は何でもいいが道路、鉄道を始めとす公共事業費などを)タップリ地元に落とすことしかないだろう。


 ところで、民主党が選挙で公約したマニフェストには「無駄な公共事業や行政の無駄」をカットすれば、バラマキ政策の原資は出てくるし、財政の健全化もできるとあった。しかし、キチンとした数字は示されていなかった。(これを指摘した識者は多かったにもかかわらず)

 何故か? 示したくても財源が無いので示せなかったと言うこともある。が、根本原因はマニフェストがどのようにして作成されたかを見れば、マニフェストに書かれたことを実現するのが如何に困難なことなのか良くわかる。マニフェストを実行する合意がどこにも担保されていないのだから

 マニフェストはどういう風に作られたか? 作成過程に問題があるのではないか?



 民主党のマニフェストの原案は直嶋正行政調会長(当時)など五人の参議院議員が中心となって約一年で策定した。そして「内容が外部に漏れれば選挙で不利になる」として選挙直前の7月下旬まで極秘扱いされた。これはどういうことかと言うと、マニフェストは選挙のためのPR資料に過ぎないということを示している。マニフェストに書いてあることができる、できないを党内で十分議論されていない代物なのだ。もっと問題なのは、極秘扱いのために、地元(地方議員や関係団体)の意見を聞いて調整することもできていない代物なのだ。
 悪い表現をすれば、マニフェストは「隠し球」のようなものだ。開かれた議論を経ずに策定されたマニフェストを「選挙で信任された」として実行しようとしても、地元や自治体から反発を招くのは当たり前だ。

 そんなことも考えていないのかと今になって思う。我々はマニフェスト選挙が従来の選挙とは違うということに眼が眩んで、マニフェストの作成過程の重大な欠陥を甘く見過ごしていたと思う。
 五人かそこらの議員で作られたマニフェストが政権公約として実行されるのなら、大勢の民主党の議員は政策決定にタッチしたくてもタッチできないのだ。「地元に張り付いて選挙運動(小沢幹事長の指示)」の時間が取れる訳だ。

 翔年はマニフェストがいけないといっているのではない。マニフェストが作成される過程において公開の場での議論がなされていないことを危惧している。さらに、マニフェストを週刊誌の広告なみに、信用できないことを書き連ねていることに強く反対する。それで選挙に勝ったからと言って、できっこない政策を金科玉条のように考えることに反対する。議員や地元関係者と十分議論がなされた上で、政策が実行されることを強く望む。その過程を経た上で、内閣の責任において高度な判断をしていただきたい。
 

(このエントリーは文藝春秋刊「日本の論点」の『基礎知識、マニフェストはどんな手順で作成されるのか?』を参考にしました。)
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