憲法改正は国の在り方の議論から -皇室(2)

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憲法改正は国の在り方の議論から -皇室(2)

 皇室がどんなに窮屈な場所なのか、ノーベル化学賞のマリス博士の著書から引用させてもらう。博士は1992年、日本国際賞(賞金5000万円)を受賞した際、天皇、皇后に会って、アメリカ人らしく率直に皇后に質問し、直接色んなことを聞き出している。

 日本の皇后に向かって「スウィーティ(かわいこちゃん)」と挨拶したのはたぶん後にも先にもわたしだけだろう。皇后は私の無礼に対してもまったく寛容な態度を示してくれた。(中略)それから皇后は彼女の来し方について語ってくれた。

 お妃となった彼女は当時の皇室のしきたりから言うと、まったく新しい存在となった。なぜなら彼女は華族の出身ではなかったからである。当初彼女は思ったことを率直に発言し、それが問題となったこともあった。彼女は自発的な言動を慎まなくてはならなくなった。彼女はどのように振舞うべきかを学ぶことになった。自らを律し、その結果、皇后として期待される姿を見事に演ずることができるようになった。同時に、自らの地位に囚われることになった。

 皇后のスケジュールは完全に管理されていて、すべてがあらかじめ予定されたものだという。皇后自身が判断を下す局面はほとんどないと言ってよい。私は自分が読んだ本のうち、彼女もきっと楽しめると思った本の名前を言ってみた。すると彼女は、自分の読むものは、まず、お付きのものが目を通す習わしになっているのだと説明した。
 私には信じられないことだった。「それでは私が、直接ご本を送付してさしあげましょう」
「どうでしょう。郵便物は私のもとに直接届くわけではありませんから……。すべてのものは、しかるべき手続きを通過せねばなりませんので」彼女は答えた。

 皇室の権威とか皇室に対する畏れとかもなく、何の偏見も持たずに対象をキチンと捉えていると思う。

 知的レベルが高い人が自身で判断することがほとんどなく、だれかの作ったスケジュールに従って生きて行くことが、どれほど大変なことか。その環境で生きがいを見出すことがどんなに困難なことなのか、国民はもっと理解するべきと思う。
 人権、人格権、自由等がある世界とは全く違う、そんな前世紀の遺構のような狭いところに押し込められ苦しんでいる人たちがいる。


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※キャリー・マリス博士=1994年、ノース・カロライナ州生まれ、1993年にPCR(ポメラーゼ連鎖反応を発明)でノーベル化学賞を受賞、無類の女性好きやサーフィン狂、LSD吸引者としても有名である。
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