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投資家に問われているのは米当局を信用しているか否か

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● 【本日のニュース】/速水総裁、ゼロ金利に「効果自信ない」
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日銀は31日、1999年1~6月に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。
異例のゼロ金利政策を採用した2月の会合で、速水優総裁は「短期金利の引き下げ余地は非常に限られている。どの程度十分な効果を持つかは、正直に申し上げて自信がない」と発言。効果に確信を持てぬまま、未知の領域に踏み込んでいった状況が明らかになった。


(2009/07/31付日経速報ニュースより一部抜粋)


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【ニュースの深層】投資家に問われているのは米当局を信用しているか否か
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■いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。


経済アナリスト、木下晃伸です。


■日銀は7月31日、1999年1-6月に開いた金融政策決定会合の議事録を公表しました。異例のゼロ金利政策を採用した2月の会合で、速水優総裁は「短期金利の引き下げ余地は非常に限られている。どの程度十分な効果を持つかは、正直に申し上げて自信がない」と発言。効果に確信を持てぬまま、未知の領域に踏み込んでいった状況が明らかになったのです。


結論から言えば、ゼロ金利は効果を上げることはなく、その後ズルズルと2003年4月まで株価は下落してしまいました。


効果は著しく低かった、と言えるでしょう。



■しかし、ゼロ金利自体に問題があったというわけではない、というのが私の現在の考え方です。


具体的には、効果をあげるためには、ゼロ金利水準まで金利を引き下げるのと同時に、金融機関の信用回復を図らなければならなかったことがその後の経験で明らかになっています。


当時の日本では、山一証券、北海道拓殖銀行がすでに破綻、公的資金注入も行われていたものの、その時点までで約10兆円程度であったことから、不良債権処理の抜本解決にはつながらなかったのです。


これまでに約20兆円程度の不良債権を処理してきたにも関わらず、新たに約20兆円程度の貸倒引当金を積まなければならない状態であり、金融機関の資本不足が深刻化してきたのもこの頃です。


結果、99年には、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が次々と国有化され、さらに03年のりそなホールディングス国有化、05年のUFJの三菱による救済まで金融不安は続いていったのです。


ようやくゼロ金利の効果が出てきた、ということですが、それは02年10月に施行された金融再生プログラムによって不良債権処理を厳格化することで、金融機関の信用力が回復したことが大きかったのです。


それがあって初めてゼロ金利の効果が出た、と考えるべきです。



■翻って今回の危機はどうか。


米国当局の動きは、未知の領域に足を踏み入れ悪戦苦闘した日本を、良い意味でお手本とし、迅速な正しい対応を取ってきていると考えています。


金融危機の状況は、日本と今回では大きく異なると考えている方も多いでしょう。しかし、本当にそうか。


金融は、仕組み自体はそれほど複雑なものではありません。不良債権処理の過程は、実は100年前から何ら変わっていないのです。


現状は、金融緩和状態に持って行くのと同時に、金融機関の信用を回復させ、日本が10年以上かかった金融業界再建を、たった数年で成し遂げようとしています。


そのため、現在の金融緩和状態は、株式市場にとってプラス効果がある、と考えなければなりません。米国当局の動きは信用に足るものです。


米国当局に対する信用があるかどうかで、株式投資のリターンは大きく異なってくるでしょう。現実に、そういった考えを持っていなければ、3月中旬に始まった株式市場の大きなリターンは手に入れることができなかったと思います。


(文責:木下晃伸 きのしたてるのぶ)
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