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TIW藤根 靖晃さんのブログ

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【NISHIMURAの眼】

★ NISHIMURAの眼
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アナリストのスケジュール表を見ると、本日24日の夕方から5月中旬まで担当企
業の決算説明会への出席予定でギッシリと埋め尽くされている。上場企業の決
算発表シーズンのスタートであり、私もこの時期になると「いよいよ始まるな」
と気合が入る。こたびの決算発表においては、「各企業が足元の状況などを踏
まえ10/3期業績予想をどういった数字で出してくるか」が最大の注目ポイント
と言えよう。決算発表期間中は、業績予想が市場コンセンサスよりもいいか悪
いかで、株価が変動することになろう。

今年は5月2日から6日までが5連休、その後2日を挟んでさらに土日となる日程で
あり、例年にも増して決算発表の集中が予想される。アナリストにとってはま
さに東奔西走の数週間となる。毎年のこととは言え、5月の連休はほぼ連日原稿
執筆に追われることになる。前置きが長くなったが、今週の本欄ではそのアナ
リストの数が減少していることについて触れたいと思う。

親しいIRコンサルタントの話や最近のニュース報道を総合すれば、ここにきて
アナリスト(とくにバイサイド)の数が相当減少しているのは間違いない。こ
の背景には、リーマンショック後の金融機関の統廃合の過程で、

(1)会社そのものがなくなったためにアナリストを抱える調査部門も消滅した、

(2)合併によって調査部門も統合となり結果としてアナリストが削減された(=一つのセクターに2人のアナリストは必要ない)

(3)証券会社のコスト削減の一環で調査部門が大幅に縮小された、などの理由があったと思う。一方、バイサイド
でも運用成績の悪化や顧客からの解約増加などで業績が厳しく、インハウスのリサーチ部門を縮小している模様である。

このように他の業界同様、我々アナリストの世界にも強いアゲインストの風が
吹いている。アナリストの会員組織である(社)日本証券アナリスト協会の認
定する検定会員の数は2万2千名を超えるが、実際にアナリスト業務に携わって
いる人数はせいぜい300名程度、多くても500名ほどではないかと推測する。ア
ナリスト業務をやりたくて資格を取得したものの、肝心のアナリストのパイが
縮小しているので、意に反してこの仕事に就けない方も多いと推測される。

現在の経済環境からすればやむを得ないところがあるにせよ、個人的にはバイ
サイドやTIWのような独立系のリサーチ会社に所属するアナリストの減少は、
次の3つの問題を惹起させるように思われる。

一つは、アナリストの数が減るこ
とに伴って株価に多様な見方が反映されなくなる恐れがあることである。株価
は好材料や悪材料、強気もしくは弱気な見方を咀嚼しながら値が付くが、そも
そも株価見通しを提供するアナリストの数がわずか数名という事態になれば、
株価形成がいびつになる可能性は否定できない。

二つは、個人投資家を念頭に置いて書かれた調査レポートの減少に繋がること
である。現在でもプロの機関投資家向けに書かれたレポートが多く、個人投資
家の皆様は投資の一助にすべく手に取られたとしても、文中に専門用語が多く
理解に苦しまれるケースがおありだったのではないか。これでは、個人投資家
の皆様が自ら(企業調査レポートを読んで)勉強して投資銘柄を発掘されよう
としても事実上それが困難になっていることを意味する。

三つは、アナリストの減少によって必然的にすべてのアナリストがカバーする
企業数も減少する。すなわち、これまで以上にアナリストのカバーしない上場
企業が増大することに繋がり、将来的に企業調査レポートは主要企業のみとい
った事態も十分あり得る。これも個人投資家の皆様にとっては不便極まりない
ことのように思われる。ご自身の大切なお金で株式投資を検討している企業に
関して、PERやPBRといった定量的なデータだけでは、なかなか株式購入に踏み
切るのは難しいと考える。

私はアナリストの減少を極めて深刻な事態と受け止めている。それでは、この
先相場が回復すれば、アナリストの数も増加に転じるのだろうか。ある程度は
戻る可能性はあるだろうが、証券会社の数も減ったので、元に戻ることはない
と悲観的に見ている。




■今週のTIWレポートからは、スクウェア・エニックス・ホールディングスを取り
上げる。

スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)
家庭用ゲームソフト開発大手で、2003年にエニックスとスクウェアが合併して
発足した。自社保有コンテンツには、人気の「ドラゴンクエスト」や「ファイ
ナルファンタジー」を有する。4月23日にリリースした鈴木アナリストのレポー
トは、英国のゲーム会社アイドスの買収完了についてのもの。同アナリストは
短期的な業績には不透明感が残るものの、「ゲーム事業で海外売上を伸ばし業
績を伸ばす道筋へ具体的に踏み出した点は評価したい」としてポジティブに捉
えている。レポートには、和田社長の「これでグローバルに戦えるビジネスの
骨格が完成した」というコメントが紹介されている。ゲームに関しては海外な
くして成長は考えられない。この意味で同社は新たな一歩を踏み出したと言え
よう。

(筆者略歴)西村 尚純 ティー・アイ・ダヴリュ取締役
証券系経済研究所やメーカー系シンクタンクなどを経て現職。国内株、アジア
株の調査経験は15年を超える。TIWでは、発行する全レポートのチェックを行う
ほか、アナリストとして小売や食品の一部企業を担当している。

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コンテンツ提供元 : 株式会社TIW http://www.tiw.jp/
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