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ビッグスリーは破綻するのか

12日の日経平均は、8235.87(-484.68)と暴落。水準としては、雲の下限8893近辺まで上げてきたところで頭をうち、基準線8393、転換線8285を割り込んでしまった。だが下ひげを出しており、また直近安値12月4日の7849までいかずに、8000円台をなんとか保ってはいる。日足のRCIは頭をうっており、目先の戻りは一服、いったん下に振れ易いリズムになっている。週足をみると、いまだに下向きの転換線8298もこえられないという有様。本格的な反発にはいったともいえない水準だ。とはいえ週足RCIは底をうって上昇を始めており、MACDも底ばいでシグナルを上にぬけそうになっている。中期的にもやや底打ちの感触があるように思える。月足については、3ヶ月下ひげをだしながら、下値をきりあげつつあり、きれいな三角持合を形成。もう少しで煮詰まってどちらかに離れそうだ。この数ヶ月でどちらかに方向感がでてくるのではないだろうか。ただし月足RCIは底につきささったままで、まだぴくりともしていない。持合を上に離れる、という確証は残念ながらまだない。

NYダウ12日は、意外に8629.68(+64.59)と上昇。水準をみると、今日は小幅上昇したものの、雲の下限9140までとどかずに下降を続けている。今日のところは長い下ひげをひいて、基準線8304の上、転換線8572をかろうじて維持した。基準線はまもなく横ばいになるので、基準線の上、転換線、日々線という上昇の順パターンはまだ維持しているが、下値が切り下がってきており、くずれるかどうか判断が難しい。日足RCIは頭をうっているので、目先の戻りは一服すると思われるが、MACDはマイナス圏からゼロに接近しつつあり、地合いはかなりよくなっていると思われる。週足も、まだ転換線8621近辺で、きちんと転換線も超えていないので、反発局面とはいえない。ただ週足RCIは底打ち、MACDもシグナルを上に抜けそうで、底打ちの雰囲気はでてきているようにみえる。ただし月足は下値がきりあがっているとはいえ、RCIは底におり、長期では反転のきざしはまだでていない。

NYダウだけをみると、雇用統計のすさまじい悪化や、ビッグスリーの破綻目前という状況にもかかわらず、崩落するような動きにはなっていないのは期待がもてる。アメリカの株式市場は、その意味で悪材料にうたれづよくなっていると思われる。だが、東京にとっての問題は為替ードル円の動きだ。ドル円は一時88.40までドルが下落。もちろん基準線95.97、転換線93.79の下で、基準線、転換線とも急降下している。週足、月足とも、すべて基準線、転換線の遥か下で、下値にめどらしいめどがない。気にかかるのは月足のRCIも、まだ底に達しておらず、急速に下降中であり、リズムからみると、まだ数ヶ月はさげないと、底に足がつかないという形であることだ。アメリカのFRBがさらに金利を下げ、量的緩和まで乗り出してくるとも言われており、債券市場ではなんと3ヶ月ものの国債は、マイナス金利という異常事態になっているという。日米の金利差がもし逆転するということになれば、円が高くなるのは理の当然であり、口先だけの為替介入では、この流れがとめられるとは思いにくい。日本の金利政策をふたたびゼロ金利に戻すといったことでもないと、円高の方向はなかなか変わりにくいのではないか。


12日の日経平均の大幅下げは、もちろんビッグスリーの救済法案の上院での廃案ショックによるものだ。とくにGMは、手元の流動性が枯渇しつつあり、破綻目前とされており、破産法申請というシナリオにすすむかどうか、市場ははらはらみているという感じである。しかしよく考えてみると、たとえ数ヶ月つなぎ融資で露命をつないでみても、車が売れない以上は、遅かれ早かれ手元資金はなくなる。どういう形になるにせよ、このままでは行き詰るのは目に見えている。このごに及んでも、賃金カットにも踏み切れず、ただただ税金にすがって延命しようというビッグスリーの労使の姿勢は、経済合理性をかいているようにみえる。政治的効果を考えて、政治家は救うふりをしているだけで、救済基金といっても実は額もリップサービス程度にすぎず、責任を逃れるための演技にすぎないのかもしれない。めざといNYの市場はすでに、破綻の可能性については、かなり織り込んでいるとみるべきではないだろうか。NYが意外に底堅い動きとなっているのはそのことを示唆しているようにもみえる。

ただ日本の市場は話は別で、円高の恐怖で、NYに素直についてゆくことはとてもできなくなっている。アメリカが量的緩和に踏み込んだり、財政赤字をものともせず、大規模な財政出動にふみきってくれば、将来こうした対策でアメリカ経済が本格的に回復してくるまでは、ドル安円高が一層進行する危険があり、日本にとっては極めて辛い事態となる。日経平均が日足基準線をわりこんでいるのに対し、NYが日足基準線、転換線の上を維持しているのは、こうした為替の要因を考えれば、理解できるのではないか。なにかのきっかけでさらにドル崩落がおこる危険が潜在する一方、世界から資金を吸収してなりたっている国であるアメリカは、ドルの崩落を簡単に許すわけにもいかない事情がある。どうころんでゆくか、政策当局の対応を注視する必要がある。
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