瓜生 憲さんのブログ
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株価を正当化する議論の裏には・・・
昨日、ストリートアナリストさんの日記に「動態PER」という新しい株価指標が人気という話がありました。
※ストリートアナリストさん、ちょっと引用させていただきます。
その日記にもコメントさせていただきましたが、株価が高騰を続けると、損をしたくない投資家が自分の買値の割安感を証明し、現在の株価を正当化すべく、様々な動きを採り始める傾向は、世界中、どの市場でも頻繁に見られる風景です。
株価急騰のトリガーとなるのは、何かしらのニュースの発生というのが一般的です。
なので、株価正当化行動の第1段階としては、株価急騰を踏まえ、特に後追いをしてしまった投資家が採る「該当するニュースが該当銘柄や該当市場のファンダメンタルズに与える影響の規模について過小評価されているのではないかという議論」です。
※アナリストもよくやるのですが、自らの業績予想を上方修正することで調整するといった行動を伴う場合もよくあります。
それがうまく行き、更に後追いが増えると、更に株価が上昇します。
その際、更なる後追いは、バリュエーションの比較範囲を拡大します。
これが株価正当化行動の第2段階です。
通常は、同一業種内で行っている比較を類似業種に広げ、更には同一もしくは類似業種が高く評価されている諸外国を見つけて、それと比較します。
ちなみに諸外国ネタが一般化してくると、まさに第三段階への移行が近づく合図である場合が多々あります。
更に、これで更なる後追いを得られると、無論、更に株価が上昇します。
ここで、今回の「動態PER」のような新たなバリュエーション手法が登場するケースが一般的です。
これが株価正当化行動の第三段階です。
このような三段階に亘る株価の正当化行為は、実行する投資家やアナリストの手法や声の大きさによって効果の度合いは異なりますが、実際に正当であったという結論に至るときは稀であり、一般的には絶好の売り時(下落時には買い時)であったという結論に至るケースが多いというのは歴史が示しています。
無論、そんなに長く株式市場を見てはいませんが、私が株式投資に間接的、直接的に携わるようになってからは、殆どがこれらの階段方式に該当します。
本当にファンダメンタルズのモメンタムが強い時には、第1段階が続き、それ以上の議論というのは行われません。
それは、当たり前ですが、株を買う人間として、自分が見込んだ企業の業績が見込んだとおり拡大(改善)し、それについて議論することは醍醐味の一つだからです。
なので、第二段階、第三段階は、ファンダメンタルズを語れない状況にあり、既に一種、チキンレースになっている可能性が高いことを示します。
皆、ファンダメンタルズのピークアウトリスクを感じているので、安心感を別のところ(指標)に求めているのです。
そういった意味で、本日の日経新聞朝刊の「一目均衡」(編集委員 梶原誠氏著)にもあった米投資家ウィルバー・ロスの考えには納得が行くところがあります。
「みんなが売るときこそ買う機会」
値が下がるとあらゆるバリュエーションが株価評価において活用でき、多面的な定量的評価が可能となります。
逆に言えば、定量的な評価ができない水準まで買い続ける、売り続けることが、結果的に株式投資のリスクを拡大し、ギャンブル性の高い商品としての印象を濃くしているのかもしれません。
そういった意味でも、株式投資に必要なのは、広く目を向ける好奇心と、宝(割安株)を見つける行動力、そして冷静さを失わないための“ちょっと”怖がりな性格と思っています。
これに、困った時に相談できる仲間がいると完璧な気がするのは僕だけでしょうか?
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いつも巡回お疲れ様です!そしてありがとうございます!!
そうなんです。結構、『みんなの株式』の会員の皆さんの中には、凄く冷静に対処されている方も沢山いらっしゃいますので、初心者の皆さんもそういう方々のスタイルを上手く学ぶと良いと思います。
あさっての投資家さん
「言うは安し、行うは・・・」というのは、その通りですよね。でも、試してみないと何も始まりませんし、出来る人も沢山いるので、考え方次第のような気がします。
THEゴーストさん
気持ちは分かります・・・。僕も株の世界を離れれば、同じようなことをしているような気がします。でも、困るのは、本来リスクとリターンの均衡しているはずの金融商品なのに、このような状況ではリスクが高い割りに、リターンが低いというのが現実なんです。
株で一番難しいのは、そういった投資家心理を前提とした金融商品が増えていっていることです。最近、市況・業況の急変時に株価のボラティリティが拡大しているのは、そういったことが背景にあります。そういった意味でも、過去のデータと現状の比較は役に立つと思いますよ。日記を拝見させていただく限り、数量分析がお得意そうなので、そういったこともやられてみてはいかがでしょうか?
さのさん
仰るとおりですね。「時に森を捨てる」というのは深いですね。ただ、大変なのは、森の中から木を見つけたつもりが、それもまた森だったりすることかもしれません。確かに分析と実行は全く違いますね。個人的には、それぞれ得意な両者がいかに協力するかではないでしょうか?僕が描く『みんなの株式』の将来像はそういったところにあります。そのために、引き続き、貴重なご意見をいただけると幸いです。
しぶきさん
株式市場には、色んな視点で参加をしている個人、企業があります。私が述べさせていただいた段階ごとに、そこをフィールドとしてビジネスをやっている方、段階の変化によって利益をもたらす方、多種多様です。ただ、それも含めて「株価は適正に向かう」が僕の持論です。それらを否定せず、見極める力を身につけたいですね。
自分の欲が深く
僕はこのチキンレースに良く参加してしまいます。
結果負けるんですけどね。
リスクが高いと分かっているのに、「もしかしたら」という気持ちで臨んでしまうのが投資家としての冷静さを欠いているんだと反省しています。
そう言えば、バブルの歴史(出版:日経BP社)も株価正当化行動が描かれていました。
でも、皆さん指摘されている通り、
「言うは安し、行うは…」
まさに、自戒の句です。(^^;)ゞ
>これに、困った時に相談できる仲間がいると完璧な気がするのは僕だけでしょうか?
私もそのとうりだと思っています。
これまでの相場に非常に冷静に対処されている方を
たくさん見てきました。
逆に、あまりの相場の静観ぶりにのどから手が出そうなほど
「もう買いたいー」と思っている人
さまざまなひとをみんかぶでは見ることが出来ます。
さのさんの言っておられる
>そしてなにより実行できること。
>分析は多くの人ができますが、実行できるのは数少ない限られた人です。
これは本当に難しいんだなぁーと思う反面、
実行を日記に書いていってくれる人もいるんです。
みんかぶは、相場を写しているなぁと
おもうことがよくありますよ(^^ゞ
ようなときに、聞いたこともないような指標が突如紹介
され、この計算でいくと、まだまだ割安です、という説明が
出てくると・・・相場は天井、という話を聞いたことがあり
ます。これはまさに「第三段階」のことですね(汗)。
瓜生社長のご説明で、この格言は改めて信憑性が高いもの
だと思いました。
が、もう少し書かせていただきたいと思います。
広く目を向けることと狭く目を向けること。
これを両立できたらいろんなことが見えてくると思います。
木を見て、森も見てって感じですかね。
時に森を捨てる、っていうところまで踏み込めたら最高でしょう。
狭く狭く、広い考えをすてること。
シンプルに考えること。
コンサルタントとかアナリストとか、そういった人たちがなかなかできないことかもしれません。これは自戒の念です。
そしてなにより実行できること。
分析は多くの人ができますが、実行できるのは数少ない限られた人です。
事件は現場で起きてるんだ。
といったところでしょうか。
僕が参加している「日経平均予想コミュ」を見ても感じつつありますが、結局個人投資家の予想は優れているんです。
が、それを行動に移せないが故に継続的な利益を得る人が少ないんだと思います。
私が何となく感じた不安を、段階に分けて説明いただき、あぁ、そういうことだったんだと大いに納得できました。
自分が買った行動を正当化しようとするのは、株に限らず全ての商品で共通ですし、ご指摘の3段階は時代、場所を越えて出現するのも頷けます。
そういったファンダメンタルに基づかない情報や理論に踊らされない目を養うことが大事ですね。
実はあまりにもネガティブなコメントが続いてしまったので、僕は臆病者かな?と悩んで(実際そうだと思いますが)いたので、このコメントで救われたような気がします。