2. ルネサスエレクトロニクス製品の売上・デザイン-イン取り組み強化の進捗状況
ルネサスエレクトロニクス製品の売上高は、2018年3月期は前期比26億円(4.2%)増の639億円で着地した。2019年3月期は同8億円(1.3%)増の647億円と計画している。
ルネサスエレクトロニクス製品は同社の売上高の80%近くを占める中核商材だ。そのルネサスエレクトロニクスは事業構造改革の結果として自動車分野と産業分野をターゲット市場の中心としている。したがって同社のターゲットもその2分野となる。これらの市場に切り込むには、顧客が新製品開発を進める初期段階で顧客ニーズを満たすようなソリューション提案を行うことが重要だ。同社はこうした営業手法を「デザイン-イン」と呼んでいる。
2018年3月期は自動車分野436億円、産業分野他で226億円、計663億円のデザイン-イン実績があった。2019年3月期は自動車分野386億円、産業分野等250億円の計636億円のデザイン-インを計画している。前期比減額とみている理由は、自動車分野が、モデルサイクルの関係で踊り場になると想定されていることにある。デザイン-インの金額の変動はルネサスエレクトロニクス製品の売上高計画に直接的な影響を与えるものではなく、業績影響についての懸念は不要と弊社では考えている。
同社はルネサスエレクトロニクス製品について、“最先端マイコンをコアに顧客システムサポート強化”という戦略で臨んでいる。2018年3月期実績を見ると、R-Car(自動車・情報系先端製品)やRH850(自動車・制御系先端製品)、RZ(産業向け先端製品)などのマイコン製品が、ADAS(先進運転支援システム)や油圧建機システム、ホームセキュリティーなどの用途に順調に開発が進められているもようだ。
最近の進捗として、自動車分野ではカーナビ、アラウンドビュー向けのインターシル社製ビデオシグナルプロセッサの拡販や、パートナー連携によるコンセプト検証の支援などがある。
産業分野では、インターシル製品の専任サポート体制による電源IC・通信インターフェイスの拡販や、拡販用デモツール・プラットフォーム提供による開発費負担の軽減などが最近の進捗となっている。
また、ウェアラブル端末向けに、RZマイコンをコアに、ファームウェアや翻訳エンジン、ハードウェア開発などの各要素をシステム化し、ワンストップソリューションの提供にも取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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