―愛車を長く大事に使う人が増え、コーティング剤などへのニーズ高まる―
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、感染予防のために、通勤時や週末に電車やバスなど公共交通機関ではなく、マイカーを利用する人が増えている。近年では若者を中心に「クルマ離れ」が進み、国内の自動車販売市場が縮小する要因ともなっていたが、ウィズコロナ時代に突入し、その意識にも変化が起きているようだ。
一方、世界的な半導体不足やコロナ禍によるアジア諸国からの部品調達の停滞により、多くの自動車メーカーは生産の縮小を余儀なくされている。そのため、購入から納車までが早い 中古車の需要が増大しているが、そうした動きと並行して、いま乗っている車を長く大事に使おうという動きも強まっている。「愛車関連」とでもいうべき銘柄群に注目したい。
●新車販売は減少し一部ユーザーは中古車へシフト
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会が発表した2021年11月の「新車販売統計(確報)」によると、新車販売の総台数は前年同月比14.4%減の35万2455台で、7月から5ヵ月連続でマイナスとなった。半導体供給不足の長期化や夏場から続くコロナ禍によるアジア諸国からの部品調達の停滞によるメーカーの減産の影響が継続しており、最近の自動車販売の現場では、顧客が新車を契約しても、納車は1年後になるという話も聞かれるようになってきた。
こうした状況を受けて、一部のユーザーが中古車へのシフトを強めている。自販連が発表した21年11月の「中古車・車種別登録台数」によると、普通乗用車と小型乗用車の合計台数は前年同月比4.2%減の25万660台で、好調だった前年からはやや減少したものの、25万台を超える登録台数で推移している。
●平均車齢は10年前に比べ1.1年延びる
中古車へのシフトは、車検の都合などで、納車まで待てないユーザーなどがすぐに現物が手に入る中古車市場に流れた結果だが、新車販売の停滞で購入の際の下取りも減少していることから、中古車の供給台数も減少しており、販売価格の高騰も続いている。なかには中古車価格が新車を上回るといったケースも出始めている。
そうしたなか、買い替えるのをやめ、いま乗っている車を大事に乗ろうという人が現れ始めた。また、コロナ禍で収入が減少した人では、買い替えより車検を通しても乗り続けることを選ぶ人も増えているようだ。
自動車検査登録情報協会によると、21年3月末時点における乗用車の平均車齢(初度登録してからの経過年の平均)は8.84年で、前年比で0.12年延びた。18年から19年の延びが0.05年、19年から20年の延びが0.07年であったことを考慮すると大きく伸長しており、29年連続で“高齢化”するとともに27年連続で過去最高齢となった。10年前の11年に比べると1.10年も延びていることになる。
車を長く使用するためには車検以外にもメンテナンスをはじめとする、“手間をかける”必要がある。そこで今回は、平均車齢の高齢化で活躍する銘柄に注目したい。
●カーコーティングのKeePerなどに注目
KeePer技研 <6036> は、自社開発の製品と施工技術に基づいたカーコーティング「キーパーコーティング」の製造卸と店舗でサービスを提供する直営・FC店展開が主な事業。22年6月期第1四半期単独営業利益は、「キーパーコーティング」のSNSや口コミなどの高評価拡散が続いたことが寄与し7億9800万円(前年同期比12.2%増)と2ケタ増益となったが、その後も製品売上高、直営店売上高ともに好調に推移しているほか、新車メーカーとの取引も順調に進展している。通期では営業利益43億2900万円(前期比43.3%増)を見込む。
石原ケミカル <4462> は国産初の液体カーワックスをはじめガソリンスタンドで使用される洗車機用洗剤や自動車整備工場で使われる整備用ケミカル製品、ボディーショップで使用される補修用ケミカル製品などを展開している。22年3月期上期連結営業利益は13億3700万円(前年同期比2.3倍)で、テレワークによるパソコンやサーバーの需要拡大で主力の金属表面処理剤及び機器などが伸長したほか、自動車用エアコン洗浄剤などが好調。通期では営業利益23億円(前期比34.8%増)を見込む。
ソフト99コーポレーション <4464> [東証2]は、カーワックスやガラス撥水(はっすい)剤分野で国内大手。22年3月期上期連結営業利益は18億8500万円(前年同期比33.1%増)で、ワックスなどのボディーケア製品や撥水剤などのガラスケア製品、更に業務用コーティング剤などが好調に推移した。通期では営業利益34億5000万円(前期比7.5%増)を見込む。
SPK <7466> は、自動車用補修部品・用品の国内販売及び輸出入が主力で、カスタマイズドパーツの企画販売なども手掛ける。22年3月期上期連結営業利益は9億8700万円(前年同期比22.6%増)で、国内外で自動車用補修部品が堅調に推移した。通期では営業利益21億円(前期比2.7%増)を見込む。
中央自動車工業 <8117> [東証2]は、自動車部品・用品を扱う専門商社で、自動車用ボディーコーティング剤やオイル添加剤、ウインドーガラス撥水コーティング剤などの自社開発品を手掛けている。22年3月期上期連結営業利益は30億4600万円(前年同期比56.0%増)で、自社開発品が好調に推移。通期では営業利益61億円(前期比12.8%増)を見込む。
このほか、 カー用品大手のオートバックスセブン <9832> とイエローハット <9882> や、千葉県を地盤にカー用品店を展開するオートウェーブ <2666> [JQ]、イエローハットのFC店を展開するホットマン <3190> [JQ]、オートバックスのFC店を展開するバッファロー <3352> [JQ]、G-7ホールディングス <7508> などのカー用品店にも注目。更に自動車交換用サスペンションを自動車の運動性能や快適性、スタイル性などを重視する顧客に向けて販売するテイン <7217> [JQ]なども関連銘柄に挙げられよう。
株探ニュース
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