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ステップ Research Memo(7):横浜・川崎エリアでの校舎展開余地は大きく、今後も安定成長が続く見通し(1)

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/20 16:07
■今後の見通し

2. 今後の成長戦略
(1) 「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」を継続
ステップ<9795>はかねてから目標としてきた「横浜プロジェクト」「翠嵐プロジェクト」の3連覇を2021年に達成し、横浜・川崎エリアでの今後のシェア拡大に向けて大きく前進した。「横浜プロジェクト」とは、横浜市内公立高校トップ19校の合格者数合計で業界トップを獲るプロジェクトで、2019年にトップを奪取して以降、3年連続でトップの座をキープし2位以下との差を広げつつある。また、「翠嵐プロジェクト」は、湘南高校と並んで県内最難関公立高校である横浜翠嵐高校の合格者数でトップを獲得するプロジェクトとなっており、こちらも2019年にトップを奪取して以降、安定して1位の座を確保している。

2022年に向けても前述したように、横浜翠嵐高校を志望する生徒の入塾が増えていること、競合塾がやや弱体化していることを考えれば、その差はさらに広がっていくものと弊社では予想している。両プロジェクトは神奈川県内において合格実績トップの学習塾として確固たるブランド力を構築し、市場規模の大きい横浜・川崎エリアでシェアを拡大していくうえで重要なプロジェクトとして今後も継続して取り組んでいく方針となっている。

(2) 新スクールの開校は川崎、横浜南部・東部エリアで推進していく方針
今後の新スクールの進出地域は、現在8スクールにとどまっている川崎市で加速していくほか、横浜南部・東部などでドミナント展開していく予定にしている。神奈川県内で今後10年以上、就学人口の増加が見込まれているエリアとして川崎市や横浜市北部地区、藤沢市などがあり、今後10年間でその比率はさらに上昇することが予想されるためだ。このため、これらの地域で進学学習塾としての圧倒的なブランド力を確立し、スクールをドミナント展開して生徒数を獲得していくことで持続的な成長を実現していく戦略となっている。

出校に関しては同社が強みとする教務力の品質を維持できる人材(教師・教室長)の育成が条件となるが、年間3~4校程度を目安としている。従来はこれらの地域で同社の条件にかなう不動産物件は見つかりにくかったが、コロナ禍の影響で既存店舗が撤退するケースも目立つようになってきており、同社にとってはスクール数を増やしていく好機と見ることができる。

同社では、横浜市、川崎市において今後どの程度の生徒数獲得とスクールの出校余地があるのかを試算している。同社の地盤である藤沢市では、市立中学校の生徒数に対する塾生数のシェアが2021年5月時点で24.2%に達している。一方、横浜市のシェアは8.4%、川崎市では3.0%にとどまっている。将来的に両エリアでシェア15%まで拡大していくことができれば、横浜市で約11,600人、川崎市で約4,500人、合わせて16,100人の中学生の塾生を獲得できる計算となる。また、小学生の塾生は中学生の約2割程度の水準となっており、約1,500人の塾生が見込めることになる。小中学生部門の塾生数は2021年10月末時点で2.6万人となっており、横浜市、川崎市でシェア15%を達成することで3.5万人まで拡大できる計算となる。

一方、スクール数については1校当たり150人を前提とすると、横浜市で32スクール、川崎市で22スクール、合わせて54スクールの出校余地が出てくる。年間3~4校ベースで出校したとしても13~18年かかる計算となる。教師やスタッフの人員採用・育成のペース次第ではあるものの、今後も横浜、川崎エリアのシェア拡大によって安定的に成長を続けることは可能と言える。

(3) 高校生部門は3~4年に1校のペースで開校
高校生部門では、3~4年に1校を開校するペースを今後も継続していく方針となっている。授業の質を維持しながらスクールを増やしていくためには、教師のリソースのさらなる充実が必要であるためだ。ただ、2021年の大学合格実績で大躍進したことで人気が高まっており、高校1年生については15校中10校で定員に達するなど機会ロスが生じているのも事実だ。このため講師の採用・育成を今まで以上に強化し、成長基盤を整えていく方針となっている。

(4) 学童保育は人材育成と組織体制の強化に取り組む
「STEPキッズ」では、湘南教室で構築したノウハウをほかの2教室で共有し、システム化していくことを当面の課題としている。「STEPキッズ」は、「安全・安心で楽しく有意義な放課後、知的な成長の場」となる教室づくりを目指しており、知的好奇心を育むプログラム※が豊富に用意されていることが特徴で、生徒・保護者からの評価も高い。2021年春より新たに「英語/英検講座」のプログラムを追加し、通年で実施するプログラム数としては14種類となり、競合にはない強みとなっている。あとはそれを支える人材育成と組織体制の構築が成長の鍵を握ることになる。保育に必要とされる人材は、学習塾の教師とは異なる部分も多い。子どもの可能性や潜在能力などを上手く引き出す力なども求められる。同社では「STEP」の女性講師で結婚後に育児休職から復帰してくる人材など、学童保育部門の適性に合った人材を育成する研修カリキュラムを作って、こうしたリソースを拡充していく予定にしている。

※楽しく学ぶ「探求プログラム」として、サイエンス、プログラミング、はば広教養、ことば(国語)、英語/英検講座、英会話、算数、算数思考の8種類があり、「エンジョイプログラム(スポーツや趣味の習い事)」として手話、将棋、百人一首、音楽、ダンス、体育の6種類を用意している。


同社では、2020年に開設した2教室の黒字化の目途が立ってきたことや、人材育成、組織体制、運営ノウハウの蓄積が進んできたことから、良い不動産物件が見つかれば2023年にも4教室目を開設する意向となっている。教室展開については、近隣に小中学生部門のスクールがある地域に開校していく戦略となる。学習プログラムの運営では小中学生部門のスクールの教師や教師経験者がサポートに入るケースがあるためだ。このため教室展開については、立地場所及び担当する教師のリソースを確保できることが条件となる。将来的には横浜や川崎など子ども人口の多いエリアへの進出を目指しており、教室数として20前後まで展開していくことは可能と見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ

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