3. 早稲田アカデミー<4718>の強み
同社の最大の強みは、首都圏において私立最難関高校と言われる開成高校や早慶附属高校に毎年、業界トップの合格者数を輩出できるシステムを確立している点にある。具体的には、これらの志望校へ合格させるためのカリキュラム・教材が完成しており、合格に直結する指導法を講師に習得させるための教育研修システムが整備されている。また、塾生たちのやる気を引き出し学習意欲を高めるための「学習する空間づくり」や、互いに競い合い切磋琢磨する学習環境を提供していること、さらには「志望校への合格」という共通目標を全社一丸となって達成していくため、講師だけでなく事務職も含めたインセンティブの設定、人事評価制度を導入していることも高い合格実績を維持し続けている要因になっている。
同社の基本戦略である「合格実績戦略」という、顧客にとって明確でわかりやすい差別化を推進することでブランド力を向上させ、その結果として「難関校に行くなら早稲田アカデミー」という流れを高校受験では確立している。今後は中学受験や大学受験、また、公立の高校受験においても同様の戦略によって塾生数を伸ばしながら、収益を拡大していく方針となっている。
4. 主要株主と提携状況
同社の主要株主を見ると、2020年9月末の筆頭株主はナガセ<9733>で出資比率は18.93%、第2位に英進館(株)11.48%、第5位に明光ネットワークジャパン<4668>5.22%、第7位に学研ホールディングス<9470>3.30%と同業他社が上位に名を連ねている。
このうち、ナガセとは、ナガセの子会社で中学受験指導の草分け的存在である(株)四谷大塚と1997年に提携塾契約を締結している。提携内容は、小学部で使用する教材類を四谷大塚から購入し、カリキュラムも準拠して指導すること、並びに四谷大塚の実施する公認テスト会場として同社が代行的な業務を行うことができることなどが定められている。
第2位株主の英進館は九州を地盤とする進学塾で、慶應義塾女子高校やラ・サール高校の入試対策用特別講座や夏期合宿、講師研修などの共同開催を行うなど事業面も協業関係にある。また、第5位株主の明光ネットワークとは、個別指導塾である「早稲田アカデミー個別進学館」で提携しており、第7位株主の学研ホールディングスとはグループ会社とアジアでの早稲田アカデミーブランドによる海外学習塾事業に関する業務提携契約を締結している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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