1. 2024年5月期の業績見通し
日本プロセス<9651>の2024年5月期の連結業績予想は、売上高が前期比1.9%増の9,090百万円、営業利益が同0.8%増の915百万円、経常利益が同0.3%増の970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.1%増の690百万円としている。上期の連結業績予想は売上高が前年同期比4.4%増の4,490百万円、営業利益が同0.6%増の450百万円、経常利益が同2.6%増の480百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.0%増の340百万円としている。受注が高水準に推移して増収増益予想としている。会社予想は、前期の高成長の反動に加えて、社員の待遇維持と競争力維持に向けた2年連続の賃上げ、戦略的技術習得と社員の自律的なスキルアップの環境整備としてのオンライン学習プラットフォームの導入など、持続的成長に向けた先行投資を考慮して小幅な伸びにとどまる見込みとしている。ただし弊社では、会社予想は保守的であり、生産性向上やサービス価値向上の効果による利益率改善の進展などを勘案すれば、会社予想に上振れ余地があるだろうと考えている。
2. セグメント別の見通しと重点取り組みテーマ
制御システムは概ね前期並みを見込んでいる。エネルギー関連分野では再生可能エネルギー関連の大規模案件請負の担当範囲を拡大する。交通関連分野ではATOSの装置一括の大規模案件請負を完遂、新幹線の装置一括受注に向けた担当範囲を拡大する。在来線関連はJR各社の投資抑制で当面厳しいが、AI運転整理パッケージ開発と線区展開を推進する。
自動車システムは引き続きAD/ADAS関連を中心に成長を見込んでいる。AD/ADAS基本ソフトの車種展開一括受注などに加えて、パワートレイン制御ではバッテリーマネジメントなど電動化関連の担当範囲拡大、車載情報関連ではクラスターメーターの大型案件完遂と次期大型案件の獲得などを推進する。
特定情報システムは全体として小幅な成長を見込んでいる。危機管理関連については大規模請負案件が2025年5月期より本格化するため2024年5月期は準備期間と位置付けている。航空宇宙関連は大規模請負案件のフェーズ2が上期に完了し、次期大規模請負案件の獲得を推進する。画像認識・識別関連は「画像+AI」で上流設計からの参画により競争力を強化する。
組込システムは全体として小幅な成長を見込んでいる。メモリ市況の悪化によりストレージデバイス関連に不透明感があるが、既存のSSD関連については下期からの回復を見込み、新ストレージのSEF関連の開発で技術者育成を維持する。IoT建設機械関連は将来の拡大に向けて関連システムの組込ソフト開発などを推進する。
産業・ICTソリューションは概ね順調な推移を見込んでいる。社会インフラ関連では自動券売機など駅務機器分野が堅調に推移する見込みであり、道路設備分野では新規受注したETC試験装置で実績を積みながらサーバ開発へ参入する方針である。またシステム構築の大規模請負案件の請負を拡大し、技術者やプロジェクトリーダーを育成する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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