1. 2023年5月期通期連結業績予想の概要
2023年5月期通期の連結業績予想は、売上高が前期比5.7%増の8,400百万円、営業利益が同0.6%増の780百万円、経常利益が同2.7%増の830百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.4%増の535百万円としている。日本プロセス<9651>は、景気減速による開発案件の先送りなど不透明感や様々なリスク要因、さらに持続的成長に向けた先行投資などを考慮して、通期の小幅増収増益予想を据え置いている。ただし第2四半期累計の進捗率は売上高が51.2%、営業利益が57.3%、経常利益が56.3%、親会社株主に帰属する当期純利益が57.8%と高水準である。弊社では、需要が高水準であり、下期偏重の季節要因なども勘案すれば、通期会社予想は上振れる可能性が高いと考えている。
2. セグメント別の見通しと重点取組テーマ
制御システムは、エネルギー関連分野では前期受注した電力グリッドシステム大規模請負案件の開発を進め、さらに再生可能エネルギー関連の次期システム開発案件の受注獲得を推進する。交通関連分野ではATOSリプレース案件や新幹線大規模請負案件の担当規模拡大を推進する。在来線関連はJR各社の投資抑制で当面厳しいが、次期以降に向けてシステム一括受注やAI導入案件受注を推進する。
自動車システムは、自動車メーカーの生産状況に伴う案件先送りなどの不透明感もあるが、AD/ADAS基本ソフトの担当機能拡大や新規開発の受注拡大を推進する。パワートレイン制御では電動化案件の体制拡大を推進する。車載情報関連では前期受注したクラスターメーター開発案件を進めるとともに、クラスターメーターの次期案件の受注を推進する。
特定情報システムは、当期に参画した衛星関連システムの新規案件の体制を拡大して開発を推進する。公共システム関連では新規顧客開拓を継続する。危機管理関連については大規模請負案件の開発がピークを過ぎたため、次期案件に向けて種まきを推進し、上位設計への参画も推進する。画像認識・識別関連は、衛星画像が堅調に推移する見込みとしている。
組込システムは、メモリ市況の悪化により新ストレージデバイス開発案件に不透明感があるが、既存ストレージデバイス関連が堅調に推移し、新規領域への展開も推進する。IoT建設機器関連では関連システムの組込ソフト開発を開拓する。
産業・ICTソリューションは、航空宇宙関連の大規模請負案件の開発を推進するとともに、次期案件の受注獲得も推進する。社会インフラ関連では駅務機器関連が堅調に推移するが、他分野は回復が遅れる見込みとしている。システム構築分野はクラウド関連など複数の案件の開発が輻輳する見込みとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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