2. 制御システム、自動車システム、産業・ICTソリューションが主力
日本プロセス<9651>の収益特性・動向を理解するために、セグメント別の売上高と構成比の推移、利益と構成比の推移、及び利益率の推移について述べる。なお2020年5月期以前の産業・ICTソリューションについては便宜上、従来の産業・公共システムとITサービスの合計値を表示している。
過去4期(2017年5月期〜2020年5月期)平均の構成比で見ると、売上高構成比は産業・ICTソリューション35.7%、自動車システム25.0%、制御システム17.8%の順となり、利益構成比(調整前)は産業・ICTソリューション33.5%、自動車システム25.3%、制御システム19.0%の順となる。構成比では制御システム、自動車システム、産業・ICTソリューションが主力となっている。なお2021年5月期第2四半期累計は制御システムの構成比が大幅に低下しているが、これは後述するように検収が下期に集中するためであり、通期ベースでは大きな変動はないもようである。
過去4期の金額ベースの推移を見ると、制御システム、自動車システム、組込システムは、大手顧客との長年にわたる強固な信頼関係も背景として、売上高、利益とも拡大基調である。特定情報システムでは大規模システム改修が周期的に行われ、産業・ICTソリューションでは多種多様な業種の顧客と取引しているため、いずれも期によって変動する傾向もあるが、新規顧客・案件獲得によって概ね順調に拡大している。
過去4期平均の利益率(調整前)を見ると、各セグメントとも概ね20%台で大きな差はない。また過去4期の推移でみると、特定情報システムは期によってややバラツキがあるが、制御システム、組込システム、産業・ICTソリューションは大きな変動がなく安定的に推移している。自動車システムは中国のオフショア開発子会社IPD大連における生産性向上効果も寄与して上昇基調である。
なお全社ベースの売上高営業利益率は1ケタ台で推移し、中期目標として10%を目指しているが、同社は後述するように持続的成長に向けた投資として、業績連動賞与の形で社員への還元を厚くしているため、営業利益率が表面的には低く見える形になっている。実質的な利益率は高水準である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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