2. 2023年9月期のセグメント別業績動向
セグメント別の業績動向は、DX推進事業が売上高2,139百万円(前期比20.7%増)、セグメント利益405百万円(同60.8%増)、教育研修事業が売上高1,901百万円(同3.3%増)、セグメント利益185百万円(同1.9%増)となった。期初想定に対して、DX推進事業は好調な着地、第1四半期に学習塾運営事業売却による売上減少のあった教育研修事業は、第2四半期以降着実に売上を積み上げたがわずかながら未達となったようだ。
(1) DX推進事業
「Robo-Pat DX」については、引き続き現場の業務フローと必要な機能を追求することで、パソコン作業の使い勝手をよくするための改善を継続的に重ねた。また、さらなる事業拡大に向けて広告宣伝などを積極的に行い、特にWeb広告はある程度効率的な運用が可能となったため、コロナ禍が落ち着きを見せ開催頻度が増えてきた展示会などリアル広告を強化した。展示会でRPAや「Robo-Pat DX」に注目してもらい、Webで注文をもらうというようなWebとリアルの相乗効果もあったようだ。販売戦略として、Web広告や展示会のほか、従来行っていた営業活動により契約を獲得しサポートまで行う代理店に加えて、単にリードを紹介するだけであとは同社の直販部隊が契約に持ち込むパートナー制度を導入したが、このパートナー制度による紹介が非常に増えたようだ。
この結果、「Robo-Pat DX」の導入社数は2023年9月期末時点で1,192社(前年同期995社)となった。現場の最前線で業務にあたりながらRPAを使いこなせるようになるため「ロボパットマスター認定プログラム」も大変好評で、受講者数は1年少々で2倍の2,000人を突破した。特に「ロボパットマスター認定プログラム」は、チャーンレートの低下や顧客による社内横展開や他社への波及につながっており、同社にとっても効果は大きかったと言えよう。
(2) 教育研修事業
研修事業においては、人材強化を進めたい企業によるeラーニングに対するニーズが強まっていることを背景に、「Smart Boarding」が引き続き伸びており、導入社数も2023年9月期末時点で607社(前年同期468社)となった。これは、OEMパートナーが2023年1月スタート時の11社から9月末には45社となったことが主因で、OEMパートナーは、「Smart Boarding」をメニューに取り入れているHR系コンサル企業を中心に増加したようだ。このため「Smart Boarding」の売上額はまだ小さいが、数10%のペースで伸びている模様である。
教育事業は、2022年1月に学習塾運営事業を外部へ売却したことによる減収・減益の影響を受けたものの、その他の既存事業が全般的に堅調に推移した。なかでも手帳の販売に関しては、学校単位で営業する通常の手帳は得意としており順調だったが、「フォーサイトアプリ」は、現場の各学校でやり方が異なるため教育委員会での採用がやや遅いようで、利便性の高いアプリゆえ今後の巻き返しに期待したい。
(3) サービス別売上高
なお、サービス別の売上高は、DX推進事業に教育研修事業のEducation DXとHR DXを加えたDX推進コンサルティングサービスでは、「Robo-Pat DX」が引き続き拡大したことに加え、企業向けHR DXサービスの「Smart Boarding」のけん引もあり、売上高は2,492百万円(前期比22.4%増)となった。教育研修事業のうちEducationとHRの分野の人財育成コンサルティングサービスは、Education分野で学習塾運営事業売却の影響を受けたものの、その他のEducation分野の事業が堅調に進捗、HR分野でも全体として順調に推移したため、売上高は1,548百万円(同0.8%増)と増収を確保することができた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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