2. 中期経営計画
FCE Holdings<9564>は2023年5月、3ヶ年の中期経営計画(2023年9月期~2025年9月期)を策定した。売上高は毎期10%以上の成長、ストック型収益が積み上がり続けることで経常利益率は毎期25%以上の成長を見込み、2025年9月期に売上高4,915百万円、経常利益885百万円の達成を目指している。その前提として、「Robo-Pat DX」、「Smart Boarding」、「フォーサイトアプリ」を重点的に強化することで、導入社数・校数を戦略的に伸ばしていく計画である。
各サービスのKPIだが、「Robo-Pat DX」の導入社数は、短期的に紹介パートナー制度の拡大や地方展開、顧客間の横展開、中期的には業種特化事例によるクライアントの拡大、教育研修事業とのシナジーにより、2025年9月期末に1,380社以上を計画している。「Smart Boarding」の導入社数は、短期的にOEMパートナー契約社数の拡大や社員教育の仕組み作りのためのコンサルティングサポート、中期的にはタレントマネジメントシステムなどHRサービスとのシステム連携やDX推進事業とのシナジーにより、同780社以上を目指す。「フォーサイトアプリ」の導入校数は、短期的に学校向けの無料トライアル(24年度以降に有料化の予定)によるシェア獲得や教育委員会への浸透及び商品力の強化、中期的にはPOPERの学習塾向け業務管理プラットフォーム「Comiru」に実装することによる学習塾マーケットでの圧倒的シェアの獲得により、同1,000校を一気に達成する意向である。なかでも「Smart Boarding」の導入社数拡大は、教育研修事業内でのアップセルやクロスセルにだけでなく、DX推進事業とのクロスセルにつながる重要な位置付けにあるサービスと考えられる。また、「フォーサイトアプリ」はトライアル中ゆえ売上利益とも中期経営計画に織り込んでおらず、想定通り導入校数が伸びれば業績へのプラスオンが期待できる。
営業面で重視しているのがクロスセルである。「Robo-Pat DX」の顧客1,192社(2023年9月期末)と、「Smart Boarding」の顧客607社(同)や教育研修事業の顧客3,000社以上は、それぞれの事業が独自に成長してきたため重複する顧客が少ない。一方、DX推進事業では研修コンサルティング、なかでも人財育成に関する相談が増えており、教育研修事業では世の中の傾向と同様にDXニーズが強まっている。特に「Smart Boarding」の導入をきっかけに、人財育成ツールとして「Robo-Pat DX」を導入する顧客が増えており、同社の様々な商品・サービスへの入り口として「Smart Boarding」の導入社数が重要なKPIとなってきた。いずれにしろ、顧客間でクロスセルしていくことで、同社の成長は確度を上げ、スピードを速めていくと考えられる。さらに同社は、2024年9月期中を目処にホールディングス制度を解消することを検討している。ホールディングス制度の解消によって事業間の壁が低くなるため、クロスセルがよりスムーズに実施されることが予想される。さらに、より大きな事業間シナジーや人財交流の活性化、施策遂行スピードの加速、コストダウンなども期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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