1. グループシナジーで収益拡大を目指す
人材開発事業の市場環境としては、テレワーク環境となって組織内コミュニケーションの課題(日常的な会話機会の減少による情報不足、人間関係希薄化など)が具現化し、その解決策としてコーチングの理論と技術を活用した1on1ミーティングが注目されている。2020年9月に経済産業省が発表した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」から始まった人的資本に対する関心が、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて人的資本の情報開示が求められたことでさらに高まった。また、改正「企業内容等の開示に関する内閣府令」により、2023年3月期以降の有価証券報告書から、人的資本や多様性に関する開示が求められるようになり、人的資本の強化策を求める企業の具体的なニーズとして、ビジネスコーチングに対する期待が高まっている。
同社は中期経営計画を公表していないが、良好な市場環境も追い風に、当面の目標として売上高25億円規模、営業利益率18%~20%の早期達成を目指す。人材開発事業では、強みとしているエグゼクティブコーチングのサービスレベルの向上、マーシャル・ゴールドスミス博士との関係強化と世界標準のエグゼクティブコーチングの普及、アカウントマネジメントの強化による大型契約の獲得などを推進する。SXi事業は、コスト削減コンサルティングサービスで既存顧客へのフォローアップ強化やRPA業務拡大などによる顧客企業への支援拡大、ITサービスで大型案件の獲得やAIを活用した新たなソリューションの創出などを推進する。
これらの施策による人材開発事業とSXi事業の各々のオーガニック成長に加えて、中長期的には人材開発事業からSXi事業への顧客紹介、SXi事業のDXソリューションの人材開発事業への活用など、グループシナジーを高めることにより、企業が抱える課題の「人的資本経営や事業構造改革」を実現するパートナーとしての成長を目指す。なおサステナビリティ経営に関しては、現時点では具体的な目標や取り組みを設定していないが、企業が抱える課題の「人的資本経営や事業構造改革」を実現するパートナーとして、事業を通じて社会の持続的な発展に貢献するとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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