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2024/09/18 - アイスペース(9348) の関連ニュース。 ログミー IR Meet 2024秋 個人投資家 大交流会袴田武史氏(以下、袴田):株式会社ispace代表取締役CEOの袴田です。本日は、お集まりいただきありがとうございます。それでは、ispaceの行っているミッション、事業、そして将来どのようなことに取り組んでいく予定なのかについて、お話しさせていただきます。目次

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【QAあり】ispace、2024年冬にミッション2打ち上げへ NASA計画等を追い風に、高頻度な月面ミッションの展開を計画

投稿:2024/09/18 08:00

ログミー IR Meet 2024秋 個人投資家 大交流会

袴田武史氏(以下、袴田):株式会社ispace代表取締役CEOの袴田です。本日は、お集まりいただきありがとうございます。それでは、ispaceの行っているミッション、事業、そして将来どのようなことに取り組んでいく予定なのかについて、お話しさせていただきます。

目次

袴田:本日の内容は、スライドの4つです。2022年から2023年に、我々は初めてのミッションを行いました。まずはそちらについての総括をしたいと思います。

2点目に、ispaceが取り組むビジネスについて、3点目に、なぜispaceが世界競争に勝てるのかについてお話ししたいと思います。最後に、今年の冬にミッション2の打ち上げを控えているため、そちらに向けてのお話をします。

1. 2022年 ミッション1の総括。

袴田:2022年から2023年のミッション1についてです。報道などでご覧になっている方も多いと思いますが、2023年の着陸挑戦からすでに1年以上経ちました。まず、ミッション全体を説明している動画をご覧ください。

(動画流れる)

前回のミッション1では残念ながら着陸はできていませんが、実は驚くべきことに取り組んできました。

ispaceランダーが高度100km付近から撮影した、月面と「地球の入り」

袴田:我々は、月の写真や映像を多く獲得しています。スライドにあるのが一番象徴的な写真です。我々は、民間企業でこのように月と地球が一緒に写っている写真を実際に撮ることができた、最初の企業だと思います。

こちらは、月面の高度約100キロメートルから捉えたものです。実は、偶然オーストラリア辺りで日食があった時にこの写真を撮っており、地球の左下側が少し黒くなっているのは月の影です。このように非常に貴重な1枚となりました。

ispaceランダーが高度2,000km付近から撮影した月面の様子

袴田:スライドの写真は、特に私が好きな写真です。これは月面の高度約2,000キロメートルと、少し離れたところから撮られたものです。漆黒の宇宙の中で月が輝き、月が近づいてきているように感じられる、非常に印象的な写真かと思います。

高度約100キロメートルから撮影した動画

袴田:スライドは、月面の高度約100キロメートルから撮られた動画で、月の光の加減で月の表情が非常によくわかるものになっています。

ispace Mission1 Milestones

袴田:このミッションの本質的な重点は、月面着陸する技術を検証していくという、技術検証のプロセスでした。そのために10個のマイルストーンを事前に公表し、一つひとつしっかりとクリアし、知見を蓄えていくことを最重要視していました。今回、着陸はサクセス9という9番目で、残念ながら完遂できませんでした。形式的にはサクセス8までしっかりと実現できたかたちです。

サクセス8を達成するまで、我々の着陸船のハードウェア/機器はしっかりと動いていたことが確認でき、非常に大きな成果が得られました。また、着陸できなかった原因のソフトウェアの部分も、その原因が明確にわかっているため、次のミッション2に向けてしっかりとフィードバックしていくことが、何よりも重要だと考えています。

月面着陸には至らなかったものの、ランダーが安定して垂直の着陸態勢に移行したことを確認

袴田:サクセス9の中でも、さらにフェーズが分かれています。着陸船が横向きから縦になり、着陸態勢に向かっていくのですが、スライドの黄色の丸は、着陸船が垂直になり着陸寸前まできていることを表しています。実はここまではしっかりと実行できていたことがデータからわかっており、非常にすばらしい結果だったと考えています。

1. 2022年 ミッション1の総括 – 着陸フェーズ

袴田:しかし、着陸はできませんでした。失敗の要因について、この着陸船は、高度を測りながら、徐々に速度を落として着陸に向かっていきます。その高度センサーは機能していたのですが、途中で着陸船側の高度の認識に誤りがあり、着陸できませんでした。

月面は起伏が多く、高さ約5キロメートルの起伏をセンサー自体はしっかりと捉えていました。しかし、ソフトウェア側が「これほど大きな差がいきなり開くというのは、センサーの故障ではないか」と判断し、その数値を今後は使わないという判断をしてしまいました。

そのため、着陸船はすでに地面すれすれにいると判断し、着陸態勢をとっていたのですが、実際は高度5キロメートル付近をホバリングしているようなかたちで着陸を待っていたのです。そして、残念ながら途中で燃料が尽きてしまい、自由落下してしまいました。

着陸船の経路解析

袴田:この後の解析で、着陸船はクレーターの縁をとおっていたことが判明しました。スライドの写真の赤から青に変わるところに、5キロメートルほどの高低差があります。もともとは赤い丸で示した、大きなクレーターの中の数キロメートルほどの平らな地点に着陸する予定でしたが、その前のクレーターのところで、着陸船のソフトウェアが高度をしっかりと把握できなくなったことが原因です。

このように、原因は非常に明確です。ソフトウェアを改善したり、飛行経路を変えたりしてこのようなリスクをしっかりと取り除き、ミッション2では月面に着陸できるようにしていきます。

1. 2022年ミッション1の総括 – HAKUTO-R

袴田:ミッション2がこの冬に始まります。「HAKUTO-R」とは、ミッション1とミッション2の総称で、パートナーシップのプログラムです。この2つを技術検証のミッションと捉えて、しっかりと月面に着陸する技術を獲得していきます。

ミッション1は、月面着陸のみがターゲットでしたが、ミッション2では月面着陸に加えて、我々がヨーロッパ側で開発しているマイクロローバー(小型月面探査車)を持って行き、月面探査の技術検証まで行うという、より踏み込んだ技術検証をしていく予定です。

次に、開発中のミッション2の動画をお見せします。

(動画流れる)

動画は現在、JAXAの筑波宇宙センターにて、組み立てと最終試験を行っている様子です。

2. ispace が取り組むビジネスとは – 主要サービス

袴田:ispaceが取り組むビジネスについてです。我々は今、着陸船を開発し、月への輸送サービスを立ち上げ、3つの大きなビジネスに取り組んでいます。

一番コアになるのが、ペイロードサービス(月への輸送サービス)です。1キログラム当たりいくらというかたちで、荷物を混載して月に運んでいきます。お客さまとしては、国の宇宙機関や民間企業も含めて、月に行きたいお客さまを連れて行きます。

次に、今後大きくなっていくのがデータビジネスだと考えています。月には、すぐに多くのプレイヤーは行けませんが、これから月の開発が本格化するにあたり、その計画をするためにも、事前に月の環境データや技術データが必要になります。我々は、高頻度のミッションでそのようなデータを獲得し、提供していきます。

さらに、足元ではパートナーシップサービスという広告価値をうまく利用した事業を行っています。具体的には、ispaceのランダー(月着陸船)およびローバーに多くの企業スポンサーのロゴを掲載しています。ただし、こちらは単なるスポンサーではなくパートナーと呼んでおり、技術面や事業開発面で協業し、さらにそれをマーケティングに活かしていくという仕組みです。

2. ispaceが取り組むビジネスとは – 事業環境

袴田:みなさまは、宇宙がこれから大きな産業になっていくことに関心を持ちながら、個人株主として投資をする、あるいは投資を検討していただいていると思います。これから宇宙産業が全体で1兆ドル規模に成長していく中で、月に関しても、大きく成長していくと考えています。

その中心となっているのが、NASAのArtemis(アルテミス)計画です。Artemis計画は、アポロのように月面に宇宙飛行士を送り込むのですが、大きな違いは、1回行って帰ってくるだけではなく、今後、定常的に月、または月の周りで活動ができるインフラを築いていくことです。

インフラを築くことで、火星を探査できるプラットフォームにしていくことが大きな構想になっています。したがって、これから月で定常的に事業活動が展開できるようになるというのが大きなポイントです。

そのために、アメリカは多くの国々と協力しながら、今後必要になる建設、発電、通信、モビリティなどの月面での技術開発にもこれから取り組んでいきます。その中で、そのようなものを運ぶための輸送ニーズが必ず出てきます。ここが、我々がまず軸として取り組む領域です。

2. ispace が取り組むビジネスとは – 事業環境

袴田:我々は、人類が宇宙に生活圏を築いていけるような世界にしていきたいということで「Expand our planet. Expand our future」というビジョンを掲げています。人類が持続的に宇宙で生活ができるようになるには、やはり宇宙に経済を作っていく、エコシステムを作っていく必要があると考えています。

そのエコシステムの最初のドライブになるものが、エネルギー資源です。エネルギー資源として、月には水があることがわかっているため、その水を使って、水素や酸素を生み出していきます。この水素や酸素が、宇宙船の燃料になります。

宇宙への輸送が今、一番大きな課題です。非常にコストがかかる点、さらに、地球からすべてのものを打ち上げなければいけない点が問題になっています。しかし、その燃料を宇宙で獲得できるようになると、宇宙への輸送を低コストで賄うことができます。したがって、今後、NASAなどが火星に行きたいという時も、低コストで実現できます。

我々は、今後の地球上での人間社会は宇宙のインフラによって支えられていく時代になっていくと考えています。宇宙での地球周りのインフラを拡大する時にも、燃料消費は非常に大きくなっていくと思います。低コストで安定的な宇宙インフラを構築していくためにも、宇宙支援を活用していく道筋が非常に重要なのではないかと思います。

2. ispaceが取り組むビジネスとは – ハードウェア

袴田:ただし、これは非常に中長期的なもので、我々はまず事業として、エコシステムの源泉になるサイクルを回していかなければいけません。そのためには、輸送から事業を進めていこうと考えています。

当初はローバーを手がけていましたが、現在はランダーの開発まで拡大しており、小型ものから徐々に輸送能力を増やしているところです。ランダーとしては、「RESILIENCE」というミッション1、ミッション2で使うR&Dのモデルと、商業化に向かって大型化していく「APEX1.0」というアメリカで開発しているもの、「シリーズ3」という輸送能力を増大したものを日本側で開発しています。

月面に降りた後も輸送が必要になるため、そちらについてはルクセンブルクでローバーを開発しています。

2. ispaceが取り組むビジネスとは – ミッション計画

袴田:これらを使って、今後は高頻度なミッションを組み立てていきたいと考えています。直近で控えているのは、日本側でのミッション2と、アメリカ側でのミッション3です。さらに、ミッション4、ミッション5もアメリカで行う計画となっており、ミッション6は日本で拡大していくことを思い描いています。

kenmo氏(以下、kenmo):ミッション2は今年の冬に打ち上げ予定となっています。今後もさまざまな発表やイベント等を計画していると思いますが、直近ではどのようなものを予定していますか?

袴田:先日、JALさまと一緒に「TENACIOUS」というルクセンブルクで製造したローバーの日本到着イベントを実施しました。来週には、ランダーの開発状況をご報告するイベントを予定しています。こちらは詳細が決まりましたら、SNSなどでお知らせしたいと思います。

kenmo:ミッション2では、高砂熱学工業やユーグレナ、台湾の国立中央大学、バンダイナムコ研究所などがペイロードサービスの契約を締結しています。この中には宇宙ビジネスに関連しないような企業もある中で、足元ではどのようなニーズがあるのでしょうか?

袴田:今挙げていただいた企業は、本業が宇宙ビジネスではないため、いささか距離があると思われる方も多いと思います。

例えば、高砂熱学工業さまは、ビルの空調メンテナンスのエンジニアリング技術を有する会社で、今後は水素エネルギーを活用していくような事業戦略を持っています。水素エネルギーの中で重要な技術が、水を水素と酸素に分ける水電解で、これは月で水が発見された時に水素と酸素に分けていく技術と共通する部分です。

そのようなところで、今後の事業展開なども視野に入れながら技術開発をしていくために、ミッション2では世界で初めて月面での水分解の技術検証をする予定です。

ユーグレナさまはミドリムシを中心とした事業を展開している企業です。今回はミドリムシを月に持っていくわけではないのですが、似たような藻類を持っていき、月面で培養を試みる実験を行います。この検証によって、将来的には培養した藻類を使ってエネルギーを生み出したり、食料を生産したりすることにつながっていくと考えています。

kenmo:ミッション3以降については、ポテンシャル顧客へのアプローチを行っているところだと思います。現時点の顧客開拓状況や引き合いの状況について教えてください。

袴田:現在、月の輸送事業における大きなお客さまとしては、やはり国が中心になっていくと考えています。アメリカではNASAのArtemis計画がありますし、日本ではJAXAさまとトヨタ自動車さまが共同で月面油圧ローバーを開発しており、今後はArtemis計画に対する協力が増えていきます。

その中で、政府は民間の能力を活用して、宇宙ミッションを実行していこうと動いています。我々としては政府をお客さまとして、荷物を輸送していくような案件が多く出てくるだろうと考えています。

将来的に、月の資源を活用するようなフェーズになると、やはり民間企業が主体的に関わっていくことになります。ただし、いきなりそのような事業はできないため、まずは技術開発で知見を蓄えていくという意味で、高砂熱学工業さまのような民間企業も、月面輸送のお客さまとして出てくると考えています。

3. なぜispaceが世界競争に勝てるのか – ①強い政府からの受注_各国の方針

袴田:では、なぜispaceが世界の競争に勝っていけるのかについてお話しします。まず1点目は、宇宙開発、特に月のミッションというと、政府が中心なのではないかと考える方が多いのですが、現在は政府だけで取り組むのではなく、民間の能力をうまく活用してミッションを実行する世の中になってきました。

この背景には、スペースXが大成功を収めたことがあります。それによって、日本もアメリカもヨーロッパも、宇宙全体だけではなく月も民間の能力を活用していく流れができ始めてきています。

日本では、産業界に10年で1兆円支援する宇宙戦略基金という大きな取り組みが行われています。アメリカでは、CLPS(Commercial Lunar Payload Services:商業月面輸送サービス)という、商業的に月面輸送のサービスを買うようなプログラムが始まっています。こちらは、2028年までに10年間で26億ドルを調達する方針とのことです。

ヨーロッパでも、我々の拠点があるルクセンブルクが国として宇宙資源を産業化していくという大きな政策を発表しています。ルクセンブルクも、ヨーロッパの宇宙機関であるESA(欧州宇宙機関)のメンバーのため、今後はESAの月のプログラムにおいても民間を活用していくものが出てくるだろうと考えています。

3. なぜispaceが世界競争に勝てるのか – ①強い政府からの受注_日本

袴田:日本においては昨年、SBIR(Small Business Innovation Research:中小企業技術革新制度)というスタートアップ支援の5ヶ年計画の中で、5年間で2,000億円をスタートアップに支援していく政策が発表されました。その一環として、我々も国産の「月面ランダー開発・運用実証」に採択され、5年間で最大120億円の開発資金の補助をいただけることになっています。

また、宇宙戦略基金は10年間で1兆円の予算が組まれています。こちらは宇宙全体を対象にしているため、月だけではありませんが、宇宙戦略基金の運用の大本となる宇宙基本計画では月が大きく取り扱われており、月にもそれなりの予算がくるものと想定しています。

すでに、第1期と呼ばれる1回目の計画が発表されており、3,000億円分の予算が割り振られています。ここにも月関連のテーマが入っているため、これから月が大きくフォーカスされるのではないかと考えています。

3. なぜispaceが世界競争に勝てるのか – ①強い政府からの受注_米国

袴田:一方、グローバルで見るとNASAがもっとも資金を持っていて、我々としても大きな市場だと考えています。NASAのCLPSプログラムについては、我々もすでに参入しています。

ミッション3はアメリカで実施するとお伝えしましたが、こちらはNASAのCLPSで発注を受けた荷物を月面に運ぶ予定です。アメリカのパートナーであるDRAPERと組んで、NASAにサービスを提供していくのですが、すでに5,500万ドル分は我々が受け取れる売上として受注しています。

このミッションは、月面の南極裏側に約100キロの荷物を3つ運ぶものとなっています。月面の裏側に着陸すると地球と直接通信ができないため、2機の通信リレー衛星も一緒に持っていく計画です。現時点では2026年の打ち上げを想定しています。

3. なぜispaceが世界競争に勝てるのか – ②月ビジネスの先駆者

袴田:このような政府のマーケットが大きく花開いている中で、我々はグローバルに事業を展開していますが、月面輸送の事業においては、世界で見ても先駆者です。

特に、小型で高頻度なミッションでは、アメリカ以外ではispaceしか事業として取り組んでいませんし、アメリカでも実は3社ほどしかありません。この3社でも、月面着陸まで実行できているのはIntuitive Machines社のみです。我々はほぼ着陸まで到達しているため、グローバルで非常に良いポジションにいると考えています。

3. なぜispaceが世界競争に勝てるのか – ③グローバル展開

袴田:アメリカの企業は、特にNASA向けにサービスを提供していますが、アメリカ以外にも十分なマーケットはあります。アメリカの3社と我々との違いは、我々がグローバルに事業を展開しているところです。日本のみならず、アメリカとヨーロッパにも拠点を持って、各地域の宇宙機関の案件獲得をしっかりと進めています。

日本のJAXAはもちろん、アメリカのNASA、カナダの宇宙庁、ヨーロッパの欧州宇宙機関、ルクセンブルク宇宙局、ルーマニア宇宙局との契約を保有しています。加えて、最近は中東でも宇宙に対する投資が始まっているため、UAEの宇宙機関であるMBRSC(Mohammed Bin Rashid Space Centre:ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター)でミッション1を契約し、事業を構築し始めています。

3. なぜispaceが世界競争に勝てるのか – ④資金調達力

袴田:このようにグローバルで事業を構築していくとなると、やはり資金が重要になってきます。我々はベンチャー時代から、株式調達によってかなり積極的に資金調達を行ってきました。シリーズAでは、当時国内で初めて100億円超となる資金調達を実施し、上場してからも株式調達を行い、累計で300億円超の資金を調達しました。

加えて、日本のメガバンクを中心に融資もしていただいており、こちらも累計では300億円を超えています。宇宙開発、特に月面輸送には初期の開発コストがかかってくるため、我々の資金調達力をもとに事業を加速していきたいと考えています。

3. なぜispaceが世界競争に勝てるのか – ⑤経営陣

袴田:さらに、事業をリードするには強力な経営陣が必要です。当社の取締役会では、多様な知見を持つベテランの方々に支援していただいています。

宇宙というと、どうしても技術や宇宙の特殊性がフォーカスされます。それは当然のこととして、事業として行っていくためには、今まで宇宙開発に取り組んでいた人にはない知見をしっかり取り入れていかなければいけません。

例えば、日揮ホールディングスの元社長・川名浩一さんらに参画いただいており、確実な経営に取り組んでいきます。実際に経営を執行するメンバーについても、現在はCXO体制を敷いていますが、日本ではCEOの私に加えて、CFOの野﨑順平、CTOの氏家亮、CROの斉木敦史、CPOの今村健一の5名がいます。

さらに、アメリカとヨーロッパでも事業にしっかり取り組んでいくため、グローバルチームとして、アメリカとヨーロッパのトップもそれぞれ経営メンバーに入れ、実行しています。特にアメリカはこれから重要になってくるため、元NASA宇宙飛行士・Ronald J. Garan Jr.に先導してもらい、経営しているところです。

3. なぜispaceが世界競争に勝てるのか – ⑥壮大なビジョンに共感いただくパートナー

袴田:さらに、我々が世界で勝っていくには、短期的なところだけではなく、長期的なビジョンをしっかりと持ち、日本だけではなくて世界に貢献できる企業になっていきたいと思っています。

月にエコシステムを作っていくことは、日本のみならずアメリカ、ヨーロッパでも通用するビジョンです。このような大きなビジョンをしっかりと描き、それに向かうステップを実行していくことで、世界をリードしていきたいと思っています。

そして、何よりも重要なのが、このビジョンに共感していただくことです。「HAKUTO-R」の事業パートナーもそうですし、個人株主のみなさまにもご支援をいただきながら、取り組んでいきたいと考えています。

当社の行動指針の1つに「Get People Involved」というものがあります。多くの人たちを巻き込んで潮流を作っていくことに、組織として取り組んでいきたいと考えています。

4 終わりに:そしてミッション2へ!

袴田:いよいよミッション2に向かっていきます。このミッション2を盛り上げるためにも、ispaceの長期的なビジョンを表した動画があります。まず、こちらをご覧ください。

(動画流れる。以下、動画の書き起こし)

袴田:月へ行くことがゴールなのではありません。私たちが月に行くのは、その先に本当の目的があるからです。私たちが創り出さなければならないものがあります。

ispaceは人類の未来のために礎を築きたいです。そのためには、しっかりと存在感を示し、宇宙に持続可能なインフラを整え、かつ成長させる必要があるのです。

「シスルナ(=地球と月の間)経済圏」。採水され精製された月の水は、不可欠なエネルギー源となり、シスルナでの人類の活動を拡大し、地球上の生活に持続的に恩恵をもたらします。 そしてispaceは、この貴重な資源探査と開発のまさに最前線にいるのです。

最初のミッションでは、私たちの能力を世界に示しただけでなく、ランダーのハードウェアの航行能力を実証し、また、設計、製造、検証、運用といった一連のプロセスを検証することができました。

貴重なデータを収集し、そこで培った経験は、すでに今後のミッションに大きく役立っています。一分の隙もなく、ミッション2の準備と実行のために、ミッション1で学んだことすべてを活用しています。

そして、ispace-U.S.が率いるミッション3も、並行して準備が進められています。私たちは、継続的かつ持続可能な輸送サービス、ミッションのための基礎を築いているのです。

斉木敦史氏:月と太陽系における将来の活動の原動力となるのは、シスルナ経済圏の創出です。ispaceはその中心に位置し、市場でもっとも包括的な月輸送サービスを提供しています。お客さまのペイロードを、月の周回軌道や月面へと運ぶのです。

今まさに、月面に人類が滞在するためのインフラ整備の基礎固めをしているところなのです。月への輸送はもちろんのこと、水資源の活用、エネルギー開発、通信整備、そして月環境に関する多くのデータは、人類の月での活動を維持する上で非常に重要です。

ispaceは、政府、学術機関、宇宙関連企業、非宇宙関連企業を巻き込みながら、ミッションに取り組んでいます。私たちは、革新的な技術を検証し、月面で運用するための初めの一歩をともに歩むのです。

月への着陸がすべてではありません。人類はすでに、それを50年以上前に成し遂げています。そこには克服すべき新たな、困難な技術的課題があります。

氏家亮氏:しかし、私たちは自信を持っています。過去と現在進行中のミッションから学び続け、技術的な課題を克服します。さらに、ispaceは月特有の課題に対して、もっとも費用対効果の高い解決策を見出すこともできるのです。

高頻度のミッションスケジュールのおかげで、私たちは設計を改良し、適応させ続けることができます。これにより、さまざまなミッションの実施や、ミッションのたびに少しずつ高い目標設定が可能となり、お客さまにカスタムメイドのソリューションを提供することができるのです。そしてこの自信があるからこそ、私たちは決して、月面探査を諦めることはないのです。

野﨑順平氏:月への探求を続けるispaceは、お客さま、政府、パートナー、投資家、金融機関からの支援に支えられています。これらすべてのステークホルダーのみなさまが、シスルナ経済圏の中心的な役割を担っているのです。

シスルナ空間において持続可能な経済圏を構築するには、技術実証だけでは十分ではありません。私たちは独りではないのです。サポーターからの信頼が、私たちのビジョンが必ず実現するという自信を与えてくれるのです。

ispaceは、これまで不可能とされていたことを可能にします。私たちは月の開発だけでなく、人類と地球に確かな価値を還元できる経済システムへの道を開くのです。それは技術的な進化や社会の発展、そして、経済的利益などでしょう。

今村健一氏:宇宙と月に国境はありません。会社の革新的な精神をともにし、世界中から集結したispaceのクルーは、真の「地球市民」として働いています。人間中心のアプローチだけが、私たちのビジョンを実現する道なのです。

ispaceは特別な場所です。なぜなら、高く、そして大きな志をともにできる仲間がいるからです。

ロナルド・J・ギャレン・ジュニア氏:ispaceには、宇宙ビジネスにおいてもっとも有能で、献身的で、そして勤勉な仲間がいます。ispaceのクルーは、技術的能力が卓越しているだけでなく、ispaceの明確なビジョンと起業家精神によってその卓越性が増幅され、継続的な事業遂行に必要な耐久性と忍耐をもたらしています。

こうして私たちは、業界でもっとも包括的で、お客さまのニーズにあわせたシービスパッケージを提供できるのです。

ジュリアン=アレクサンドル・ラマミー氏:ispaceは、他のどのような企業とも違います。地球と月の距離を縮めて1つにするという大胆なビジョンを持っているのです。私たちは、真のワンストップ・ショップ、すなわち、お客さまが必要なサービスのすべてをサポートしています。

お客さまのニーズにあわせたソリューションを提供し、お客さまのペイロードを月周回軌道や月面に届けるだけでなく、月面探査車に搭載して月面でのモビリティを提供することで、さらに一歩踏み込んだサポートができるのです。月面着陸のその先に、必要とされることを提供する準備ができているのです。

そして私たちのクルーは、宇宙、そして、今や月ミッションにおいて、驚異的な経験値を有しています。クルー全員が1つのビジョンの実現に向けて全力で取り組んでいるのです。

袴田:私たちは自分たちの成果を誇りに思っています。しかし、探求をやめることはありません。地球上と宇宙空間における人類の未来を創る使命があります。

この新しいシスルナ経済圏の扉はすでに開かれています。ともに、月を探求しましょう。未来のために、地球上の暮らしを宇宙へ広げましょう。すべての人類のために。

(動画終わる)

M2 いよいよ 2024年冬 打ち上げ!

袴田:ミッション2についてあらためてご案内します。ミッション2は、いよいよ2024年冬の打ち上げに向けて進んでいます。これから、ニュースの頻度も高まっていくと思います。ぜひ、SNSをフォローしていただければと思います。

4. 終わりに:そしてミッション2へ!

袴田:さらに、株主のみなさまと一体感を持ってミッションを迎えていきたいと考えており、先日、株主優待も発表しました。

3つの大きな特典があり、イベント参加の応募権や、LEDアクリルスタンド、そして一番魅力的なものとして、ミッション2で得られた画像・映像を株主さま限定で提供するカットもご用意しようと考えています。

質疑応答:株主優待について

質問者:株主優待について、私も楽しみにしています。これは1,000株持っているとすべての権利をいただけると聞いています。③の株主限定写真は、サイズはどれぐらいのものでしょうか?

また、要望なのですが、私は部屋に飾りたいため、有償でかまわないので、大きめのパネル販売のようなことも考えていただけるとありがたいなと思います。

袴田:株主になっていただき、本当にありがとうございます。株主優待に関してはご認識の通り、1,000株以上保有の株主さまは、①、②、③すべてを提供させていただくことになっています。

写真の大きさについては、今検討しており、詳細が決まり次第ご案内できればと思います。部屋に飾っていただける大きなもののご要望についても承りました。検討させていただければと思います。

質疑応答:受注対象の国について

質問者:顧客は政府が多いというお話でした。例えば、東側の中国やロシア、北朝鮮などの国から仕事の依頼があっても受注できるのでしょうか?

あるいは、御社としてはすべての国から受注したいと思っていても、その国のしがらみや制約があり、将来も含めてすべての国から受注するのは難しいのでしょうか? 受注は限られた国になるだろうという見通しなのか、御社の考えをお聞かせください。

袴田:こちらは非常に重要なポイントだと思います。宇宙の事業に携わると、やはり安全保障は非常に重要です。

その安全保障の中でも、事業として一番根本になってくるのが輸出規制です。日本も当然、外国為替及び外国貿易法の中で輸出規制がありますし、アメリカはアメリカにおける輸出規制、ヨーロッパも輸出規制があります。

我々は宇宙事業を、日本、アメリカ、ヨーロッパで行うにあたって、上場企業としても、ガバナンス、コンプライアンスとしての法遵守はしっかりとしていきたい考えです。そうすると、輸出規制の中で、我々の事業のフィールドがある程度限られてきてしまうという実態はあります。

宇宙の近い技術は、やはり安全保障上、制約が多いケースが多く、中国などにはなかなか輸出ができません。我々はお客さまにサービスを提供する中で、技術的な情報も提供しなければいけないことがあるため、それができないと、お客さまにしづらいのが実情です。

このような現状の中で、1つのビジョンとして、我々が構想するこれからの月を中心としたシスルナ経済圏は、平和的な産業になってほしいと考えています。今の状態から平和的に、お互いの国が協力できるような世界を目指していきたいという思いは引き続き持ち続けたいと考えています。

質疑応答:月の資源活用にかかわる法の定義について

質問者:将来的な事業の中で、月の資源を活用していくというお話がありました。国際法の中の、宇宙法的な定義の中では、非常に公共性の高い空間の中にあるものとして、どのようにして利用が可能になるか、現時点で定義があまり明確でない部分があるようにも感じられます。その点の可能性はどのように捉えていますか?

袴田:非常にお詳しいですね。宇宙資源の利用については、国連で以前に宇宙条約が定められており、200ヶ国近くが加盟しています。その宇宙条約は、宇宙での国家による所有権を発生させないという趣旨のもと制定されています。そのため、宇宙で国家が所有権を主張することが、基本的にはできない構造でした。

宇宙資源については今、そこから一歩進んで整理が行われつつあるという認識です。月や天体自体は所有できませんが、そこで取れた動産になった資源については、民間企業や個人が所有して売買していいという考え方が通用するだろうという議論が行われてきています。

先行してアメリカ、日本、ルクセンブルク、UAEが、国内法として、動産になった資源を民間企業が所有して売買できるという法律を作っています。ただし、国際的には、正確にはまだ合意されたわけではなく、これからです。

NASAが主導するArtemis計画の中で、各国とアルテミス合意が結ばれつつあり、その中で宇宙資源の利用をできるようにしていくことが1つの大きな項目になっています。これから、国際的にも法整備が行われていくと理解していますし、今、国連でも宇宙資源の利用についての小委員会ができ、複数年で議論していく場ができています。したがって、これから進展があるものと考えています。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:次回の月面着陸の際には、衛星からのリアルタイムでの中継画像・映像は公開されますか? アポロ11号の中継映像のような感動を期待しています。

回答:次回(今年冬に打上げ予定のミッション2)においても、当社のランダー及びローバーにカメラを搭載しており、ミッション1同様、画像や映像を撮影予定です。着陸時のリアルタイム映像は、通信の容量が限られている関係上難しい側面もございますが、皆様がリアルタイムのランダーの様子をイメージできるように工夫し配信したいと考えております。

また、着陸後にはハイゲインアンテナを使用し通信を拡大することでさまざまな画像・映像をお届けできたらと考えております。

<質問2>

質問:宇宙事業の国際競争が今後激しくなり、日米欧と競合する国または企業の進捗次第でispaceが直面するかもしれない重要な事業リスクを教えてください。

回答:現時点において当社の競合は米国に3社のみとお伝えしたとおりであり、宇宙開発においては5年10年の研究開発の期間が必要となることが一般的であることを踏まえると、競合環境が現在より短期間のうちに大きく悪化するとは考えておりません。

どちらかといえば、スライドP.21において日・米・欧を中心に政府機関から民間企業へ月面輸送を委託することが増えていく想定とお伝えしましたが、政府機関からの発注に一定程度依存することに事業リスクが存在すると考えております。

一般に政府機関からの発注については、国家予算による影響を受ける傾向があり、当該予算次第では、政府機関からの発注自体が少なくなるか、発注内容が変更若しくは取り消される可能性があります。

また、政府機関からの発注への応募についても一定の当該国での内製化要件等が課される場合もあり、当社が必ずしも応募できるとは限りません。加えて、当社が期待する水準の単価とならない可能性があります。

しかしながら、当該リスクに対し、当社はグローバルに官民問わず営業し売上の依存先を減らすことで、リスク低減を図っております。なお、政府機関からの受注に関しては、現在月面輸送ニーズが既に顕在化している日・米・欧の政府機関だけでなく、既にミッション1においてカナダ及びUAEとも輸送サービスの契約を締結しており、このように多様な政府機関に積極的に営業を推進してまいります。

<質問3>

質問:御社の成長戦略が実現する前提として、月面での資源開発が推進される環境が必須と思いますがあまりにも荒唐無稽で実現性に疑問を持たざるを得ません。月面でなければ開発できない資源などあるのでしょうか?

地球上で資源開発する方がはるかに低コストであり、わざわざ月面まで赴く必要性がないのではないかと思ってしまいます。どういった条件がそろえば月面で資源開発が推進される世の中になるとお考えなのか、ご教示ください。

回答:スライドP.16からP.17にかけてご説明しましたが、月がビジネスの舞台として注目されている理由としては、①ロケット等の推進燃料の元となる水資源があること、②6分の1の重量しかないことが挙げられます。

①について、水は電気分解すると水素と酸素に分かれ、ロケット等の推進燃料になります。地球から打ち上げる際に大量の燃料を積まずとも、月で推進燃料が補給できれば、月の先にある深宇宙へのアクセスがより効率的・容易になります。

加えて②について、月には6分の1の重力しかなく、かつ大気もないため、地球よりもはるかに少ないエネルギーでの打上げが可能になります。

この月の特徴に注目し、既にアメリカではアポロ計画に次いで、月面へ物を輸送し月面探査・開発を行うArtemis計画が動いております。そのArtemis計画では、月面の拠点化が構想の範囲となっていることはWEBサイトでも確認できる状態となっております。

ispaceは、このArtemis計画を皮切りに、月面輸送ニーズは拡大すると予想しており、それを我々のビジネスチャンスと捉え、当社の開発するランダーやローバーにお客さまの荷物を載せ、月面に運ぶという輸送サービスを展開しております。

<質問4>

質問:黒字転換の時期、そこまでのロードマップをご説明いただきたい。

回答:ispaceが収益を黒字化させていくための鍵は3点あります。①積載容量の増加による売上増加、②量産化によるコスト低減、③ミッション頻度向上により利益を蓄積の3点です。

①について、ミッション2で使用する「RESILIENCEランダー」のデザイン上のペイロード重量が最大30キロであるのに対し、ミッション3で使用する「APEX 1.0ランダー」のデザイン上のペイロード重量は最大300キロになります。これにより売上の拡大を見込んでいます。

②について、開発コストはミッションを重ねて量産化が進むにつれて低減させていくことができると考えています。足元のミッション3やミッション6は、それぞれ「APEX 1.0ランダー」や「Series 3ランダー(仮称)」のような初期モデルであることから、初期的な開発コスト負担が大きく、どうしても収益化が困難となっています。

今後量産が進むにつれて同じモデルを使っていきますので、初期開発コストが減少するとともに継続発注による部材のディスカウント等により、足元は赤字となっている1ミッションあたりの収益を徐々に黒字化させていくことができる考えです。

③について、ミッション頻度の増加によって収益化を加速させることが可能です。将来的には年間2回から3回のミッションを実施する計画であり、累積的な利益拡大を目指します。

以上3点を踏まえ、ミッション単位ではミッション4以降に黒字となることを目指し事業活動を推進しております。会計年度ベースで考えた際には、その時採用する売上の計上基準にもよるため明言が難しい状態ではありますが、黒字ミッションの貢献がその他赤字ミッションの影響や全社費用の影響を上回ったタイミングでの黒字転換を想定しております。なお、各ミッションがどの会計年度に影響するかのイメージ図は上記のスライドのとおりです。

配信元: ログミーファイナンス

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