1. 2023年6月期連結業績の見通し
アクシスコンサルティング<9344>の2023年6月期連結業績は、売上高は前期比799百万円増加の4,313百万円(同22.8%増)、営業利益は同149百万円増加の651百万円(同29.9%増)、経常利益は同125百万円増加の619百万円(同25.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は同81百万円増加の406百万円(同25.1%増)を見込む。2023年5月に業績予想の上方修正を行った。
人材紹介事業においては事業会社向けの案件が想定より下回るものの、コンサルティングファーム向けの案件に注力することで、高収入のコンサルティングファームのマネージャー以上の案件が好調に推移しており、期初予想を上回る見込みである。スキルシェア事業においては、「フリーコンサルBiz」の利益構造を改善し、プロジェクトを選別したため稼働人数は減少するものの、稼働率の高いコンサルティングファーム向けの案件が増加し、期初予想とほぼ同水準の売上高となる見込みである。
2. 成長戦略
社会課題が高度化するなか同社は、ハイエンド人材の最適かつ再配置を進めることで、企業の課題解決及び価値創造を支援する。その実現に向けて、人、PR・マーケティング、システムに投資をする計画である。同社は成長戦略として、コンサルティングファーム向けの正社員採用サービスに継続して注力しつつ自社サービスをより効果的かつ効率的に展開するため、リカーリングビジネスを推進し、事業会社向け正社員採用サービス・「フリーコンサルBiz」・「コンパスシェア」の拡大をねらう。そのカギを握るのが自社データベースの活用総数の向上である。2025年6月期までの重点施策として、1)「コンパスシェア」によるデータベースの自律的拡大を目指す「副業サービス強化」、2)クロスセルチーム立ち上げによるソリューション提案力の強化を目指す「アップセル・クロスセル強化」、3)人材獲得・企業獲得のための広告宣伝・プロモーションを戦略的に図る「マーケティング強化」、4)リカーリングビジネス活性化のためのデータベース整備やサービス拡充のための「システム投資」、の4つに取り組み、データベースの総量拡大及び活用率の向上を図る。
(1) 副業サービス強化
副業という新たな登録動機を興すことで、従来の正社員転職者やフリーランスよりも広い人材との接点を確保し、「コンパスシェア」への登録・更新を促す。転職希望者やフリーランスが案件獲得のため自身の情報を積極的に登録・更新することを促すほか、転職希望者やフリーランスからの応募の増加を図る。これにより企業にとっては利便性が高まり企業の相談件数の増加が見込まれる。これを受け、ハイエンド人材のさらなる集客にもつながるという循環が生まれる。「コンパスシェア」のサービス価値が向上するだけでなく、「コンパスシェア」を通じて同社データベースの総量拡大を目指す。
(2) アップセル・クロスセル強化
同社は、事業会社向けの正社員採用サービス、「フリーコンサルBiz」「コンパスシェア」を総合的に提案する「クロスセルチーム」を立ち上げ、事業会社向けのソリューション提案力を強化する。従来は事業ごとに個別の担当者が提案していたが、これをチームで総合的な提案を行い、さらなる活用率の向上につなげる。これにより、正社員求人を行う事業会社に対しよりフリーコンサルタントの利用提案を成功させるほか、フリーコンサルタントが課題解決後、内製化のニーズに応え正社員採用となることも促進する。
(3) マーケティング強化
同社グループは、サービス認知及び人材・企業獲得への広告投下、コーポレートブランディングへの広告投下を積極的に行う。
人材獲得の広告は、転職・フリーランス・副業に興味を持つ幅広いハイエンド人材向けに、Web広告やメディア媒体等のチャネルを組み合わせながら戦略的な広告投下を行う方針だ。企業獲得においては、従来、問い合わせや登録人材からの紹介が主な顧客開拓手段であったが、今後は事業会社の新規獲得を目的にWeb広告メインのプロモーション活動へ積極的に投資する。加えて、コーポレートブランディングの一環として、広告投下も重視する。様々な媒体や企画を通じて、企業理念・ビジョンを各ステークホルダーに正しく伝え、ブランディングの向上へとつなげていく。
(4) システム投資
同社グループは、ハイエンド人材と事業会社とのさらなる接点の機会を増やすため、UI/UX※の向上を目的としたサービスの拡充を目指す。同時にデータベースの整備により経営管理の高度化も目指す。ハイエンド人材や事業会社と直接つながるフロントエンドでは、プラットフォームを拡張し、蓄積されたハイエンド人材のデータベースを生かしてキャリアパス支援を行う。同社サービスのバックエンドにあるシステムにおいては、リカーリングサービスの推進のため、KPIの可視化や機械学習による予測モデルの導入を行う。
※「UI」とはユーザーインターフェイスの略でWebやアプリで目にするものすべてを指し、「UX」とはユーザーエクスペリエンスのことで商品やサービスを通じて得る経験・体験を指す。
長期的には、デジタルプラットフォームのグローバル展開、コンサルティングファーム/SES※事業のグループ化による請負事業への参入を目指す。その後は蓄積したデータベースを基に新規領域への展開を視野に入れている。
※システムエンジニアリングサービスの略で、ソフトウェアやシステムの開発等における特定の業務に技術者の労働を提供する契約のこと。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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