バリュエンスHD、投資拡大しつつ2期連続増収増益 地金相場落ち着くも、4Qも引き続き仕入好調
2022年8月期決算説明
嵜本晋輔氏:バリュエンスホールディングス代表取締役の嵜本でございます。本日は大変お忙しい中、2022年8月期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日は2022年8月期決算および中期経営計画についてご説明します。
2022年8月期 通期 サマリー
2022年8月期通期サマリーです。時計・地金相場上昇の影響もあり、仕入が好調に推移しました。コロナ禍においても積極的に海外展開を行ったため、円安の進行により海外売上高比率が伸びています。また、投資を継続的に拡大しながらも、利益目標を達成し、増収増益を達成しました。
この結果、GMVは645億円、売上高は633億円、粗利率25.7パーセント、営業利益18.8億円となり、前期実績を大きく上回る結果となりました。
2022年8月期 第4四半期(6月-8月) トピックス
第4四半期のトピックスです。スライド記載のように、地金相場の落ち着きに伴い仕入高が直前四半期よりも減少しましたが、引き続き好調に推移しています。また、海外パートナー店舗を中心に出店を拡大し、現在、国内130店舗、海外34店舗にまで拡大しています。そして、テレビCM放映の残存効果を維持するためのWebマーケティング強化により引き続き集客拡大も実現しています。
また、販売においては四半期ベースで初めて自社オークションの売上高が100億円を突破しました。また、円安により海外向け売上が好調です。地金売上の割合が第3四半期より減少するも、依然として高水準で推移しています。
2022年8月期 業績
8月期業績の前期との比較です。コロナ禍においても投資を継続する中で、2期連続増収増益を達成し、売上高・営業利益ともにほぼ計画どおりの着地となりました。
売上高・売上総利益率
売上高・売上総利益率の推移です。第3四半期に引き続き、売上高全体に占める地金の構成比率が高めであったことから、売上総利益率は横ばいで推移しました。また、自社オークションや小売が堅調に拡大しており、四半期ベースで過去最高の売上高となりました。
仕入高・店舗数
仕入高・店舗数の推移です。グラフのように、直前四半期よりも仕入高が減少していますが、前年同期比では31.7パーセント増の結果となっています。
FY22は店舗拡大を一時的に緩め、1店舗当たりの効率を上げることに注力しました。その結果、現在の1店舗当たりの仕入高はコロナ前の水準に戻ったため、FY23は年間10店舗から15店舗のペースで新規出店する予定です。
販管費推移
販管費の推移です。第3四半期に放映したテレビCMの残存効果を維持しながら、第4四半期はSEOをはじめとしたWebマーケティング強化を行い、集客拡大を図りました。その結果、第4四半期の広告宣伝費はテレビCMを実施していない第1四半期、第2四半期よりも増加しています。
また、来年2月にはオフィス移転を予定しており、一時費用として品川オフィスの加速償却が発生し、その他の費用が増加しています。
バランスシートの概況
バランスシートの概況です。仕入が好調に推移したことに伴い、翌期に向けて十分な在庫を確保でき、それに応じて借入金が増加しています。
[売上高]販路別(toB, toC)
販路別の売上高です。第3四半期以降、時計相場の下落リスク分散のため、意図的に自社オークションでの販売を行い、自社オークション売上高が四半期ベースで初めて100億円を突破しています。
[売上高]販路別(国内、海外)
国内外の販路別売上高です。円安の影響はもちろんあるのですが、コロナ禍においても積極的に海外パートナーへの営業、また開拓が順調に進んだことにより、海外売上高比率は過去最高の29パーセントとなりました。同時に、国内売上高も堅調に推移しています。
[売上高]オークション実績
オークションの開催実績です。「STAR BUYERS AUCTION(以下、SBA)」は月4回、「THE EIGHT AUCTION」は月1回、香港でのダイヤモンドオークションは四半期に1回、安定的に開催しています。オークション売上高は100億円を超え、落札率も改善傾向にあります。
[GMV]GMV推移
GMV推移です。出品手数料の無料化や、海外パートナーが多数参加するオークションとしての告知や宣伝により、委託取扱高は徐々に増えています。
今後は、フルフィルメントサービスの導入により、手数料収入の増加も見込まれ、引き続き委託取扱高の拡大に努めます。
SBAパートナー会員数
ここからは、第4四半期のトピックスについてお話しします。スライド記載のように、海外パートナー数はオークションのオンライン化以降約2年半で511社にまで拡大しました。これは、コロナ禍で早期にオークションをオンラインに移行できたこと、また海外での積極的な営業活動、マーケティング施策の効果などによるものです。
SBA落札額の国内/海外比率
「SBA」の落札額の国内/海外比率については、円安効果により海外パートナーによる落札比率が依然高い水準で推移しています。
買取店舗展開
国内外の買取店舗数の推移です。先ほどご説明したとおり、国内は店舗拡大を一時的に緩め、1店舗当たりの効率を上げることに注力しました。
また、海外についてはパートナー店舗を中心に積極展開し、現在では日本以外の16ヶ国、34店舗にまで拡大しています。
中期経営計画VG1000(FY21-25)振り返り
中期経営計画についてご説明します。2020年10月に発表した中期経営計画についてはアフターコロナ前提で策定していましたが、想定外にコロナ禍が長期化しました。今回、増収増益を達成したものの、売上、利益ともに当初の計画に対しては進捗に遅れが発生したため、中期経営計画をリバイスしています。
また、今後の当社グループが中長期的に目指す姿をあらためて見つめ直すべく、パーパス・ミッションを新たに設定しました。
PURPOSE 私たちの存在意義
パーパスは「Circular Design for the Earth and Us」です。日本語に訳すと、「地球、そして私たちのために循環をデザインする」です。
ご存知のとおり、現在、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするというカーボンニュートラルが世界的なテーマになっています。私たちの人間活動によって生み出されるCO2のこれまでの累積総排出量と、世界の平均気温がほぼ比例関係にあることが、さまざまな研究機関から発表されています。このままでは世界の平均気温は上昇を続け、気候変動問題などがさらに深刻化するとまで言われています。
だからこそ、私たちバリュエンスもこれまでのように売上、利益だけを追求するのではなく、事業活動を通じてこれらの環境問題、社会問題、社会課題を解決する企業となるために、新たに経営の羅針盤となるパーパスを作成しました。
MISSION 私たちの使命
ミッションは、「大切なことにフォーカスして生きる人を増やす」です。私は、多くの人が、自分が幸せになるためよりも、幸せだと思わせることに苦労しており、本当に大切なことを見失っているのではないかと思っています。
だからこそ、リユースはもちろん、スポーツなどの事業活動を通じ、本当の幸せや豊かさとは何かを伝えるべく、新たなミッションを作成しました。
Circular Design Company ~ 2030年に目指す姿~
2030年に目指す姿は「Circular Design Company」です。循環をデザインする会社として、世界中の価値あるモノと人を世界規模でマッチングさせる、循環を前提とした唯一無二のプラットフォームを作り、これまで以上の成長を実現します。
ビジネスモデル
それらを実現するためのビジネスモデルです。これまで、当社はブランド品や骨董品を中心としたCtoBtoBモデルを中心に利益を生み出してきましたが、その既存領域で得た利益を新たな投資領域に充当し、既存のビジネスモデルを進化させます。
具体的には、C向けの小売サービスやブランド品以外のジャンル拡充、フルフィルメントサービスをはじめとした付加価値サービスへと投資することにより、顧客そしてパートナーとのエンゲージメントの強化を図り、収益拡大に努めます。
ここからは、スライドの投資領域の左側にある、toC事業について深掘りしてご説明します。
一般消費者とのエンゲージメント強化
一般消費者とのエンゲージメント強化として、これまではスライドの左の図のような買い切り型だった顧客との一方通行の関係性を、右の図のような双方向の関係性へと変えたいと思っています。
具体的には、例えば、時計を買取したお客さまから高級な中古車をお任せいただく、また骨董品などの相続品を売却されたお客さまにはご自宅の査定や仲介を提案するなど、既存の顧客の潜在的な課題を顕在化し、さまざまな選択肢を提供することにより、顧客とのエンゲージメント強化、そしてライフタイムバリューの向上を実現したいと思っています。
パートナーとのエンゲージメント強化
オークションの進化についてです。スライドの左の図のように、これまでは私たちが仕入れた商品をパートナーに販売して終わりという、買取と同様に一方通行の関係性でした。
これからはおまかせ出品やフルフィルメントサービス、また小売販路への委託を新たなサービスとしてパートナーに提供し、継続収益型のモデルを作りたいと思っています。
Global Reuse Platformer の実現
その結果、Global Reuse Platformerを実現するため、海外パートナー店舗を含めた自社のリソースで集める商品はもちろんのこと、世界中の顧客やパートナーからの委託出品を加え、これまでのオークション販売に一般消費者向けのグローバルコマースという小売力をプラスし、世界中の顧客になくてはならない存在になるように努力します。
中期経営計画 『VG1000 ver2.0』の位置付け
中期経営計画「VG1000 ver2.0」の位置付けです。FY25までは事業拡大を見据え積極的な投資を実施し、あらゆる機能を実装、充実化したいと思っています。
また、FY30にはバリュエンスを中心にモノが循環する「Circular Design Company」を実現し、循環型経済圏のグローバル展開を加速したいと思っています。
中期経営計画 『VG1000 ver2.0』の重点投資領域
FY25までの中計期間内での重点投資領域として、FY21はこれまでの店舗網を一気に広げる「量的投資」、FY22はDXなどの「質的投資」を行いました。
FY23からの3ヶ年では「人的投資」に加え、「領域拡大」「グローバル」を重点投資戦略として位置付け、FY30に向けたさらなる成長を目指していきます。次のページから、その内容を具体的にお話しします。
仕入拡大に向けた取組
まず、仕入拡大についてです。FY23より新規出店を再加速します。国内では新規出店に加え、三越伊勢丹との取組である「i’m green(アイム グリーン)」というサービスのように、アライアンス強化による仕入拡大も図りたいと思っています。海外では、パートナーとの協業を中心にスピード感のある出店を行います。
取りこぼしのないように国内外で面を広げるとともに、Webマーケティング注力による集客拡大、そしてCRM強化によるリピーター獲得により、顧客のライフタイムバリューの向上を実現したいと思っています。
販売拡大に向けた取組
販売面ではtoBプラットフォームをさらに強化することに加え、toCサービスへの投資も強化したいと思っています。フルフィルメントサービスのローンチなど、利便性を向上させつつ参加パートナーの開拓を引き続き推し進めることにより、プラットフォームの魅力をさらに高めたいと思っています。
toCでは、12月に新店オープンを予定していますが、店舗での販売を強化しつつ、海外の各拠点でのEC構築を進め、国内外で顧客との接点を拡大していきたいと思っています。
これまでのCtoBtoBというビジネスモデルの強みに加え、C向け販売を確立することができれば、世界でも唯一無二のモデルの実現になると思っているため、こちらもスピードを意識して推し進めていきたいと思っています。
ジャンル拡大による収益機会の最大化
ジャンル拡充についてご説明します。ブランド品、骨董品など既存の領域のみならず、さまざまな実物資産について顧客の問題解決をワンストップで行い、顧客のライフタイムバリューを向上させていきたいと思っています。
これは、エンゲージメント強化を図る上で最も重要な戦略と考えており、不動産、自動車は現在少しずつ拡大できていますが、今後はさらにこれらのカテゴリーを成長、拡大させていきたいと考えています。
心の豊かさを提供価値としてビジネスを拡大
さらに、実物資産のみならず、心の豊かさ、精神的な豊かさの提供を領域として、ビジネスを拡大していきたいと思っています。2025年には、Z世代やミレニアル世代が労働人口の過半数を占めるとされる中、若者たちは、より精神的なリターンをもたらす企業で働くことを望む時代になると言われています。
今後、体験型のサービスはより大きな希少性をもたらし、多くの人が本当の幸せや豊かさを再定義する時代になるのではないかと思っています。精神的なリターン追及が、経済的なリターンをしっかりと生み出すことを、これらの事業を通じて証明していきたいと思っています。
人材の価値を最大限に引き出す
人的投資については、設立から11年、企業は人であると信じて投資してきたことが、ここまでの成長につながっていると確信しています。今後のさらなる日本、また海外を含めたグループ成長のために、専門性、多様性を兼ね備えた人材基盤の構築や人員拡充のみならず、教育などにもしっかり注力していきたいと思っています。
ラグジュアリーブランドの業績
主要ラグジュアリーブランドの業績推移です。各社、FY21でしっかり回復し、FY22は上半期実績のみですが、スライドのとおりさらに拡大しているのがご確認いただけると思います。新品市場が大きくなれば、当然中古市場に流れてくる商品も増えることになり、グローバルに展開する当社にとっては、非常に追い風であると思っています。
中古市場規模と海外展開
スライドの図は以前より開示していますが、海外の中古市場の伸びは非常に大きく、その大半が欧米となっています。当社としては、市場の大きい国への展開を進め、数字をしっかり作っていきたいと思っています。
目標とする数値<主要KPI>
こちらは目標とする主要KPIです。海外パートナー数と海外売上高比率は、直近の状況も鑑み、FY25の目標を引き上げました。売上高は変わらず1,000億円を目指したいと思っています。
VG1000 ver2.0 重要経営目標
重要経営指標はスライドのとおりです。営業利益成長率はFY22を起点として、FY25までのCAGRは40パーセント、FY25時点におけるROEは20パーセントを目指します。配当性向は30パーセント以上を維持していきます。
事業活動として取り組むテーマ
続いてサステナビリティへの取組です。当社は、事業特性やステークホルダーからの期待をふまえ、18のマテリアリティを特定しており、そのマテリアリティをもとに、当社が目指す姿をESGそれぞれについてスライド記載のように定めています。
サステナビリティへのコミットメント
持続可能な社会への貢献と、当社の持続的な成長を目指し、スライドのようにコミットメントを定めています。企業としての責任を果たしていくためのカーボンニュートラルを目指すとともに、働く環境の改善やガバナンスの強化を図っていきます。
Scope1,2に加え、Scope3の測定を実施
FY21の二酸化炭素排出量については、Scope1、2はすでに測定、開示していましたが、新たにScope3を測定しました。FY30のカーボンニュートラルに向け、これらの数値を低減させていくアプローチを進めていきます。
国際的イニシアチブに賛同
また、TCFDへの賛同やSBT認定に向けた取組など、国際的イニシアチブに賛同し、カーボンニュートラルに向けたアプローチを推進しています。
「B Corp」認証取得に向け申請を実施
さらに、「B Corp」認証取得に向けた申請も行いました。「B Corp」は、社会や環境によりよい企業活動を行うことを表明し、行動する会社であることを証明する承認制度で、世界中の企業で取得が進んでいるものです。
人的資本
人的資本については、事業の成長と人材の成長の両輪でしっかり回すことにより、持続的な企業価値向上を目指します。
取締役の体制
2022年11月25日開催予定の第11回定時株主総会終結後の取締役の体制です。新任取締役1名の追加により、テクノロジーとマーケティングが強化されます。社外取締役は過半数を維持しています。
VG1000 ver2.0 ESG目標
先ほどESGのコミットメントについてお伝えしましたが、スライドはFY25時点での目標です。
2023年8月期 見通し前提
FY23の見通しについてご説明します。見通しの前提として、アフターコロナを見据えた出店をはじめとした投資を加速させます。マーケティングはWebを中心に国内外で強化、小売も強化、注力していきます。
また、すでに開示しているとおり、オフィス移転を来年2月に予定しているため、それに伴う一時費用が発生する見込みです。新規出店や事業拡大に伴う人員拡充など、積極的に人への投資を進めていきます。
2023年8月期 業績見通し
以上の前提に基づく業績見通しはスライドのとおりです。売上高は23パーセント成長で785億円、営業利益は32パーセント成長で25億円の計画です。
配当予想
配当方針は以前から変更ありません。FY22の配当は、予想から変更なく1株当たり25円とし、FY23は30円とする計画です。
以上で2022年8月期決算および中期経営計画のご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
Q&A
質疑応答に関しましてはこちらに掲載されております。
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