3. 家庭教師事業
サクシード<9256>は、対面式とオンライン式の2方式で「家庭教師のサクシード」を展開している。従来首都圏と関西圏において対面式の家庭教師の紹介事業を行ってきたが、コロナ禍におけるサービス提供に対応するため、同社はオンライン家庭教師という新しいサービスを創出した。これはまた結果的に、教育の地域格差という社会課題の解決策にもつながったようだ。
対面式の家庭教師サービスでは、主要大学のある首都圏や関西圏に講師が集中する傾向があり、その他の地域では紹介可能な講師が限られてしまうことが多かった。しかしオンライン式の家庭教師サービスでは、全国の生徒に対して、同社の約14万人超の登録講師の中から、例えば地方に住む東大理系を目指す生徒に対して現役の東大理学部の講師を紹介するなど、生徒の希望にピンポイントで合致した選りすぐりの家庭教師を紹介することが可能になった。このため、大都市圏以外のエリアでの家庭教師のクオリティ格差やミスマッチングの解消につながっている。またコロナ禍でテレワークが増加しWeb会議などに慣れた保護者にとって、オンラインでの教育は全く違和感がなくなったうえ、お茶出しや交通費の負担など講師訪問時の家庭の負担が極小化されることもあり、都市部でもオンライン家庭教師サービスを選択する生徒・保護者が増えているようである。
講師側から見ても、オンライン家庭教師のメリットは大きい。例えば通勤する必要がなく、時間を効率的に使うことができるのは大きなメリットである。これは、講師の働き方改革にもつながっており、対面式で1人の生徒を担当する時間でオンライン式であれば2人の生徒を担当することも可能となった。また同社にとってもメリットがある。登録者を有効利用できるだけでなく、本部のテレマーケティング部門が問い合わせなどの対応を一括で行うことで、拠点(コスト)を出さずとも全国展開が可能となったのである。さらに、生徒の居住地に縛られないため、離島や遠隔地のみならず海外赴任先で日本と同様の教育を受けさせたい生徒・保護者までもターゲットにできる。このような3者3得のような特徴から、オンライン家庭教師は高い伸びを示しており、家庭教師事業の業績を押し上げている。なお、今のところ対面式とオンライン式でコストはあまり変わらず、オンライン式の料金をやや低く設定している分、対面式のほうが利益率は高くなっている。しかし、オンライン式はインターネットビジネスのため、クリティカルポイントを超えると急速な収益拡大が始まる可能性があることから、同社はすでに全国・世界規模での事業展開も視野に入れて事業展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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