同社は工事業者の「仮設機材をレンタル・購入したい」というニーズにワンストップで対応できる体制整備を図っている。仮設機材レンタルでは、戸建住宅や中低層マンション向けに普及しているくさび式足を主要としたレンタルサービスを全国の中小足場施工業者に提供する。近年の改修需要の増加や工事の繁忙期と閑散期の変動幅の拡大等により、足場施工業者の仮設機材在庫負担が増大しているため、投資負担を軽減し、繁閑に応じて仮設機材数量の調整弁となる仮設機材レンタルに対するニーズは高く、取引業者数は拡大を続けている。また、建設時の落下物を防ぐための機材「朝顔」を改良し、部品点数の半減かつ軽量化を実現した新機材(くさび緊結式次世代シート朝顔 SpeeK)を開発した。
24年3月期の売上高は3,785百万円(前期比20.5%増)、営業損益は349百万円(前期比86.1%増)で着地した。旺盛な足場需要を背景に新規顧客数が前期比315社増の2,825社に増加、投資フェーズでありながらも大幅な増益となったようだ。機材センターの拠点数は全国21拠点の直営の機材センターに加えてパートナーとの連携で36拠点(前期は27拠点)に増加した。足場保有額は147億円(前期比21億円増)で、年間稼働率は78%と適正な稼働率を維持しながら投資も実施している。25年3月期の売上高は4,205百万円(前期比11.1%増)、営業利益は432百万円(前期比23.7%増)を見込んでいる。ベトナム事業への投資を進めつつ、2桁増収増益見通しと堅調な成長が想定されている。
同社は、同業他社と比較してトップクラスの足場保有量(147億円)・拠点数(36拠点)・顧客数(2800社以上)を有している。大手レンタル会社と比較しても足場をレンタルする現場が異なり、顧客の規模も中小規模事業社が主、棲み分けができている。また、住宅・マンションの老朽化のほか、自然災害の復旧需要などから、足場レンタルの需要は急増しており、需要に対して供給が追い付いていない高稼働の状態が続いているようだ。
中期経営計画も開示しており、2027年3月期には売上高5,300百万円、EBITDAは2,987百万円、営業利益は650百万円を見込む。拠点網と顧客数を拡大させることで、足場レンタル事業を更に成長させ、ベトナム事業拡大に向けて基盤強化をはかるようだ。また、2027年3月期までは累進配当を基本方針とし、株主還元も重点施策として意識している。足場レンタルの需要が旺盛な中、業績も2桁成長を継続しており、海外展開や株主還元にも注力している同社の今後の動向に注目しておきたい。
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