【QAあり】サカイ引越センター、単価上昇等により売上・利益共に計画を上回り進捗 今期配当予定は53円、連続増配の実現を目指す
まごころTOPICS
山野幹夫氏(以下、山野):みなさま、こんにちは。サカイ引越センター専務取締役の山野でございます。本日はお忙しい中、決算説明会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。
まずは、TOPICSを4つご紹介します。1つ目として、10月に当社のキャラクターである「まごころパンダ」と鳥取市の「すご!ウサギ」がコラボレーションした引越トラックを用い、全国への鳥取市PRに協力しました。行政を含め、鳥取市とは今後もさまざまな取り組みを行っていく予定です。
2つ目に、紺綬褒章を受章しました。徳島支社の移転先である徳島県板野町への寄附に対しての受章です。私も徳島県に出向き、後藤田知事にお会いしました。
紺綬褒章は天皇陛下からの褒章です。1年間の活動を調査したと聞いていますので、当社の活動を評価していただけたと思い、誇りに感じています。
3つ目に、石川県能登地方を震源とした地震の災害支援に対し、近畿地方整備局から感謝状をいただきました。インフラを担う企業として、今後も社会貢献や地域社会への還元に取り組んでいきたいと思います。
4つ目として、10月に「デコ活宣言」を行いました。今夏、環境省の事務次官とお会いして話をする中で、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動「デコ活」について伺い、当社もその取り組みに参画することにしました。
2023年度第2四半期決算サマリー
2023年度第2四半期の決算サマリーです。1つ目の需要の環境について、総務省の人口動態では、前年同期比で2.3パーセント減少し、新設住宅着工戸数は6.2パーセント減少しています。
引越業界においても厳しい状況が続いている中、当社の取扱引越件数は前年同期比0.6パーセント増の41万2,731件と、シェアを拡大できました。特に法人の転勤需要は、2023年1月から関東圏での引き合いが堅調で、北海道や九州もかなり活況だと聞いています。
しかし、企業の異動の観点で、地方は2023年9月、10月の転勤シーズンを含めてまだ弱いと感じています。引き続き法人活動を行いながら、取り組みを強化していきたいと考えています。下期は受注を制限していたインターネットの取り組みを徐々に強化し、パートナー戦略も含めてさらなる拡大を目指します。
2つ目の供給の体制について、第1四半期は新型コロナウィルス感染症の影響が大きく残っており、採用が追いつかずドライバーも純減となりました。しかし、地方でも待遇改善等を少しずつ進めているため、第2四半期から離職が減少し、現業員数は増加に転じています。10月まで、順調に人が入ってきている状況です。
下期は、「2024年問題」を見据えて自社でドライバーを育成し、体制構築に注力しています。助手職を含めて人材は勝手に育たないため、一時的に管理者を増強し、育成支援も行っていきます。
3つ目の業績変動要因についてです。「2024年問題」を背景にしたドライバー不足により、第2四半期も傭車費の高騰が続いています。そのため、引き続き傭車のコントロールを行っていきます。ガソリン価格等の燃料代も上がっており、そのような面で傭車費の高騰に影響がありました。
また資材の高騰においても、価格転嫁だけでなくサービス内容の変更を視野に入れ、一部実行しているところです。コストの高騰を転嫁しつつ、引き続き市況を見据えながら向上を図っていきたいと考えています。
1. 連結決算概要
多田健吾氏(以下、多田):連結決算概要について、ご説明します。2023年9月期の売上高は、前年同期比4.9パーセント増の570億7,000万円、営業利益は前年同期比12.4パーセント増の70億8,800万円となりました。経常利益は前年同期比11.8パーセント増の71億8,300万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比7.3パーセント増の48億600万円となりました。
2. セグメント別売上高
セグメント別売上高です。引越事業は前年同期比3.5パーセント増の484億5,800万円、電気工事事業は前年同期比7.8パーセント増の24億5,300万円、クリーンサービス事業は前年同期比0.4パーセント増の26億7,800万円、リユース事業は前年同期比32.4パーセント増の31億5,800万円、その他の事業は前年同期比8.0パーセント増の3億2,100万円となりました。
3. 個別決算概要
個別決算概要です。売上高は前年同期比3.8パーセント増の490億5,100万円、営業利益は前年同期比11.5パーセント増の61億3,200万円、経常利益は前年同期比11.5パーセント増の62億4,500万円、四半期純利益は前年同期比12.8パーセント増の42億1,700万円となりました。
4. チャネル別売上高(個別)
チャネル別売上高です。一般は前年同期比3.2パーセント減の71億1,200万円、インターネットは前年同期比2.9パーセント増の175億7,900万円、法人は前年同期比6.1パーセント増の237億3,900万円、法人のうち事業法人は前年同期比13.5パーセント増の88億8,900万円、その他は前年同期比33.2パーセント増の6億2,000万円となりました。
5. 個別経常利益の要因分析
個別経常利益の要因分析です。増益要因として、単価上昇により13億2,500万円の増加となっています。
減益要因について、売上原価はバイト臨時要員費や傭車費の増加などにより9億3,800万円の減少、販管費は人件費の増加などにより2億900万円の減少となっています。
6. 件数・単価の動向
件数・単価の動向です。計画的な受注制限により作業件数を抑えていましたが、第2四半期から取り込みを強化したことから、前年同期比0.6パーセント増の41万2,731件となりました。
作業単価は原価高騰の価格反映などにより、前年同期比2.9パーセント増の11万7,344円となりました。
7. 件数・単価の動向
価格帯別件数も、原価高騰の価格反映などにより高価格帯の割合が増加しました。
8. 連結貸借対照表
連結貸借対照表です。現金及び預金は前期比で15億5,700万円増加し279億8,200万円となりました。純資産は前期比で37億5,200万円増加し、861億1,700万円となりました。有利子負債の残高は前期比で2億7,600万円増加し、45億200万円となりました。
9. 連結キャッシュフロー計算書
連結キャッシュフロー計算書です。営業活動によるキャッシュフローは、前期比で2億1,500万円減少しました。投資活動によるキャッシュフローは、前期比で24億5,000万円増加しました。主な設備は広島支社の土地、徳島支社の建物などです。
財務活動によるキャッシュフローはマイナスで、現金及び現預金同等物の期末残高は前期比で39億4,400万円増加しました。
10. 業界を取り巻く環境 ~業績の推移~
山野:成長戦略についてご説明します。スライドは、毎回掲載している引越業界の業績推移のグラフです。当社は800億円台から900億円に達するまでに4年間かかっています。引越単体で1,000億円という数字は、引越業界で誰も達成したことがないため、早く到達できればと考えています。
900億円により近づけるよう、今期も下期に力を入れ、来期は引越単体でも1,000億円を突破したいと思います。3年で900億円台を終わらせたいと考えていますので、下期はもう少しがんばります。
11. 業界を取り巻く環境
業界を取り巻く環境です。「2024年問題」として、特にドライバー不足や作業員不足が懸念されています。また、傭車の賃上げを含めた値段の高騰など、世間では物流業界の「物流クライシス」が話題になっています。
内閣官房・国土交通省では、6月に物流革新に向けた「政策パッケージ」が策定され、当社も説明を聞きに行きました。その中で、商慣行の見直しとして、物流事業者における荷待ちや荷役作業時間の削減が行われています。その一環として、傭車に時間をかけている会社に「トラックGメン」が指摘に入るなど、荷主・元請の監視が強化されています。
今後はタイムリーに作業を終わらせながら引き継ぐ取り組みが必要となってきますが、そのパッケージの施策には、「物流GX」「物流DX」の推進や高速道路のトラック速度規制の引き上げなど、よい面があります。
また、引越作業ではトラックを停車する場所が非常に重要です。パッケージでは、道路使用許可を含めた貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しも施策として挙げられています。こちらは国土交通省にもお願いしに行きましたので、ぜひ実現していただきたいと考えています。
さらに、女性や若者等の多様な人材の活用として、当社では女性現場講師の育成を含め、取り組みを行っています。
12. 2024年問題についての当社の状況について
「2024年問題」は、すでにコスト面に表れ始めています。乗り切るための対策としては、価格転嫁を着実に進めていくことと傭車を使わずに自前で作業を進めていくことの2軸があり、どちらも進めていきたいと思っています。
スライド左側のグラフから見て取れるように、昨年は新型コロナウィルス感染症の第7波の影響で、傭車費用が増加しました。依頼件数は前年同期比5.2パーセント減にもかかわらず費用は7.4パーセント増と、現在、傭車費単価が非常に急騰しているため、引き続きコントロールしていきます。
当社の状況から、いろいろと待遇改善を行っていかなければなりません。したがって、待遇改善として業績給の増額を行っています。現在は業績給制ですが、昨年から賃金テーブルの変更を開始し、首都圏から段階的に引き上げています。時間管理については、平均残業時間が60時間台のため、「2024年問題」に対して対応可能な領域だと考えています。
ドライバーの確保状況について、前回お伝えしたとおり151名の増員が目標です。「2024年問題」への対応として、今期中に100名程度純増させることが可能です。来期上期にドライバー50名の増員を図っていきます。そのため、助手職のアルバイトを大量に採用し、ドライバーに引き上げるための教育を行っています。
13. サカイの成長戦略
サカイの成長戦略です。主として「価値の訴求」というKPIを設定しており、その下に5つの指針を出しています。
14. 価値の訴求 ~世界一の新生活応援グループを目指して~
まずは「価値の訴求」についてです。評価は「〇」であり、その理由をご説明します。
スライド左下のグラフの黄色い部分が引越単価です。実は引越単価も上がっています。また、グループシナジーのところで、商品販売や電気工事、リユース(不要品買取)などの付帯単価が伸長しています。
スライド右側のグラフは単価に占める付帯割合で、その割合は全体の4分の1程度です。グループシナジーを加速させる意味では両輪が必要です。つまり、引越で単価を上げ、付帯でプラスアルファとして単価を上げていくという2軸により運営しています。現在は順調に推移しているため、評価を「〇」としています。
15. サカイの成長戦略
次に、「共創の経営」についてです。前回の評価は「◎」でしたが、今回は「△」です。その理由をご説明します。
16. 共創の経営 ~パートナー企業の概要、引越品質の確保~
スライド左下のグラフに記載のとおり、引合件数はインターネット受注等を抑制したため、減少しています。ただし、契約件数(引越作業を行った件数)は増加しています。また、成約率(契約件数÷受注件数)も増加しています。
受注作業は数多く行っているものの、パートナー売上実績は、目標進捗率37.3パーセントとなっています。今期の売上目標は24億円ですが、現在12億円に達しておらず、9億円程度です。
その理由は、最初の段階から品質評価(アンケートはがき含む)を実施していたところ、一部のパートナー企業でサカイの基準値を下回ったためです。サカイ基準の品質との乖離が大きくなってきました。
3年程度作業を行う中で、パートナー企業にも慣れが生じてきたのかもしれません。ここで無理をして拡大すると、後々修正が難しくなるため、新規受注を増やすのをやめ、上期は教育や指導の調査を行いました。
上期で体制を立て直したため、下期からはパートナーの数を増やしていきたいと考えています。したがって、下期は予算どおり、20億円から21億円の間でパートナー戦略を着実に進めることができると思います。
17. サカイの成長戦略
「人材活用」について、評価は「◎」です。取り組みを行う中で、少しずつ成果が出てきています。
18. 人材活用 ~働きがいの創出~
エンゲージメントスコアは「BBB」です。Aランクを目標にしていますので、その一歩手前まで来ています。改善項目として一番大きく変えたのは「制度待遇」です。給与改定・待遇改善も含め、進めているところです。
「会社基盤」と記載していますが、こちらは私どもの力不足です。当然知っているだろうと思っていたのですが、会社のことをよく理解していない方も多くいます。したがって、会社のことをより知りたい方には会社の情報などを詳しく丁寧に説明していくような施策を行っています。
当社には支店が210程度ありますが、エンゲージメントサーベイを導入すると、各部門のさまざまな問題が可視化されます。全国一律ではないため、拠点ごとの改善点に1つずつ対応していくことで、「BBB」になったのではないかと思っています。
次回は12月にエンゲージメントサーベイを行いますが、若干下がったり、横ばいだったりを繰り返しながら少しずつ上がっていくと考えています。改善しながら、もう少し上げていきたいと思います。
ベースアップの部分でも、改善策の効果は表れています。また、女性活躍では女性現業講師が誕生しています。男性が女性に教えるのと、女性が女性に教えるのとでは、まったく違います。現業講師が女性目線で教えているため、そのような面で変わってくると思います。
また、「働きやすい職場認定制度」では、これらの取り組みが評価され、国土交通省から2つ星をいただけるようになっています。2つ星が最高ですので、そのような意味でもよかったと思います。
教育の改善では、新卒者向け「まごころ営業学校」を開催しています。これまでは個々の地域で行っていましたが、拠点が多くの県にまたがっているため、新入社員を一堂に集めて継続的に教育しています。研修制度の充実度やナレッジの汎用化・標準化という項目では、従業員の満足を得られるようになってきたと思っています。
こちらは引き続き行っていきたいと考えています。また、この取り組みにより、早く独り立ちできる営業職も出てきました。
19. サカイの成長戦略
「生産性向上」の評価は「〇」です。
20. 生産性の向上
スライド左側に青色の丸で示したグラフは「事務職+管理職生産性」の向上で、以前から出してきた指標です。現在、現場のドライバー職育成を強化しており、その対応のために管理職を増やしています。したがって、事務職と管理職を足した指標では、これまでより若干悪くなっている状況です。
ただし、青色の菱形で示した事務職生産性のグラフに記載のとおり、生産性は非常に上がっています。事務職自体は同じ人数で生産性を高めているため、生産性の面ではDXを含めてある程度効果が出てきたと思います。
スライド右側に卵・ヒヨコ・ニワトリの絵があります。引越ドライバーというのは、すぐに雇うことができず、自分達で育成しなければなりません。助手職として、まずはアルバイトで来て引越を経験していただき、「引越はおもしろいな。もう少し自分でやってみたいな」と思う方を正社員助手に採用します。普通免許では中型以上のトラックに乗れないため、貸付制度などを利用して免許を取っていただき、育てていきます。そのためには、管理職が手取り足取り教えなければならないため、管理職が増えています。
21. 生産性の向上
紙ベースでの業務が多く、紙で送ってくる企業もありますが、AI-OCRの導入により処理業務を自動化することで、認識力も上がっています。また、営業職が出向かずにリモートで行うリモート見積も取り入れています。さらに、お客さまに荷物量を入力いただく、自動見積の取り組みも行っています。
先日、他社でカメラを使ってAIで自動見積をしているという記事が出ていました。サカイ引越センターでもAIを使った自動計算のツールを将来的に取り入れていきたいと考え、計画しています。
現在、さまざまな面で多様化しており、来社したくない方には、営業職ではない方が見積算定を行っています。スライド右下に記載の「まごてん。(まごころ転勤システム)」は、企業にいろいろなアプリケーションを入れてもらい、企業とのやり取りをメールやFAXを使わずダイレクトに行う取り組みです。こちらも生産性の向上に寄与しています。
22. サカイの成長戦略
「シェア拡大」についてです。上期での数字を出していないため、評価は「-」となっています。
23. シェア拡大
前期は、全国の引越需要における約37パーセントが関東圏でした。また、サカイ引越センターの2023年3月期、関東圏のマーケットシェアは15.6パーセントでした。関東へのリソース配分について、従業員がコロナ禍で抵抗のあった関東応援を、今期からはインセンティブ制度も用意しながら積極的に実施していきます。
出店状況について、2024年3月期の新規出店は、宮崎南(九州)、富田林(西日本)、八王子北(東日本)、加古川(西日本)です。年に3店舗から5店舗程度出店している状況です。
24. シェア拡大 ~法人チャネル~
シェア拡大として法人チャネルを展開しており、大型移転を取り込んでいこうと考えています。
スライド左側に記載の金沢美術工芸大学とG7大阪・堺貿易大臣会合について、当社がお手伝いしました。引越だけでなく、最近は選挙事務所や投票所のお手伝いもしています。兵庫県では多くの市区町村を当社が担当しています。そのような大型移転を含め、新たなチャネルを開拓していきたいと思っています。
トータルプランニングサービスとして、依頼を受けると、引越はサカイが行います。それがスライドに黄色の枠で囲んである「重量物運搬」です。しかし、什器分解・組み立ては当社で対応できず、外注しています。
例えば、当社のグループ会社であるエレコンでは、LAN回線・電話工事などを行っています。また、キャンディルでは内装工事、ジェイランドではオフィス用品買取、SDホールディングス(SDHD)では、オフィスクリーニングやオフィスマット類のレンタルを行っています。
そして什器の部分がある程度解決できれば、グループ内でビジネスを回していくことができます。したがって、今期・来期と什器の部分を含めて大型移転に力を入れていきたいと考えています。
25. サカイの成長戦略
スライドに記載のとおり、グループ戦略については評価が「〇」となっています。
26. サカイの成長戦略 ~グループ戦略
当社では長期的に顧客接点を維持するために、グループ戦略を進めています。
グループ売上高について、前年同期比で電気工事は105パーセント、リユースは103パーセント、クリーンサービスは100パーセント伸長しています。
グループ売上高合計1,400億円に向けて、現状では順調に進捗しており、自社グループ内でカスタマージャーニーを完結できるような体制を進めています。
27. グループ戦略 ~電気工事 ・ リユース ・ クリーンサービス~
グループ戦略について、簡単にご説明します。
電気工事に関して、サカイ引越センターがこれまで継続して行っていましたが、最近は不動産管理を管理会社から一手に任されたり、直販分の工事を大手メーカーから直接請け負ったりして、サカイ以外の受注を得ています。
また、最近はEV関連も大手メーカーと協力し、ステーションの設営などの仕事を伸ばしています。外部売上を伸長させており、好循環になってきていると考えています。
リユースについては、引越時における引取件数が128パーセントと伸びています。エリア展開はジェイランドで40店舗、キッズドリームで16店舗、関東が中心のサカイ引越センターリユース事業部で8店舗です。
入り口である仕入れに比べて出口が狭いため、今後もM&Aしながら市場を開催できるようにするなど、あらゆる手段で出口を拡充していきたいと考えています。それにより、入り口の効果がさらに出てきます。
クリーンサービスについてです。新型コロナウィルス感染症が5類へ移行したことにより、外食産業が伸びてくると考えています。レンタルマットのサービスやペストコントロール(害虫獣駆除)も大きな収入源の1つであり、そのようなことを積極的に実施していきます。引越とのコラボレーションはまだできていませんが、単体ではこのようなことを進めていきたいと考えています。
28. グループ戦略~株式会社キャンディルとのシナジー~
昨年、資本提携したキャンディルについてです。
当社では、キャンディルの「水まわりコーティング」を毎月200件程度販売しています。単価は10万円から15万円ですが、売上は毎月2,000万円から3,000万円程度上がっており、1年間にもかかわらず、よいシナジーが出てきています。
今後は、大型移転時のオフィス内装工事やリソースの共有を図りたいと考えています。キャンディルは不動産会社と懇意にしているため、当社の引越の紹介や商品販売などでもシナジーを出していきたいと考えています。
29. 今後のグループ戦略
当社は2027年3月期1,400億円を達成させたいと考えています。今後も積極的にM&Aを実施し、世界一の新生活応援グループを目指していきます。
サカイ引越センターを中核にグループを育成していきます。それが将来サカイを助けてくれると思いますので、グループ戦略を着実に進めていきたいと考えています。
30. 連結業績予想
業績予想は資料に記載のとおりです。前回と内容が変わっていないため、今回は割愛します。
32. 財務戦略と投資方針
財務戦略と投資方針です。スライドには、「配当と成長投資」と記載しています。企業価値最大化のためのバランスを取りながら、しっかりと対応していきます。
従来からの安定配当を維持しつつ、連続増配の実現を目指します。1株当たり配当金について、2024年3期は53円、2025年3期は55円、2026年3期は58円を予定しています。こちらの金額を最低ラインだと考えていますので、それ以上を実現できるよう、しっかりと対応していきます。
成長投資について、生産性向上のためのIT投資(DX)は欠かせないため、着実に行います。出店投資も引き続き実施し、よいところがあれば購入します。賃貸など、所有に拘らず実施します。
「新生活応援グループ」に向けたM&Aについては、先ほどお伝えした什器の部分やビルメンテナンスの会社に積極的に投資していきます。リユースなど、基軸の電気工事も含めて対応していきたいと考えています。投資実行にあたっては資本生産性を考慮します。
ご説明は以上です。
質疑応答:シェアが上がった要因と通期業績予想据え置きの理由について
質問者:単価を引き上げる中で、シェアが上がった要因があれば教えてください。また、業績予想に対して上期は少し超過した進捗になりましたが、通期の業績予想を変えていない理由があれば教えてください。
山野:第2四半期からシェアが上がっているのは当社の企業文化であり、件数を取ることを目指した結果です。コロナ禍では選別受注を進めていましたが、現在は特に地場の作業を増やしていく方針です。
また、現場では助手職のアルバイトを大量に採用しています。経験を積まなければドライバーになることは難しいため、少しずつシェアを出しながら従業員を育てていきます。運転手にしていく目的も踏まえ、件数を取っているところです。
多田:予算を据え置いた理由について、多田よりご説明します。先ほどお伝えしたように、第2四半期はアルバイト代の人件費にお金を使っています。この傾向は第3四半期も続くと見ており、このようなところにコストがかかってくると考えています。
また、当社は3月・4月が繁忙期になりますので、特に3月の状況がある程度見えてこなければ、通期業績予想を修正することが難しいです。そのため、今回は据え置いています。
山野:先ほどの地場を取り込んだ話では単価について触れていなかったため、補足します。
単価に関しては競合環境は緩やかです。世の中の状況として食品単価も非常に上がっているため、お客さまには理解していただきやすくなっています。
また、運賃の届出単価も変更しています。少し値上げして届出を行ったため、単価は上がっています。
山野氏からのご挨拶
現在、当社はグループ戦略を進めています。顧客接点を増やすのは、当社にとって非常にありがたくよい戦略だと考えています。
引越自体は、なくならないと思います。「引越技術コンテスト」でも冷蔵庫を運搬していますが、現在は一般的に巨大な冷蔵庫が売られています。巨大な冷蔵庫などの移送は、当社のような大手にしか対応できないことだと思っています。
そのような意味でも引越はなくならないと思いますが、ライフスタイルの変化により、引越自体は小さくなっています。将来的には、少子高齢化などで引越は少なくなっていきますが、それをグループシナジーで周りの企業が補っていきます。
最終的には、エッセンシャルワーカーをどれだけ確保できるかがキーになると考えています。従業員を雇用するのは大変ですが、当社は「引越一筋50数年」ですので、認知度があります。そのため、従業員を増やすことができます。
当社はこのように、生き残っていく道筋をつけています。待遇を改善し、技術をきちんと押さえ、シェアを獲得し、グループシナジーを出していきます。今後も世界一の新生活応援グループを目指して進化していきますので、ぜひ、ご協力とご指導をいただければと思います。
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