1. 2021年3月期業績予想
NECキャピタルソリューション<8793>の2021年3月期業績予想については、コロナ禍に伴う影響等によるファンドのイグジット収益の減少や与信コストの増加等を織り込み、売上高220,000百万円(前期比0.3%減)、営業利益6,500百万円(同21.6%減)、経常利益6,500百万円(同28.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万円(同21.8%減)を見込んでいる。コロナ禍に伴う影響により合理的な算定が困難であったため、当初は業績予想を未定としていた。しかしながら、緊急事態宣言が解除されたことや政府や日本銀行の諸施策の継続的な実行が一定程度景気の下支えになると想定されることなどから、現時点で入手可能な情報や予測に基づき、公表している。
2. 中期計画
同社はグループビジョンとして、「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を掲げている。このグループビジョンは、目の前の変化に対応するだけではなく、中長期的に目指す揺るぎない方向性を定め、全社員が心を一つにして経営を進めていくことが重要であると考え、2013年10月に策定されたものである。10年後の「ありたい姿」を明確に描き、その達成に向け3段階に分けたロードマップを作成した。中期計画を3回積み重ねることで、事業活動そのものが社会的価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済的価値を創出し、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV経営を目指すものである。同社は、このCSV経営実現に向けた10年間のロードマップを策定し事業を推進しており、グループビジョンは10年間で3つの中期計画を積み重ねることで実現する。
「中期計画2014」では「コア領域の基盤再構築」と「仕掛けを構築」、「中期計画2017」では「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」、そして「中期計画2020」では、2つの中期計画で積み重ねてきた取り組みをさらに進化させ、「コア領域の拡充」と「新事業の収益化」を戦略として掲げている。2020年3月期で第2段階である「中期計画2017」が終了し、「中期計画2020」はグループビジョンを実現していくという壮大な流れの中の最終段階と言える。
(1) 「中期計画2017」実績
「中期計画2017」においては、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益ともに3年間の中計目標値を大きく上回っており、中期計画比(3ヶ年累計)の経常利益が24,000百万円の計画に対して31,447百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が12,000百万円に対して17,514百万円となり、それぞれ目標値を大きく上回る達成となった。
「コア領域の完成」においては、官公・民需ともに国内におけるNEC商流が拡大している。ベンダーとの協業や連携が進展し、事業法人営業においても深耕・開拓が奏功し、顧客基盤拡充が進展した。また、Windows10への移行需要を取り込みICTサービスが大幅伸長したほか、リサ事業において計画を上回る高収益を確保している。
「新事業の立ち上げ」においては、複数地域においてエネルギー、観光、農業領域での取り組みに参画し、知見やビジネスパートナーとの連携確立によりプレゼンス向上。ヘルスケア施設のウエアハウジング事業の取り組みを拡大。その他、事業戦略を支える経営基盤の強化として、多様化する事業を支えるための社内体制や機能が強化された。
(2)「中期計画2020」経営目標
「中期計画2020」では、With/Afterコロナ時代において、ビジネスチャンスとして事業機会を確実に捉え、金融とICTで社会の変革を先導する。収益性を重視しながら各種取り組みの推進により、2023年3月期には、営業利益11,000百万円(2020年3月期実績比32.7%増)、経常利益12,000百万円(同32.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,500百万円(同46.6%増)と過去最高益を目指す。
1つめの事業戦略である「コア領域の拡充」においては、ベンダーとの新たなサービスの確立と成長分野における専門事業の加速、顧客基盤の拡充と営業企画・推進機能の活用を掲げる。ベンダーとの新たなサービスの確立として、NECグループとの戦略的パートナーシップやベンダーとの連携を強化し、ベンダーファイナンスを進化させる。また、ベンダーと協業し、販売金融機能の提供やサービス基盤の共同開発等を通じて、共同サービスを確立させる。成長分野における専門事業の加速としては、ビジネスパートナーとの連携強化を通じて高付加価値なサービスを提供すると共に、ICTサービス事業、PFI・PPP事業、ベンチャーファンド事業、リサ事業などの専門事業の収益力を強化する。顧客基盤の拡充と営業企画・推進機能の活用としては、営業企画機能の強化及びソリューションの提供を通した潜在顧客の開拓及び既存顧客の深耕を図る。
2つめの事業戦略である「新事業の収益化」においては、取り組みを進めている4つの領域(エネルギー、観光、農業、ヘルスケア)について、金融サービス周辺で着実に収益を獲得する。さらに、地域活性化につながる同社ならではのサービス実現を目指す。エネルギーは、再生可能エネルギーの普及によるエネルギーの地産地消の推進や地球温暖化の防止を推進することによるエネルギー事業の収益拡大。観光は、地域の観光資源を活用した地域活性化推進及び観光事業の収益拡大。農業は、6次産業化やバリューチェーン最適化の推進による農業収入の安定化・高収益化及び農業ビジネスの収益拡大。ヘルスケアは、ヘルスケア施設のウエアハウジング事業の推進による関連施設の充実及びヘルスケア事業の収益拡大を目指す。
これら2つの事業戦略を支えるための経営基盤の強化として、業務プロセスにおいてテレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドな働き方を前提とした全社的な業務プロセスを確立させる。また、最先端ICTを有効活用し業務プロセスの高度化を加速させるほか、基幹システム刷新に向けた検討及び計画を策定する。人材開発におけるマネジメント態勢の最適化、専門人材の確保・育成、人材の適正配分、及び働き方改革の実現に取り組む。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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