1. 株主価値に資する資本政策の実行
コロナ禍の影響から脱し、同社の売上高・利益は順調に回復し、収益基盤が盤石になりつつある。中期経営計画では資本コストや株価を意識したグループ経営を推進している。5つの経営指標(ROE、WACC、自己資本比率、株主資本コスト、PBR)と目標値(2026年3月期)を掲げ、資本収益性と資本コストのバランスを図りながら、ROE5.4%(当初目標8%を修正)が株主資本コストを上回ることを追求し、株価を重視した経営に取り組んでいる。
利益分配方針を変更、「成長M&A投資」と「積極的な株主還元策」のバランスを図る
2. 株主還元策
同社の利益分配の基本方針は、「株主への継続的な成果の還元と企業価値の持続的向上を実現するため、適正な資本政策の下、将来の事業展開や財務状況、収益動向を総合的に勘案して配当を実施する」としている。また、中期経営計画「KBKプラスワン2025」では、「株価を意識し、資本効率を高めるために、2022年3月期から3年間は配当性向100%の積極的な株主還元を実施する」と掲げており、2024年3月期の年間配当金は93.5円であった。2025年3月期以降については、「高水準の株主還元を維持しつつ、成長投資により一層注力する」としている。具体的には、利益をM&A(2件を実施済み)などの成長投資に最優先で振り分け、その結果、2025年3月期は年間配当金を70円(中間配当金35円、期末配当金35円)とし、2026年3月期も年間配当金は70円(下限)を予定している。今後も、成長投資を進め、持続的成長を背景とした積極的な株主還元を続ける方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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