1. 2022年3月期第2四半期業績の概要
グローブライド<7990>の2022年3月期第2四半期業績は、売上高64,713百万円(前年同期比33.3%増)、営業利益8,402百万円(同106.4%増)、経常利益8,684百万円(同120.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益6,574百万円(同163.0%増)と大幅な増収増益となった。同社グループが属するアウトドアスポーツ・レジャー用品等の業界は、コロナ禍において、密閉・密集・密接のいわゆる「3密」を避けたスポーツ・レジャーと評価されたことにより、主力のフィッシング事業を中心に同社の業績も好調に推移した。
(1) 地域別動向
a) 日本
日本地域の売上高は44,512百万円(前年同期比24.9%増)、セグメント利益は6,281百万円(同95.1%増)と2ケタ増収・大幅な増益となった。緊急事態宣言下、行動制限が続いたものの、身近で安全に楽しめるアウトドアレジャーの市況は堅調に推移した。同社では、コアユーザーへのこだわりの高機能品から初心者・ファミリー層への手ごろに楽しめるエントリー製品の充実に至るまで、多様な市場ニーズへの対応に注力した。
b) 米州
米州地域の売上高は6,144百万円(前年同期比57.5%増)、セグメント利益は192百万円(同37.8%増)となった。ワクチンの普及に伴い、経済活動の正常化が進んだことにより個人消費が急速に回復した。淡水域が多い米国の特徴であるバス(淡水魚)フィッシング向けに、「ダイワテクノロジー」搭載の新製品が好調に推移したことも増収増益の要因となった。このほかに、米国フロリダ州で開催された世界最大級のスポーツフィッシングショー「ICAST 2021」において、同社のリール2機種が2021年のアワード2冠を達成したことも、追い風となった。
c) 欧州
欧州地域の売上高は7,818百万円(前年同期比54.6%増)、セグメント利益は977百万円(同225.7%増)となった。春先に変異株の急拡大を受け、経済活動の制限が長期にわたったものの、その後ワクチン接種が進んだことにより個人消費は徐々に回復に向かった。特にアウトドア市場は堅調に推移し、地域のニーズに合った新製品が好評を博した。
d) アジア・オセアニア
アジア・オセアニア地域の売上高は20,018百万円(前年同期比39.1%増)、セグメント利益は2,182百万円(同57.5%増)となった。中国では感染状況が落ち着いてきているものの、東南アジア地域では変異株の感染拡大によりロックダウン等が実施されるなど、市況はまだら模様となったなかで、豪州が販売をけん引した。
(2) 財務状況
2022年3月期第2四半期末の総資産は、売上が好調に推移したことによる売上債権の増加等により、前期末比8,914百万円増加し86,644百万円となった。純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことに加え、為替換算調整勘定の変動により、同7,300百万円増加し34,878百万円となった。自己資本比率は40.1%(前期末は35.3%)であり、健全な財務体質を維持している。
2. 2022年3月期業績の見通し
2022年3月期の連結業績予想については、コロナ禍による一時的な生産調整や国際物流の逼迫など、不透明な点はあるものの、引き続き好調な販売状況を勘案して2度目の上方修正を発表した。上方修正後の予想は、売上高117,000百万円(前期比16.6%増)、営業利益10,500百万円(同41.8%増)、経常利益10,500百万円(同46.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,500百万円(同56.3%増)としている。
主力のフィッシング事業では、日本を含め世界的にコロナ禍の影響が残るなか、アウトドアスポーツ・レジャーが「3密」を避けたアクティビティとして評価され、市場は好調を維持している。同社によると、釣りブームが起こった1990年代にフィッシングを好んだ顧客層がコロナ禍を契機に再び始めたことに加え、女性などのビギナーも増えているようだ。また、ゴルフ市場も「3密」を避けたアウトドアスポーツ・レジャーとして支持されており、「ONOFF」「FOURTEEN」ともにさらなる成長が期待できる。弊社では、コロナ禍を契機に消費者の価値観が自然やアウトドアを好む方向に変化していることから、アウトドアスポーツ・レジャー需要は今後も継続するものと考えている。一方で、一時的な生産調整や国際物流の逼迫などが懸念材料となっている。フィッシング事業では日本、ベトナム、タイ、中国などの複数国で生産を行っており、国によっては影響が出始めているようだ。また、サイクルスポーツ事業でもパーツ不足が顕在化している。しかしながら、このような環境下でも通期業績予想に対する進捗率は、売上高55.3%(前年同期は52.8%)、営業利益80.0%(同84.8%)、経常利益82.7%(同93.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益87.7%(同96.1%)と、前期並みの進捗となっている。フィッシングをはじめとする同社事業領域は、季節性が反映され上期偏重型であるものの、引き続き好調な販売状況を勘案すれば、業績予想からさらに上振れる可能性も高いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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