2. 事業セグメント別の動向
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアルソリューション事業の売上高は前年同期比2.1%減の9,058百万円と2期ぶりに減収に転じたものの、営業利益は同82.5%増の833百万円と3期ぶりの増益に転じ、利益率も前年同期の4.9%から9.2%とほぼ3期前の水準まで回復した。2022年3月期以降原材料価格やエネルギー価格の上昇が収益圧迫要因となっていたが、原材料価格の上昇が一段落した一方で値上げが浸透したほか一部製品の生産効率が向上したこと、また不採算となっていた製品群について、思い切った価格改定に踏み切ったことなども利益率の改善要因となった。分野別では、パッケージングソリューションやリビングソリューションが増益に寄与した。
ソリューション別の動向は、以下のとおり。
リビングソリューションの売上高は前年同期比6.0%減の2,447百万円とコロナ特需の反動減※が続いた。サッシメーカー向けの販売は順調に増加したものの、ホームセンター向けの販売数量が来店客数の落ち込みもあって減少したことが減収要因となった。ただ、第2四半期だけで見るとホームセンターの客足が回復傾向となり、同0.7%減とほぼ前年同期並みの水準まで戻ってきている。また、利益面では原材料価格やエネルギーコスト上昇分の販売価格への転嫁が浸透したことで増益となった。
※2021年3月期は、コロナ感染対策や巣ごもり需要もあって張替用防虫網の販売が大きく伸張した。
ビルディングソリューション及びインダストリアルソリューションの売上高は前年同期比2.8%減の1,873百万円と減収に転じた。ビルディングソリューションについては販売価格への値上げが浸透したほか、仮設工事関連向けや路面標示材等の販売が堅調に推移した一方で、前年同期に好調だった商業施設向けの防煙垂壁用高透明不燃シートの販売が減少し減収要因となった。利益面では、値上げ効果により利益率が改善した。
パッケージングソリューションの売上高は前年同期比12.3%増の2,262百万円と好調を持続した。値上げ効果に加えて、食品包装用での新規採用や販売数量の増加が増収要因となった。利益面でも値上げ効果に加えて、生産数量増効果による効率改善で、大幅増益となった。
アグリソリューションの売上高は前年同期比10.5%減の1,364百万円と減収に転じた。土木資材が堅調に推移したほか、各種キャンペーン等の実施により防虫網の販売が堅調に推移したものの、エネルギーコストの上昇により農業生産者の資材への投資意欲が減退しており、遮光網等の販売が減少した。
(2) アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業の売上高は前年同期比24.6%増の2,719百万円と増加したものの、営業利益は36百万円の損失(前年同期は339百万円の利益)を計上した。売上高は金属調加飾フィルム成型加工品や液晶テレビモニター用導光板の販売増加により増収となったものの、2023年春に稼働を開始した金属調加飾フィルムの米国工場における歩留まり改善が遅れたことや、減価償却費が約1億円増加したことに加え、プロダクトミックスの悪化が減益要因となった。なお、米国工場における歩留まりは第2四半期に入って改善傾向にあり、下期は当初想定通りに推移する見込みである。
売上高の内訳を見ると、デコレーション&ディスプレー分野は前期比5.5%増の1,576百万円となった。主力の金属調加飾フィルムは北米EVメーカー向けに成型加工品の販売が伸びたことで増収となったものの、フィルム販売だけで見ると若干減収となったようだ。採用車種がモデルチェンジの前倒しにより減産になったほか、採用されたEV車がバッテリー不足で生産調整を強いられたことなどが要因だ。地域別では、北米、日本向けが増加した一方で、インド・東南アジア向けが横ばい、中国向けが大幅減となった。日本については採用された車種の販売が増加した。北米についてはフィルム販売だけ見ると減収となった。一方、自動車向け内装ディスプレー用途の高透明多層フィルムは、CIDやHUDの採用が増加したものの、欧州メーカー採用車種の中国市場での販売不振が響いて減収となった。
コンバーティング分野の売上高は前年同期比9.8%減の504百万円と減収に転じ、その他分野の売上高は同398.6%増の638百万円と急増した。韓国大手メーカー向けに新たに液晶テレビモニター向け導光板の受注を獲得したことが主因だ。ただ、仕入販売品となるため利益への影響は軽微となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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