【QAあり】三光産業、通期の経常利益が前期比+331.8% 収益拡大に加え、業務効率化やM&A後の統合プロセスの進展が奏功
目次
石井正和氏(以下、石井):みなさま、こんにちは。三光産業株式会社 代表取締役社長の石井正和です。本日は2024年3月期の決算内容について、中期経営計画を含めてご説明します。よろしくお願いします。
会社紹介、2024年3月期の決算概況、2025年3月期の業績予想、中期経営計画、その他の順番でご説明します。
会社概要
会社紹介についてご説明します。
粘着剤付き材料へ印刷することを「特殊印刷」といいますが、当社はこの特殊印刷の総合メーカーです。特殊印刷は、お菓子のおまけシールから工業用部品として扱われるものまで幅広く、お客さまの多様なニーズに合わせて高品質な製品を提案、供給してきました。
沿革
当社の前身は、三光通商です。もともとは3M社の代理店として、道路標識などで使われていた、車のライトが当たると光が反射する材料を扱っていました。
その後、1960年より接着剤付きラベルステッカーの製造販売を開始しています。1989年に店頭登録銘柄として株式上場し、2004年にJASDAQ証券取引所に上場、2013年にJASDAQスタンダードに市場変更し、現在に至ります。
拠点所在地
製造拠点は、長野県佐久市、埼玉県川越市、マレーシアにあります。営業拠点は、国内拠点は東京都、大阪府、愛知県、海外拠点は中国の深圳、香港、タイ、マレーシアにあります。
また、関連会社として、トムズ・クリエイティブ社とアクシストラス社が東京都、ベンリナー社が山口県、五反田ゴム工業が広島県にあります。
グループ体制
グループ会社では、本業である特殊印刷以外の事業を行っています。2019年11月に子会社化したトムズ・クリエイティブ社では、ノベルティ製作・玩具製造販売を行っています。
2022年6月にM&Aによって子会社となったアクシストラス社は、「何気ない毎日の暮らしに『ちょっと良いモノ』を本気で作る」をコンセプトに、ECで小型家電を販売しています。
2022年12月にM&Aによって子会社となったベンリナー社は、日本刀のような切れ味の高性能スライサーを製造販売しています。
特殊印刷事業のビジネスモデル
特殊印刷事業のビジネスモデルは、幅広い製品製造メーカーの製品に合わせて、材料の選択から印刷方式および印刷工場の選定、品質基準の設定など、製品化に伴う課題を解消する中間製品を提供するものです。
個人の方に馴染み深い最終製品としては、スマートフォンの加飾パネル、家庭用ゲーム機や教育タブレットの筐体部品、食品調味料やシャンプーなどのラベル、ガソリンスタンドの操作パネルや警告用のシールなどがあり、さまざまな業界で採用いただいています。
特殊印刷事業の強み
具体的な強みは、柔軟な提案力により、さまざまな製造メーカーに中間品を提供し、年間2万4,000点もの多岐にわたる製品を取り扱っている点です。その結果、電気機器向けのラベルでは、8年連続シェアナンバーワンの取引実績を誇っています。
品質面でも国際レベルの外部機関による認証を取得しており、ソニー株式会社様からはグリーンパートナー認定をいただいています。
製品例
こちらのスライドは、当社の製品が使われている具体的な最終製品の一例です。
(参考)印刷種類
当社の印刷工場で加工可能な印刷の種類についてご説明します。
まず、シール印刷です。原理は一番古くからある印刷方式で、はんこや木版などの凸版を使った印刷方式です。1台の機械で全工程を行えるので、低コストという特徴があります。主に、家電製品の機能表示シールなどに使われています。
次に、オフセット印刷です。原理はローラーに転写する印刷方式で、色の再現性に優れ、印刷速度が速いため、大ロットのカラー印刷に最適という特徴があります。主に、食品のおまけシールや自動車の車検シールなどに使われています。
最後に、シルク印刷です。原理は板版の上からインクを押し付ける印刷方式で、耐光性や耐久性に優れ、紙以外の成形品や曲面、凹凸面にも印刷可能という特徴があります。主に、リモコンのスイッチの表示などに使われています。
決算サマリー
2024年3月期の決算概要についてご説明します。2024年3月期の業績は、日本国内における印刷需要の減少や競争激化による単価下落に加え、為替市場の急激な変動や原材料高騰など、依然として厳しい経営環境が続きました。
そのような中でも、売上の拡大、新基幹システム構築による効率化の推進、関連会社のM&A後の統合プロセスが予想以上に進展したことにより、収益が改善しました。
その結果、売上高103億円、営業利益7,000万円、経常利益1億9,000万円、税引前当期純利益3,000万円で着地しました。
より筋肉質な経営状況に変革をするために、大阪工場の廃止、希望退職の募集、不採算事業であったマスク事業と植物性工業用油事業の廃止を決定しました。
しかしながら、上記の事業整理損の大半が有税償却となったため、親会社株主に帰属する当期純損失は9,000万円となりました。また、減価償却費の負担を控除した利益であるEBITDAは前年比プラス144.8パーセントの3億600万円となりました。
連結決算概要
2024年3月期と2023年3月期の比較です。
売上高は前期比プラス5億4,200万円、増減は前期比プラス5.5パーセントです。営業利益は黒転し、7,100万円です。経常利益は、前期比プラス331.8パーセントの1億9,000万円です。親会社株主に帰属する当期純利益は、有税償却によりマイナス9,400万円となりました。
EBITDAは、前期比プラス144.8パーセントの3億600万円です。1株当たりの純資産は、前期比マイナス188円64銭の1,111円7銭となりました。
営業利益の増減分析
2023年3月期の営業利益はマイナス5,600万円でしたが、2024年3月期に7,200万円まで大きく回復しました。要因は、概ね増収による利益増によるものです。
貸借対照表
B/S上も、自己資本比率70パーセント超の健全な財務体質を維持しています。
通期キャッシュフロー
仕入れ条件の見直しを行う中、営業キャッシュフローは2023年3月期の6億1,800万円からプラス1億900万円と大幅に増加し、7億2,700万円になりました。
その結果、企業価値の源泉と言っても過言ではないフリーキャッシュフローも、前期比プラス9億6,200万円の5億6,200万円になりました。
連結フリーキャッシュフローの推移
2023年3月期は、M&Aにかかる支出が8億1,700万円あったため、フリーキャッシュフローはマイナス4億円となりました。しかし、その影響を除いた場合のフリーキャッシュフローは、順調に成長しています。
企業価値向上に向けて
2024年3月期は、P/L、B/S、キャッシュフローは順調に成長したものの、ROE、PBRは順調とは言えず、ROE8.0パーセントの目標に対してマイナス1.1パーセント、PBR1.0倍の目標に対して0.3倍と、芳しいとは言えない結果でした。
後ほどお伝えするさまざまな施策を講じることで、ROE、PBRともに向上を図っていきます。
株主還元
当社の配当政策の基本的な考え方は、業績の向上を目指し、株主の皆さまへ利益還元することに最善の努力を尽くすとともに、今後の事業展開に備えるための内部留保にも重点を置き、配当性向を考慮しながら安定的な配当を行っていくこととしています。
当期の経常利益は1億9,000万円となったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、事業再構築のため不採算事業を廃止したことによる有税償却の結果、マイナス9,400万円となりました。
しかしながら、当社の配当政策の基本的な考え方に従い、当期の配当金は昨年と同様、1株あたり10円の方針で考えています。
業績予想
2025年3月期の業績予想について説明します。
2025年3月期の売上高は、不採算事業の撤退により減収の99億7,300万円となります。しかし、資本規模の縮小と生産性向上を行い筋肉質な経営状況になることで営業利益は大幅に改善し、1億7,900万円の着地を予定しています。
当期純利益も、前期のマイナス9,400万円から2億6,300万円と増益になる見込みです。
外部環境(1/2 印刷産業の市場動向)
2024年3月期を1期目とした、3ヶ年の中期経営計画の概要について説明します。
まず、広義の印刷業を取り巻く市場動向です。市場規模は1990年前半の8兆9,286億円がピークとなり、2021年度には概ね半分となる4兆8,555億円にまで縮小しています。
外部環境(2/2 特殊印刷産業を取り巻く状況)
特殊印刷業を取り巻く環境については、マクロ環境では市場縮小と調達コストの増加がうかがえます。
ミクロ環境においても、大規模事業者として規模の経済による一定の優位性はあるものの、アナログからデジタルへのシフトチェンジなどの影響により、当社を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。
3本の柱のイメージ像
その中で、中期経営計画は3本の柱を経営戦略の根幹として策定しました。
第一の柱は特殊印刷事業の黒字化、第二の柱はベンリナーの事業基盤構築、第三の柱は新規事業創出です。それぞれ詳細をご説明します。
中期経営計画の骨子
第一の柱で、特殊印刷事業を厳しい環境下でも継続的に黒字にできる筋肉質の経営状況にします。第二の柱で、ベンリナーという高性能スライサーの生産量を2倍にすることで、安定的な事業基盤を構築します。第三の柱は、将来に向けた投資です。三光グループの将来の柱となる新規事業を創出します。
この3つの経営戦略を着実に実行し、中期経営計画最終年度である2027年3月期の目指す姿として、売上高105億円、営業利益3億円、営業利益率4.1パーセント、営業利益の年平均成長率37.8パーセントを達成したいと考えています。
中期経営計画の全体像
中期経営計画をどのような順序で実行するのかについてご説明します。
柱ごとに3つのフェーズに分けて実行します。フェーズ1が、資本規模の縮小と生産性の改善です。このフェーズで、筋肉質な経営状況にする準備をします。いわゆる選択と集中の選択です。
フェーズ2が、コア事業の再構築です。このフェーズで2本の柱を筋肉質な経営状況にし、生産性を上げていきます。
フェーズ3が、恒常的な収益体質化です。筋肉質な経営状況となったところで、増産などのための資本の投下により拡大を図っていきます。
1 印刷業界の黒字化 第一の柱 特殊印刷事業の継続的な黒字体質への転換
1本目の柱である、特殊印刷事業の黒字化についてご説明します。
祖業である特殊印刷業を取り巻く環境は、ご説明したとおり非常に厳しい環境にありますが、その中でも営業利益ベースでの黒字化を果たすための施策をご説明します。
施策は主に5つあります。大阪工場の廃止、希望退職の募集、不採算事業の撤退、資本業務提携先との事業開発、コーポレート部門の強化です。
1 印刷業界の黒字化 大阪工場の廃止・不採算事業の撤退
大阪工場の廃止および不採算事業の撤退による工場設備の統廃合についてご説明します。
大阪工場は、1987年に竣工した工場です。築37年と老朽化していたこともあり、2024年12月をもって廃止を決定しました。大阪工場ではシール印刷、シルク印刷、切削加工、デジタルプリントの製造を行ってきました。
このうち、シール印刷、デジタルプリントの設備については、長野工場に統合・移管します。シルク印刷とその後工程の切削加工については、採算性の観点からも国内生産は廃止することにしました。
また、長野工場で生産していたマスク事業については、マスク不足という社会問題が解消したこともあって設備を廃止し、そこに大阪工場の設備を設置します。
1 印刷業界の黒字化 設備生産性の改善
スライドは、工場廃止の意思決定時点の資料です。
当社の経営課題の1つに「有形資産の回転率の低下に起因する設備生産性の低下」があり、設備過剰な状態を解消する必要がありました。工場の廃止により、下降トレンドであった設備生産性を改善します。
1 印刷業界の黒字化 希望退職者募集
工場廃止による固定費の削減とあわせて、事業規模に応じた人員の適正化を図るため、希望退職を募集しました。
本件の具体的な結果についての発表は差し控えますが、現段階では当初の目論見どおりに進んでいます。
2 ベンリナーの事業基盤構築 第二の柱 ベンリナーの生産量2倍・事業基盤構築
2本目の柱は、ベンリナーの事業基盤構築です。高性能スライサーの製造販売をしているベンリナー社は、需要に供給が追いついていない状況が続いています。
この状況に対し、PMIの実施により生産効率を上げ、設備投資を行い、安定的な増産体制を構築し、市場を開拓していくことで、グループの柱といえる事業に育成します。
2 ベンリナーの事業基盤構築 ベンリナーの生産効率化
ベンリナー社のM&A後の統合プロセスにおいて、三光産業の生産ノウハウを活かしたオペレーションの管理・改善を行ってきました。その結果、生産効率は改善し、生産量は1.2倍超となりました。
2 ベンリナーの事業基盤構築 ベンリナーの受注状況
スライドの表は、2024年3月期の生産量と受注残の推移を比較したグラフです。濃い青色のグラフが生産量の推移、灰色のグラフが受注残高の推移になります。
青色のグラフと灰色のグラフの差が、顕在化している供給不足となります。PMIによる生産効率向上後においても、依然として供給不足が続いている状況です。
2 ベンリナーの事業基盤構築 安定供給可能な生産体制の構築
供給不足の状況を打破するため、2023年8月にM&Aした五反田ゴム工業社をベンリナー社の第2工場として改装中です。
M&A以前から中期経営計画の最終年である2027年2月期までに、生産量を2倍超に増産できる体制を整え、安定的な供給を実現させていきます。
2 ベンリナーの事業基盤構築 国別の販売状況
スライドの表は、ベンリナーの国別の販売先です。限られた生産量のため、日本、アメリカ以外での販売は供給不足となっています。
供給不足の国においては、安定量を供給するだけでなく、代理店開拓および市場開拓も同時に行っていきます。
2 ベンリナーの事業基盤構築 新規事業参入の考え方
特殊印刷事業とベンリナー社の製造販売を含めた新規事業では、市場規模も成熟度も異なると考えています。
したがって、重視する指標が事業ごとに異なるため、各事業に合った指標をきめ細かく設定し、管理体制を構築中です。
3 新規事業創出 第三の柱 新規事業の創出
3番目の柱である、新規事業の創出についてご説明します。当社の投資方針の大前提は、当社が持っているノウハウや販路を活かすようなシナジーがあることです。
特殊印刷業と高性能スライサーの製造販売をしているベンリナー社とは、一見するとシナジーがないように見えます。しかし、先ほどご説明したとおり、当社が持つ生産効率のノウハウを活かすことで、オペレーション上のシナジーは大いにありました。
したがって、中期経営計画の3年間で、この投資方針に則った3番目の柱となる事業を見つけていきます。その手段となるM&AやCVCによる協業などのノウハウも社内に蓄積されてきました。
3 新規事業創出 社外との戦略的提携
CVC活動による社外との協業実績についてご説明します。いずれも新規事業の開発には至っていませんが、他社と協業することで事業に貢献している具体例になります。
まず、子会社のトムズ・クリエイティブ社と、CVC先のPort社の例です。Port社は、クリエイターがファンと1対1でテレビ電話をすることができるプラットフォームを展開しているベンチャー企業です。プラットフォームに登録するクリエイターのセールスプロモーションを受注しています。
続いて、子会社のベンリナー社とCVC先のASTINA社の例です。ASTINA社はAI外観検査サービスを提供しているベンチャー企業で、ベンリナー社の製造工場のDX化と刃物の外観検査の自動化について共同開発を検討中です。
3 新規事業創出 ファイナンス手法の導入
新規事業の検討にあたっては、事業の成功確率を上げるために幾つかのケースを想定し、資本コストを勘案したコーポレートファイナンスの手法を取り入れた社内審査体制に移行中です。
そのために、経営企画室の機能を強化しました。
事業ポートフォリオ
現在の事業と中期経営計画終了時のポートフォリオを比較すると、スライドのようになります。
祖業である特殊印刷事業では収益率に注力し、ベンリナー社ではシェア獲得による売上確保とあわせて、将来の収益の柱となる新規事業の発掘という姿を目指し、中期経営計画を進めていきます。
中期経営計画(計数)
その結果として、計数は営業利益3億4,000万円、年平均成長率はプラス37.8パーセントを目指します。
財務戦略
最後に、その他の事項についてご説明します。
本中期経営計画は、ROE8.0パーセント、PBR1.0倍という目標にも共通して効果のある施策であると考えています。加えて、株主アンケートをはじめとするステークホルダーとの対話、信頼確保などを含め、総合的にさまざまな施策の積み上げを行っていきます。
サステナビリティ
当社のサステナビリティの活動についてご報告します。
「環境保全・エコ活動」「住みやすい街づくり」「働きやすい職場環境づくり」の3つを軸となる重点的な取り組みと位置づけて2030年のありたい姿を設定し、長野県・埼玉県・愛知県のSDGsパートナーの認定を受け、活動を行ってきました。
「環境保全・エコ活動」として、具体的には、CO2削減のための社用車のガソリン使用量、電力使用量、廃プラスチックの削減に取り組んできました。その結果、ガソリン使用量は前年比4.9パーセント削減いたしました。
「住みやすい街づくり」としては、自主的なクリーン活動、外部ボランティアへの参加、寄付型自販機設置の増設などを行ってきました。
「働きやすい職場環境づくり」としては、働きやすい職場環境を構築し、社員のライフワークバランスの向上を推進してきました。
今回ご説明した資料は当社ホームページに掲載しますので、よろしければご参照ください。私からのご説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:2025年3月期の業績予想について
司会者:「2025年3月期の業績予想について、もう少し詳しく教えてください」というご質問です。
石井:スライドの表をご覧になると、おわかりいただけると思います。
スライドに記載しているのが、2025年3月期の各事業の総合的な売上高と利益の数字です。各事業目標に対する進捗を週1回の会議で確認し、さらに月1回のモニタリング会議で数字を精査していきます。
このように、目標に向けた実現性・確実性を追求していきたいと考えています。
質疑応答:ベンリナー社の増産計画の進捗について
司会者:「ベンリナー社の増産計画の進捗について教えてください」というご質問です。
石井:ベンリナー社については、担当役員からご説明します。
北村眞一氏:社長の指名により、ベンリナー社に関する増産計画ならびに進捗について、取締役執行役員営業統括本部長の北村よりご報告します。
先ほどの社長のご報告にあったとおり、ベンリナー社は、2022年12月に株式の取得によって子会社化しています。
ベンリナー社は設立から69年間、高性能の調理器具のスライサーとしてすべての部品を内製し、組み立ても行っているため、100パーセントメイドインジャパンの商品となっています。
2022年12月以降に、私が責任者の任命を受けました。2023年1月からは私が毎月定期的にベンリナー社に赴き、みなさまとの面談を行ったり、事業計画や期ごとの予算決めを行ったりと、みなさまと話し合う場を設けています。
2024年2月期の増産に向けた第1段階として、まずは現状のベンリナー社の建物および人員スタッフの中で生産効率を上げることで、増産を目指しました。
具体的には、各製造部門の横串のスタッフの登用や、工数が非常に多い商品の一部外注化をしました。また、一部品種の集約化、各部品関係の棚卸の精度のアップといった施策により、生産の向上を図りました。
その結果、子会社化する前の期との比較で、2024年2月期は約1.2倍の販売増となりました。
こちらも先ほど社長よりご説明があったとおり、約1.2倍の販売増とはなりつつも、まだ供給不足は解消できていません。そのため、現状はPOを受ける際にはPOの数を抑え、可能な数量でお答えしており、未だに供給不足の状況が続いています。
そこで第2ステップとして、2023年8月に五反田ゴム工業を株式の取得により子会社化しました。なぜ五反田ゴム工業なのかというと、ベンリナー社の近場に第2工場を設けたいという狙いで岩国近辺で探していた中、五反田ゴム工業に行き着くことができたためです。
社名に「ゴム工業」とついていますので、当然現在はゴムの生産を行っている会社です。しかし、私が五反田ゴム工業の責任者としてお得意先さまに対して誠意を持ってご説明をしたうえで、ゴム事業からの撤退を表明し、みなさまに納得いただきました。
概ね年内にはゴム事業からの撤退、ならびに設備関係を撤収できる目処が立ちました。ある程度の段階を経てにはなりますが、ベンリナー社と同じ加工設備を順次五反田ゴム工業に設置し、なおかつ五反田ゴム工業の現状の人員スタッフでベンリナー社の製造に携わっていただく計画です。3年後にはベンリナー社の商品を倍増することを目指し、整備している最中となっています。
また、先ほど社長からご報告があったとおり、今後の販売状況に関しては日本と海外がありますが、海外の売れ行きが非常に好調です。特にアメリカ、カナダ、ヨーロッパ方面で約68パーセントの販売量となっています。
私自身が各主要顧客と面談する中で、今まではPOの数をある程度抑えていたものの、数を増やせるのであればさらに増やしていきたいというご意見等もいただいています。そのため、今後もこのビジネス・商品には需要があり、伸長すると考えています。
さらに刃物に関しては、非常に特殊な加工を行っているため、他社との差別化もできています。海外では、特に料理店やシェフなどのプロに非常に広く愛用されており、この分野はまだ伸びていくと確信しています。
以上、私からベンリナー社に関する説明でした。
質疑応答:中期経営計画の進捗状況の発表について
司会者:「中期経営計画の進捗状況は毎年発表されるのでしょうか?」というご質問です。
石井:毎年の進捗状況の発表は控えます。ただし、四半期ごとの決算発表はありますので、そちらをご確認いただければと思います。
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