同社の事業は5つのセグメントで構成される。その中でも、機関投資家・金融機関向けに情報配信を行う投資情報事業と、生保向け印刷を主力とするドキュメントソリューション事業は、同社の安定的な収益基盤となっている。次に、ファンドディスクロージャー事業は新NISAによる市場拡大を背景に、前期の特需の反動で一時的に落ち込んでいるものの、長期的な成長トレンドを取り込んでいる。また、ITソリューション事業は、金融機関のDX需要を追い風に伸長しているが、同社自身のDX化においても技術的なシナジーを生み出している。直近の動きとしては、ランゲージソリューション事業において、翻訳・通訳事業をM&Aしているが、東証の英文開示義務化を背景に、今後底堅い成長が見込まれる。
同社の強みは、データ、ドキュメント、IT、言語の各サービスを組み合わせた統合的なソリューション提供能力にある。また、専門性が高く参入障壁の高い金融・IR領域において、長年の実績に裏打ちされた顧客からの厚い信頼を得ている。加えて、翻訳・通訳市場で実績ある子会社を獲得したことは、さらなる競争優位性となるだろう。
事業環境に目を向けると、上場企業への英文開示義務化がランゲージソリューション事業の需要を後押しするなど、制度変更やDX化の波を巧みに捉えることで、さらなる成長が期待される。一方で、ペーパーレス化は同社の印刷関連事業にとって逆風だが、デジタルソリューションの提供を同時に推進することで市場の変化に対応している。同社は幅広い商材を持ち、過去にもM&Aを活用して事業シナジーが見込める業態を取り込むなどしており、環境適応能力はポジティブに評価できる。
2025年12月期の業績は、売上高が前期比22.0%増の7,150百万円、営業利益が同13.6%増の770百万円、当期純利益が同20.9%増の510百万円と、増収増益を見込んでいる。ランゲージソリューション事業の通年寄与が貢献する一方、M&Aに伴うのれん償却費などの一時的費用が利益率を下押しする見込みである。また、同社が8月12日に発表した中間期決算の進捗率は、売上高が47%、経常利益が54%と順調に進捗している。システム開発の受託案件などを除けば業績の変動要素は限定的であり、通年ベースでも堅調な推移を予想している。
株主還元については、財務体質の強化と事業拡大に必要な内部留保の充実を図りつつ、今後の事業展開などを総合的に勘案し、中間及び期末配当を実施する方針である。同社はPBR1倍程度の株価水準に問題意識を持っており、配当政策や企業成長を通じて株主還元策を実施している。2025年12月期は、1株当たり31.5円(普通配当21.5円、特別配当10円)への増配を予定している。
投資の視点からは、安定事業である投資情報事業などが収益を下支えする中、M&Aで強化したランゲージソリューション事業が、英文開示義務化を追い風に業績へ貢献することが期待される。一方で、近年の増配継続といった株価を下支えする要素もあり、ダウンサイドリスクは限定的と言えよう。底堅い成長が見込める中、株価のバリュエーションは足元でPBR1倍程度で推移しており、引き続き投資妙味があると考えている。
<HM>
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