サカタインクス<4633>は1896年の創業以来120年以上の歴史を誇る、世界3位の大手印刷インキメーカーである。長い歴史のなかで培われた環境配慮型高機能・高付加価値製品の開発力・品ぞろえ・高シェア、及び製品の高い信頼性・品質力を強みとする印刷インキ事業をコアとして、「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」をビジネステーマに掲げている。同社はインキの開発・生産で培ってきた基盤技術を機能性材料事業にも応用展開しており、さらに4つのケミカル分野を注力分野として新たな事業の柱の育成も目指している。
1. 沿革
同社は1896年、個人商店の阪田インキ製造所として大阪市で創業し、新聞インキの製造・販売を開始した。1911年には日本で初めて亜麻仁油製印刷インキ用ワニスの工業化に成功した。
1920年に株式会社組織に改組し、1961年に大阪証券取引所市場第2部に上場、1962年に同市場第1部に指定替えした。1987年には商号をサカタインクス株式会社に改称し、1988年に東京証券取引所市場第1部に上場した。そして2016年11月に創業120周年を迎えた。
海外展開は、1960年フィリピン(マニラ市)に初の海外駐在所を開設し、以降、海外主要拠点に現地法人を設立している。2020年6月にはドイツのA. M. Ramp & Co. GmbH(以下、RUCO)の全株式を取得して子会社化した。
また、同社が20年以上継続して取り組んでいるTPM活動では、2017年12月に国内の主要4工場(東京、大阪、滋賀、羽生)において、TPMアドバンスト特別賞を受賞した。TPM(Total Productive Maintenance=全員参加の生産保全)とは、公益社団法人日本プラントメンテナンス協会によって提唱されたもので、同社の革新的生産方式の構築と海外への展開などが高く評価された。また「設備保証度の向上」についての論文がTPM優秀論文賞プロダクション部門第2席を受賞した。
なお2021年3月26日付で、森田耕太郎前代表取締役社長執行役員が取締役会長に、上野吉昭前取締役常務執行役員が代表取締役社長執行役員に就任した。
2. グローバル展開
同社グループ(2020年12月期末時点)は、同社をはじめとする連結子会社25社、持分法適用関連会社4社で構成され、日本及び海外合わせて20の国・地域に印刷用インキ製造・販売拠点を展開している。2020年6月に買収完了したドイツのRUCOについては2021年12月期から連結対象としている。また、同社から分離独立した電子部品輸出入・EMS事業を営むシークス<7613>は持分法適用関連会社である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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