● 2023年8月期の連結業績見通し
ナガイレーベン<7447>の2023年8月期の連結業績は、売上高が前期比2.6%増の18,200百万円、営業利益が同9.1%減の4,574百万円、経常利益が同9.8%減の4,638百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.2%減の3,164百万円と予想している。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に特別利益を計上した反動により減益幅が大きくなっている。
売上高は順調な伸びを予想しているが、為替(円安)の影響や加工賃の上昇などが続くと見ており、原価率がアップすることから営業利益は減益を見込んでいる。これに対し同社は、価格改定や効率化など収益性の改善を実施する予定だが、浸透は下期以降になるとしており、上期の業績が最も厳しくなる予想となっている。
売上高については、コア市場では、2022年8月期より発売開始した新コンセプトブランド「EARTH SONG」を前面に打ち出し、市場を活性化するとともに、更新物件の確実な受注とシェアアップを図る。周辺市場では、好調な患者ウェアに新商品を投入して拡販を目指す。海外市場では、台湾においてEC直販をスタートさせ新たな販路を開拓する。これらの施策により全市場において増収を計画し、全体では過去最高の売上高を目指す。
一方で、利益面では引き続き厳しい状況が続くとしている。為替が想定以上に円安に振れていることもあり、売上総利益率は41.9%(前期は44.4%)、売上総利益は7,618百万円(前期比3.3%減)と予想しているが、売上増による要因で202百万円の増加を、利益率低下によって466百万円の減少を見込んでいる。利益率低下の要因では、為替(円安)の影響で460百万円減(2022年8月期114.1円/米ドルに対して、2023年8月期は先物予約でカバーし135.0円/米ドル前後となる見込み)、海外も含めた加工賃アップで78百万円減、海外生産比率の上昇(2022年8月期の51.9%に対して2023年8月期は53.0%見込み)で60百万円増と予想している。また、原材料費はさらに上昇が懸念されることから、これにより230百万円の利益低下を見込んでいる。一方で、物流費については航空便の利用減や効率化などの収益性改善により30百万円の増益要因を見込み、このほか価格改定によって212百万円の利益増を予想している。
コロナ禍の影響は減少し、市場は安定化に向かうものと予測される。経費については、営業活動が通常に戻ると想定されることから、旅費交通費は28百万円増、広告宣伝費は78百万円増を見込んでおり、販管費は前期比6.8%増の3,044百万円と予想している。この結果、営業利益は同9.1%減の4,574百万円になると予想している。なお、設備投資額は325百万円(建物関連127百万円、IT設備107百万円、物流設備60百万円、生産設備30百万円)、減価償却費は301百万円と通常の範囲内を見込んでいる。
以上のように、2023年8月期の業績見通しは非常に厳しいものとなっているが、上期と下期では状況は若干異なる。各種のコストアップに伴い、同社は価格改定や効率化など収益性の改善を実施する予定のようだが、価格改定の効果が出てくるのは下期と見ている。そのため、2023年8月期の業績は上期が最も厳しく、下期には回復傾向となる見込みだ。
(1) アイテム別、市場別売上高予想
市場別売上高については、すべての市場で増収となる見通し。コア市場は前期比1.4%増の13,200百万円を見込んでおり、アイテム別ではヘルスケアウェアが前期比1.6%増の9,850百万円、ドクターウェアが同1.7%増の2,700百万円、その他が6.4%減の620百万円、感染対策商品が同477.3%増の30百万円を計画している。周辺市場は同5.9%増の4,750百万円を見込んでおり、患者ウェアで同7.9%増の3,100百万円、手術ウェアで同2.2%増の1,650百万円を計画している。なお、海外市場は同5.5%増の250百万円を見込んでいる。
(2) 商品別売上高予想
ハイエンド商品では、エレガンスライン商品の強化に注力することで前期比2.4%増の1,300百万円を計画している。高付加価値商品では、新コンセプトブランド「EARTH SONG」の市場浸透により高付加価値の向上を追求することで、同4.2%増の10,700百万円を見込んでいる。付加価値商品では、他社物件の獲得及び量販品からの引き上げ移行を推進することで、同0.9%増の5,500百万円を計画している。なお、厚生労働省向けの予定はない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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