ナガイレーベ Research Memo（1）：2020年8月期第3四半期は医療現場混乱で減益も第4四半期に取り込む計画

■要約

1. 2020年8月期第3四半期（実績）
ナガイレーベン<7447>は国内シェア60%超を持つ医療白衣のトップメーカーであり、高い利益率と堅固な財務内容を誇っている。発表された2020年8月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比4.9%減の12,290百万円、営業利益が同9.2%減の3,440百万円、経常利益が同8.5%減の3,514百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.4%減の2,426百万円となった。同社にとって最大の商戦期である第3四半期に入り新型コロナウイルス感染症の影響が一段と顕在化し、医療現場の混乱、営業活動の停滞などにより、多くの新規物件も先送りとなった。一方で、感染予防衣（アイソレーションガウン）などの特需も見られたが、結果的に第3四半期は減収減益となった。売上総利益率は前年同期比で0.7ポイント低下したが、これも新型コロナウイルス感染症の影響で国内生産の比率が増加したことなどによる。

2. 2020年8月期（予想）
2020年8月期の通期連結業績は、売上高が前期比3.7%増の17,400百万円、営業利益が同5.1%増の5,167百万円、経常利益が同5.0%増の5,242百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.6%増の3,605百万円とする期初予想を据え置いている。第3四半期までの減収は需要そのものが消失したものではなく、医療現場の混乱あるいは営業現場の停滞によるずれ込みであるため、これらのずれ込んだ物件等を第4四半期に確実に取り込むことで増収を確保する計画だ。一方で損益面では、海外生産比率が上昇（回復）することなどから売上総利益率は少なくとも2019年8月期並みを維持する計画だ。この結果、増収効果により営業利益は前期比で増益を見込んでいる。

3. 中期経営計画と株主還元策
同社は2019年8月期の実績を踏まえて、それまでの計画をロールオーバーして2022年8月期に売上高18,400百万円、営業利益5,600百万円とする新しい中期経営計画を発表している。現時点でこの目標に変更はなく、海外生産の拡大や利幅の大きい高機能性商品の強化を通じ、この目標達成を図る考えだ。また同社は株主還元にも前向きである。配当性向50%以上（単体ベース）を公約しており、2020年8月期の年間配当は60円を予想していることに加え、2019年11月に40万株（1,031百万円）の自己株式取得を行った。この結果、2020年8月期の総還元性向は84.9%を見込んでおり、株主還元に対する同社の姿勢は大いに評価に値するだろう。

■Key Points
・2020年8月期第3四半期は新型コロナウイルス感染拡大による医療現場の混乱により納入遅れが発生したが、第4四半期に取り込む見込み
・中期経営計画の目標（2022年8月期に営業利益5,600百万円）は据え置き
・2020年8月期は年間配当60円を予想、自己株式の取得も含めて総還元性向は84.9%予想

（執筆：フィスコ客員アナリスト　寺島　昇）


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