● 2020年8月期通期の連結業績見通し
(1) 損益見通し
ナガイレーベン<7447>の2020年8月期の通期連結業績は、売上高が前期比3.7%増の17,400百万円、営業利益が同5.1%増の5,167百万円、経常利益が同5.0%増の5,242百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.6%増の3,605百万円とする期初予想を据え置いている。当第2四半期は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による医療現場の混乱から減益となったものの、主要因は更新物件が後ずれしたことで、これらを下期に取り戻すことで通期では増収増益を目指している。ただし、今後の新型コロナウイルス感染拡大の収束状況によっては、修正もあり得るのは言うまでもない。
売上高については、ヘルスケアウェアでの更新対象物件や好調な患者ウェアでずれ込んでいた大型新規物件を確実に取り込むことで前期比3.7%の増収を計画している。既述のとおり、新型コロナウイルス感染症対策向けとして、マスクやアイソレーションガウンなどのリユーザブル感染対策商品(新商品)を2020年8月期中に上市する計画だが、売上高としては今期の予想には含めていない。
売上総利益率は46.7%(前期46.7%)とほぼ2019年8月期並みを予想している。売上総利益額は289百万円増加する見込みだが、売上増による要因で287百万円の増加を、生産による要因で3百万円の増加を見込んでいる。生産による増加は、主に海外生産比率の上昇による。一方で原価面では、国内加工賃等の上昇による影響(原価上昇)53百万円、原材料等の値上げによる影響(同)62百万円を見込んでいる。また為替レート(2019年8月期107.5円/米ドル→2020年8月期105.9円/米ドル)による原価低減効果32百万円、海外生産比率の上昇(2019年8月期49.2%→2020年8月期49.5%)による原価低減効果40百万円を予想している。ただし為替レートについては、2020年1月~3月分までを比較的低い(円高)レートで先物予約を取ったことに加え、今回の一時的な円高(102円台)においても低いレートで先物予約を取れたことなどから、実際の平均レートは見込みを下回る可能性もありそうだ。
販管費は、役員退職慰労金制度廃止に伴う功労金の支出は消失するものの、通常の営業拡大に伴う経費増が見込まれることから、前期比1.4%増の2,963百万円が予想されている。その結果、営業利益は5,167百万円(同5.1%増)と増益を計画している。これにより、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も増益が見込まれている。なお、設備投資額は229百万円、減価償却費は334百万円を見込んでいる。
a) アイテム別売上高予想
アイテム別の売上高は、ヘルスケアウェア9,970百万円(前期比3.0%増)、ドクターウェア2,730百万円(同2.1%増)、ユーティリティウェア390百万円(同11.6%減)、患者ウェア2,250百万円(同10.6%増)、手術ウェア1,700百万円(同6.5%増)、シューズ165百万円(同3.9%減)、その他195百万円(同3.9%増)を見込んでいる。
ヘルスケアウェアは、市場環境の動向によるところが大きいが、ずれ込み物件の確実な受注と下期の更新予定物件の効率的な商談に注力し、さらに新商品群を推進力として増収を計画している。ドクターウェアは、量販品は厳しい状況であるものの、引き続きハイエンド商品での拡販を中心に、リーズナブルな価格帯での付加価値新商品の投入により市場を活性化させる計画。患者ウェアは、市場占有率も低いことから、新商品投入と新規取引先の拡大により2ケタの増収を計画している。手術ウェアは、コンペルパックなどリユーザブル商品の利点のアピールによる洗濯滅菌工場のキャパ解消と2019年8月期からの新規取引先により、立ち遅れていたエリアでの市場開拓を進める。さらに、リユーザブル商品の利点の再評価を強力にアピールすることで、増収を見込んでいる。
b) 地域別売上高予想
地域別売上高は、東日本9,130百万円(前期比2.6%増)、中部日本1,800百万円(同8.2%増)、西日本6,250百万円(同3.6%増)、海外220百万円(同15.8%増)を見込んでいる。
東日本では、期ずれ物件の確実な受注と患者ウェアの新規取り込みにより、着実な増収を図る。中部日本は、市場規模が小さいため物件の多寡による影響が大きいが、2020年8月期は更新物件が多いため下期も確実な受注を目指す。西日本では、今後の新規物件の獲得が見込まれるとともに、上期からずれ込んだ患者ウェアの拡販により増収を図る。海外は為替の状況に左右されるものの、国内における同社のビジネスモデル(リネン業者への販売)の導入に目途が付いたことから、市場浸透に向けての販促活動により売上拡大を目指す。
c) 商品別売上高予想
商品別売上高は、ハイエンド商品1,330百万円(前期比4.3%増)、高付加価値商品9,370百万円(同4.5%増)、付加価値商品5,910百万円(同3.4%増)、量販品790百万円(同3.3%減)を見込んでいる。
ハイエンド商品は引き続き「Bright Days」「4D+」「Beads Berry」等の自社高級ブランドが小口ユーザーを中心に好調であることに加えて、一部の大病院へも納入し始めていることから、全体では増収を見込んでいる。高付加価値商品群は、「Pro-Function」などの高機能商品群が市場の評価を得て好調に推移しており、継続して高付加価値戦略を一段と推進し増収を達成する予定だ。量販品は減少傾向が続く見込みだが、他社物件も含めて継続的に付加価値商品群への移行を進める計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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