3. 中期経営計画
コンドーテック<7438>は基本方針に向けて毎期ローリングした中期経営計画を公表しているおり、2021年3月期については売上高58,674百万円、営業利益4,089百万円を目指している。中期経営計画を達成するためにも、同社はSDGs(持続可能な開発目標)とESG(環境・社会・ガバナンス)を重視し、事業活動を通して社会的責任を果たすことで経営基盤を強化、持続的な成長と長期的な企業価値向上を達成する考えである。また、資本効率と株主還元の目標を設定することで、効率的経営と安定継続的な利益還元の両立も目指す。具体的には、自己資本当期純利益率10%以上を目標に設定することで、M&Aや事業拡大など積極投資による成長性と資産の効率的使用による収益性をともに向上させ、一方で連結純資産配当率2.5%以上を目標に株主還元の責も果たしていく方針である。
キャッシュ・フロー面では、2018年3月期末の手元資金9,893百万円と2019年3月期−2021年3月期で得られる見込みの営業キャッシュ・フロー8,400百万円を、効率的・効果的に配分していく方針である。配分の内容は、M&Aに3,600百万円、設備投資に2,800百万円、人への投資(退職金制度変更)に1,200百万円と成長投資に7,600百万円を振り向け、一方、株主還元に2,300百万円を振り向ける予定である。ちなみに、株主還元に振り向ける予定になっている額は、年2円以上の増配が可能になるという単純計算が成り立つ額でもある。
中期経営計画の間、2020年7月−9月に東京オリンピック・パラリンピックが開催される。それまでは建設業界も特需的な景気が見込まれるが、その後は反動減が懸念されている。このため、同社の2021年3月期の業績目標は前期比で相対的に低い伸びになっている。2020年以降の国内需要は容易に伸びないと、同社が想定していることの表れだと思われる。したがって、そうしたタイミングで、オーガニックな成長からノンコアの成長へと同社の戦略の軸が切り替わっていくと推測される。その際、合理化投資による収益性改善とM&Aや海外展開による成長性確保が戦略目標になっていくのだが、自動化やロボットの研究を進めている中央技研の買収は、そうした環境への布石であるのかもしれない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SF>
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