―3月期末のゴール目前、今週末に権利付き最終日迎えるインカム・ターゲットはこれだ!―
3月決算企業の期末が間近に迫ってきた。3月末は株主優待と配当の権利確定を迎える企業が1年で最も多く、投資家の大きな注目を集める時期だ。足もとでは 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、歴史的な暴落相場となるなか、株価に反比例する形で株主優待と配当の利回りは上昇基調を続けている。配当利回りは東証1部平均で3%を超えており、異常値ともいえるほど高い水準にある。今回は相場急落で上昇している 株主優待と配当の合算利回りが高く、投資妙味の大きい銘柄を探った。
●コロナ対策で有効期限を延ばす企業も
株主優待制度を採用する企業が業種別で最も多い小売業では、新型コロナウイルスの影響で来店客数の減少が顕著になるなか、集客狙いで株主優待を拡充したり、優待券の有効期限を延ばす動きが出てきている。外食大手のコロワイド <7616> は年4回付与する株主優待ポイントのうち、今年6月発行分を通常の2倍にあたる2万ポイントに増額する施策を打ち出したほか、同社子会社のカッパ・クリエイト <7421> も同様の措置をとる方針を示した。
また、すかいらーくホールディングス <3197> や日本マクドナルドホールディングス <2702> [JQ]などは、3月末に期限を迎える優待カードや優待券の有効期限を延長することを明らかにしている。新型コロナウイルスの感染拡大に収束が見えないなか、このような動きは今後も広がりをみせそうだ。一方、業績不振が続く企業では、コロナショックが追い打ちをかけた格好で優待内容を大幅に縮小するケースもみられる。足もとの業績や財務の動向には十分に注意を払っておきたい。
●中長期の視点では買い好機にも
株主優待の人気株や高配当利回り銘柄は、権利付き最終日に向けて優待や配当目当ての買いが入りやすく、株価が上昇する傾向がある。ただ、今年はリーマン・ショックに匹敵するほどの大波乱相場でそうした動きは鈍く、中長期的な保有を前提としてインカムゲインを狙うには好機と捉えることもできる。以下では、株主優待と配当を合算した利回り(トータル利回り)が4%を超える7銘柄を紹介していく。なお、3月末締めの株主優待と配当の権利を獲得するには、27日に株式を保有することが必須条件となる。
※併記した「トータル利回り」「最低投資金額」は3月23日現在の優待品、配当、株価から算出。トータル利回りは今期予想ベース。
【KDDI】 トータル利回り:4.97% 最低投資金額:29万1850円
KDDI <9433> は3月優待銘柄の中でも高い人気を誇る企業の一つだ。株主優待品は全国各地のグルメ品を選べる「au PAY マーケット商品カタログギフト」。毎年3月末に100株以上を保有していると、保有株数と継続保有期間に応じて3000円から1万円相当の商品がもらえる。同社は1993年の上場以来、減配をしたことがなく、減配リスクが少ないことにも注目したい。今期の年間配当は115円(前期は105円)と実に18年連続増配を計画している。なお、同じ内容の株主優待制度がある子会社の沖縄セルラー <9436> [JQ]も併せてチェックしておきたい。
【丸井G】 トータル利回り:5.27% 最低投資金額:18万4100円
丸井グループ <8252> の今期配当は前期比8円増の57円(中間期28円、期末29円)を見込む。配当に加えて、3月末と9月末に100株以上保有する株主を対象とする株主優待制度があり、保有株数によって1000円から5000円相当の買い物券とWebクーポンがそれぞれ年2回もらえる。更に、同社が発行する「エポスカード」保有者には3月末に1ポイント1円相当のポイントを1000ポイントから1万ポイント付与するという特典も付いている。
【ティーガイア】 トータル利回り:4.99% 最低投資金額:19万400円
携帯販売代理店トップのティーガイア <3738> は個人投資家に人気が高い優待品「クオカード」を発行するクオカード社の親会社。株主優待品はもちろんクオカードで、毎年3月末と9月末時点で100株以上を保有する株主を対象に、保有株数と継続保有期間に応じて年間2000円から5000円分を贈呈している。20年3月期の配当は前期と同額の75円(中間期と期末に37.5円ずつ)を実施する予定だ。
【エディオン】 トータル利回り:7.45% 最低投資金額:8万5900円
家電量販店大手のエディオン <2730> は、今年から優待品を値引券からグループ店舗で利用できるギフトカードに変更(金額は従来と同じ)するとともに、新たに長期保有特典を設ける。新制度では、毎年3月末に100株以上保有株主に対し、保有株数に応じて3000円から5万円分のギフトカードを配布。また、1年以上継続保有すると、保有株数1000株未満で1000円分、1000株以上保有で2000円分を追加で贈呈する。配当は年2回の実施で今期は前期比2円増の34円(中間期18円、期末16円)を予定している。
【みずほリース】 トータル利回り:5.84% 最低投資金額:19万1900円
みずほリース <8425> の今期配当は04年の上場から数えて15年連続の増配となる82円(中間期40円、期末42円)を計画する。最終利益が半減したリーマン・ショック後の09年3月期も増配を維持した実績を持ち、株主還元姿勢は魅力が高い。3月末は配当に加え、株主優待の権利確定日でもある。優待品はクオカードで、100株以上を保有する株主を対象に、継続保有期間2年未満で3000円分、2年以上保有する株主には4000円分を贈呈する。業績面では今期は最終利益ベースで7年連続の最高益見通しと安定成長を続けている。
【ヨシックス】 トータル利回り:4.41% 最低投資金額:19万500円
寿司居酒屋「や台ずし」を主力とするヨシックス <3221> は自前で持つ建築事業部を活用した低コスト出店を強みとし、売上高経常利益率13%台と同業他社と比べて高い収益力を誇る。株主優待は3月末と9月末に100株以上を保有する株主に、食事優待券3000円(300株以上保有者には5000円相当)と20%割引券10枚を贈呈する。食事優待券は割引券と併用することも可能だ。20年3月期の最終利益は6期連続で最高益を更新する計画で、配当は前期比2円増の24円(中間期と期末に12円ずつ)を見込んでいる。
【日神GHD】 トータル利回り:7.61% 最低投資金額:3万6800円
日神グループホールディングス <8881> は毎年3月末に100株以上保有する株主に対し、新築マンションと平川カントリークラブの割引券を贈呈してきたが、今年からクオカード1000円分を追加で配布する。また、今期配当は持ち株会社への移行記念配当を含めて18円(前期は16円)実施する方針だ。株主優待、配当ともに基準日は3月末の年1回で、27日に100株保有していると、クオカード1000円分と配当金1800円をまとめて獲得することができる。株価は300円台と手軽に購入できることも注目ポイントだ。
株探ニュース
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