―期末接近で高利回り注目局面、2月と3月の「優待&配当」権利取り候補をリストアップ―
株主優待への関心が高まりつつある。株主優待制度を導入する企業は2020年から減少の一途をたどっていたが、昨年スタートした新しい少額投資非課税制度(NISA)をきっかけに実施企業が増加に転じてきた。また、24年の年間株価上昇率ランキングの上位に株主優待が評価された銘柄が多く入るなど、優待制度の新設または強化に乗り出す企業の株価が急騰するケースも目立つ。今回は注目優待株がひしめく2月と3月の決算期末が近づくなか、株主優待と配当金を合算した利回りが高水準にある妙味株を探った。
●24年は優待新設が廃止件数を大きく上回る
株主優待は企業から投資してくれた株主に対して感謝を表すお礼品で、配当金とは違った形の株主還元手法として個人投資家に根強い人気を誇る。一方、機関投資家をはじめとする保有株数の多い株主にメリットは少なく、近年では「公平な利益還元」を理由に優待制度をなくす動きが増えている。また、新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化なども重なり、20年からは優待の廃止件数が新設件数を上回る状態が続いていた。
それが新NISAの開始を転機に23年に逆転し、24年は株主優待を新設もしくは再開した企業が120社超(株探調べ)と70社余りだった廃止企業の数を大きく上回った。中長期で株式を保有する株主を求める企業にとって個人投資家は貴重な存在であり、株主優待制度を採用、強化する動きはしばらく続きそうだ。足もとでは、安定株主の増加を狙って長期保有者を優遇する動きが増えている。
●これから権利確定月を迎える2月と3月の優待銘柄に注目
株主優待の権利確定月が最も多いのは3月で、次いで9月、12月、2月と続く。以下では、2月と3月に株主優待、配当の権利確定月を迎える企業の中から、株主優待と配当を合算した年間ベースの利回り(トータル利回り)が3.5%を超え、かつ業績が堅調に推移している銘柄を7社ピックアップした。なお、配当と株主優待を獲得するには、権利付き最終日(権利確定が2月末の企業は2月26日、3月末の企業は3月27日)に株式を保有することが必須条件となる。
※併記した「トータル利回り」「最低投資金額」は20日現在の優待品、配当、株価から算出
【クリレスHD】 トータル利回り:3.75% 最低投資金額:12万7900円
クリエイト・レストランツ・ホールディングス <3387> [東証P]はM&Aを活用した成長戦略のもと、和食、居酒屋、ベーカリーなど230を超えるブランドを擁する。幅広いグループ店舗で利用できる株主優待券は、手厚さと使い勝手の良さから好評を得ている。株主優待の対象は毎年2月末と8月末に100株以上を保有する株主で、保有株数に応じて年間4000~6万円分の食事券が配布され、更に400株以上を1年以上継続保有すると、年間4000~1万6000円分が追加でもらえる。14日に発表した3~11月期決算では税引き前利益が20%を超える伸びを示し、株価は上場来高値を大きく更新した。需給面では信用倍率が0.06倍と大幅に売り長で、一段の上値も期待されるところだ。
【ビックカメラ】 トータル利回り:4.10% 最低投資金額:16万1050円
ビックカメラ <3048> [東証P]の株主優待は、毎年2月末と8月末時点で100株以上を保有する株主を対象に、保有株数に応じて年間3000~5万円分の買い物券を贈呈するというもの。買い物券はビックカメラに加え、ソフマップ、コジマ <7513> [東証P]でも利用可能だ。また、継続保有期間が1年以上2年未満で1000円分、2年以上保有で2000円分がそれぞれ加算される長期保有特典もある。足もと25年8月期第1四半期(9~11月)業績は、旺盛なインバウンド需要を追い風に経常利益48億200万円(前年同期比56.8%増)と好調な滑り出しをみせた。株価は材料出尽くし感から売りに押されたものの、上向きで推移する200日移動平均線をサポートラインに下げ止まる兆しをみせており、押し目狙いのスタンスで注目したい。
【USS】 トータル利回り:3.83% 最低投資金額:13万4650円
中古車オークション運営最大手のユー・エス・エス <4732> [東証P]は、保有株数に応じた優待品を用意しており、100株以上で500円分のQUOカード、500株以上で2000円分の三井住友VJAギフトカード、1000株以上で5000円相当のグルメギフト、1万株以上で1万円相当のグルメギフトをそれぞれ年2回(3月末と9月末)贈呈している。指折りの連続増配株としても知られ、前期まで24期連続増配と国内企業で4番目の長さを誇る。また、27年3月期まで総還元性向80%以上の目標を掲げており、今期配当は年41円60銭(前期比実質3円90銭増)を計画するほか、昨年10月からは1000万株(発行済み株式数の2.08%)または100億円を上限とする自社株買いを実施中だ。
【エスリード】 トータル利回り:4.77% 最低投資金額:44万500円
エスリード <8877> [東証P]は近畿圏で供給量トップクラスのマンションディベロッパー。株主優待品は季節の旬な食品や全国の特産品などが掲載されたグルメカタログギフトで、毎年3月末時点で100株以上を保有する株主に対し、一律3000円相当を贈呈している。業績面では、25年3月期は経常利益段階で4期連続の最高益見通しと安定した成長が続く。好調な業績を背景に株主還元姿勢を強めており、上期決算発表とあわせて配当を年180円(前期は150円)に増額修正した。株価は昨年10月につけた上場来高値5080円をピークに調整局面にあるが、押し目買い需要が旺盛で下値の堅さが意識されている。
【青山商】 トータル利回り:5.86% 最低投資金額:21万6700円
青山商事 <8219> [東証P]は上期決算発表時に、資本コストや株価を意識した施策として、配当性向70%もしくはDOE(株主資本配当率)3%のいずれか高い方を採用する配当方針を打ち出し、25年3月期の年間配当を127円(従来計画は61円)に大幅増額修正した。更に30億円規模の自社株買いの実施を発表したことも評価され、株価は昨年12月17日に2363円と約5年7ヵ月ぶりの高値をつけた。ただ、足もとのPBRは0.6倍近辺と依然として水準が低く、追加施策の実施に含みを持たせている。なお、株主優待はグループ店舗で使える20%割引券で、毎年3月末と9月末時点の100株以上保有株主に対し、保有株数に応じて3~5枚を年2回贈呈する。6%近い配当利回りとともに株主還元妙味は大きい。
【サクサ】 トータル利回り:5.36% 最低投資金額:56万円
ネットワーク製品やセキュリティー機器を展開するサクサ <6675> [東証S]は、業績に連動しない株主還元策として、25年3月期から配当を年135円に設定し、配当利回りは4.8%台と高水準で推移している。また、昨年11月29日には株主優待制度を新設すると発表。株主還元面での魅力を一段と高めている。株主優待では毎年3月末時点で200株以上を保有する株主を対象に、5000種類以上の優待商品と交換できる「株主優待ポイント」(保有株数と保有期間に応じて3000~2万8800ポイント)を付与する。あわせて、通期業績見通しを上方修正することも明らかにしたが、指標面では予想PER7倍近辺、PBR0.5倍台と割安感が強く見直し余地は大きいとみられる。
【南陽】 トータル利回り:5.18% 最低投資金額:11万3800円
南陽 <7417> [東証S]は半導体製造装置などの産業機器や建設機械を取り扱う総合機械商社。株主優待は毎年3月末時点で100株以上を保有する株主を対象に、QUOカードを継続保有期間3年未満で1000円分、3年以上で1500円分を贈呈するというもの。25年3月期業績は期初段階で大幅減益を見込んでいたが、レンタル建設機械部門の稼働率向上や製造子会社の好調な業績を反映して上方修正に踏み切った。下期の増額幅は小さく増益転換も視野に入る。業績とともに年間配当も従来の40円から49円に引き上げ、配当利回りは4%を大きく上回る。一方、PBRは0.5倍台と解散価値の半分に過ぎず、予想PERも8倍前後と水準訂正余地が際立つ。
株探ニュース
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