日本リビング保証<7320>は、住宅業界をメイン市場として、住宅会社や住宅オーナーの困りごとを解決するソリューション企業である。創業メンバーの強いリーダーシップのもと、2009年の創業以来14期連続増収の持続的成長を果たしている。
1. 2023年6月期通期業績も大幅な増収・増益が見込まれ、経常利益は初の大台(10億円)突破へ
2023年6月期第2四半期累計業績は、売上高1,774百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益330百万円(同29.4%減)と過去最高の売上高を達成した。また、直近6年間だけでも売上高約3.2倍、営業利益約6.1倍(2017年6月期第2四半期累計比較)と急成長を遂げている。
事業セグメントは「HomeworthTech事業※」と「ExtendTech事業※」の2つからなり、両事業とも過去最高の売上高(HomeworthTech事業は1,051百万円(前年同期比15.7%増)、ExtendTech事業は672百万円(同3.1%増))を達成した。HomeworthTech事業の「地震あんしんサポート」などの新商品売上高の増加、ならびにExtendTech事業の再生可能エネルギー機器業者向けの受注拡大が大きく寄与した。
※2022年6月期までの「おうちのトータルメンテナンス事業」と「BPO事業」は、それぞれ「HomeworthTech事業」と「ExtendTech事業」に改称(2022年8月)
また、2023年6月期通期業績も売上高3,953百万円(前年同期比19.6%増)、営業利益860百万円(同32.2%増)と大幅な増収・増益が見込まれ、経常利益は初の大台(10億円)突破を目指している。
2. ワランティ(延長保証)ビジネスを拡張しながら、1.5兆円市場の業界No.1ポジションに挑戦
ワランティ(延長保証)は製品購入時に料金を払うことで、メーカー保証期間が終了した後でも一定期間、無償で修理・交換が可能になるサービスで、国内消費者心理(安心を買う)に適したビジネスである。国内では1990年代に登場し、大手家電量販店が自社の顧客サービスの一環で延長保証を始めたこともあって一気に普及した。その後は、自動車、携帯電話業界などで次々と普及し、2021年の国内ワランティサービス市場規模は1兆5,557億円の一大マーケットとなった。
そのなか、同社では2009年、住宅業界初となる「住設機器の延長保証サービス」の提供を開始した。その後、住宅業界のワランティサービスのトップリーダーの地位を固め、再生可能エネルギー、教育ICT、家電領域など周辺領域へ横展開してきた。さらに新規領域(モビリティ、サイバー、音楽機器、電子端末)でのワランティサービス創出にも次々と取り組んでいる。国内ワランティサービス市場は1.5兆円規模のメガ市場であるが、同社が“業界No.1ポジション”という大きな目標を掲げ、それに向かって突き進むことを弊社では期待している。
3. DXに向けた経営陣の“本気度”が伝わってくる
企業ビジョンでも、「保証」「金融」「オペレーション」の3領域をデジタル技術で融合すると強調しているように、同社にとっては、デジタル技術とデジタルプロダクトの開発はキー戦略となっている。保証サービス業界では紙ベースからのデジタルシフトが加速するなか、スマートフォンやタブレットを使って、保証契約の閲覧や手続き、決済がワンストップでできる体験価値を創れるかが勝ち残れる条件となっている。そのような閲覧・手続き・決済処理ができるアプリやクラウド連携のことを“デジタルプラットフォーム(サービスを提供する場)”と呼ぶ。同社は中立かつ自立した事業者であり、保証サービス業界の“デジタルプラットフォーマー”として相応しい存在である。ExtendTech事業では、これまで保証書は紙ベースで発行していたが、2023年春より保証サービスのアプリ「My Warranty」を投入し、保証業務の標準化・DXを実現する。保証申込・保証書管理・修理受付が全てスマートフォンで完結し、利用者の利便性が格段に高まる。
また、デジタルプロダクトの開発推進に向けて、デジタル人材・システム投資を継続的に強化している。特にデジタル人材採用には積極的で、今期は多数の中途採用実績があり、優秀なデジタル人材が確保されている。
さらに、SaaS/DXベンチャーキャピタル(Seed SaaS DX Fund)へ1億円出資しているが、同ファンドを通じて、アプリ開発ベンチャーなどの動向を常時ウォッチングする体制を整え、M&A推進を加速化するのが狙いで、同社経営陣のDXへの本気度が伝わってくる。
■Key Points
・2023年6月期通期業績も大幅な増収・増益が見込まれ、経常利益は初の大台(10億円)突破へ
・ワランティ(延長保証)ビジネスを拡張しながら、1.5兆円市場の業界No.1ポジションに挑戦
・DXに向けた経営陣の“本気度”が伝わってくる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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