28日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は216.73ドル安(-0.55%)の38852.86ドル、ナスダックは99.09ポイント高(+0.59%)の17019.88、S&P500は1.32ポイント高(+0.02%)の5306.04で取引を終了した。米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派発言を警戒した売りと、半導体セクターの買いが交錯し、寄り付き後、まちまち。5月消費者信頼感指数が4カ月ぶり上昇したほか、2年債や5年債の入札結果が低調で金利上昇が嫌気され、ダウは続落し終日軟調に推移した。一方、ナスダックは、エヌビディアの上昇がけん引し、過去最高値を更新しまちまちで終了。
米国市場でナスダックが史上最高値を更新したことなどから、東京市場はやや買い優勢で取引を開始した。日経平均は5月23日以来となる39000円台を付ける場面も見られたが、長期金利が上昇するなか、買いは続かず、前日比マイナス圏で前場の取引を終えた。ただ、保険や銀行など金利上昇メリット銘柄が買われたことから、プライム市場の売買代金は2.2兆円と商いは前日比で増加した。
日経平均採用銘柄では、25年度のROE目標を10%から9%に引き下げたことから三菱電機<6503>が下落したほか、国内証券会社のネガティブなレポ―トが影響して帝人<3401>も売られた。また、三菱重<7011>は新しい中期計画発表も材料出尽くし感が先行し下落。京成電鉄<9009>、川崎重<7012>、日立造船<7004>、ダイキン<6367>
が売られた。
一方、金利上昇などを材料に、SOMPOホールディングス<8630>、T&Dホールディングス<8795>、MS&AD<8725>、第一生命ホールディングス<8750>など保険株が買われたほか、コンコルディア<7186>、しずおかフィナンシャルグループ<5831>、三菱UFJ
<8306>など銀行株が上昇。また、一部国内証券会社のレポートを材料にソフトバンクG<9984>も買われた。
業種別では、海運業、ゴム製品、水産・農林業、陸運業、空運業などが下落した一方、保険業、鉱業、銀行業、その他製品、精密機器、石油・石炭製品などが上昇した。
長期金利の指標である新発10年物国債利回りは一時1.065%まで上昇するなど上昇基調は継続している。ただ、米10年債利回りも4.5%まで上昇したことで、日米金利差は3.4%ほどのままである。為替は1ドル157円20銭台と昨日よりは円安に振れているが、上値は重くなっている。日銀の安達誠司審議委員は、午前の熊本県金融経済懇談会で「(持続的・安定的な物価上昇)の達成確信までは緩和的な環境維持が重要」とハト派な発言を行ったが、国債購入に関しては「需給など総合的に勘案、段階的に減額」とも発言したことで、金利のじり高が継続する可能性もある。銀行株や保険株への刺激材料となりそうだが、後場の日経平均は様子見ムードが強まり、前日比マイナス圏での推移が続きそうだ。
<AK>
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