1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
フォースタートアップス<7089>の2022年3月期第2四半期累計業績は、売上高が1,094百万円、営業利益が317百万円、経常利益が316百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が218百万円となった。また、通期計画に対する進捗率については、売上高で49.7%、営業利益で70.4%、経常利益で70.2%、親会社株主に帰属する当期純利益で70.3%と順調に推移している。2021年5月にフォースタートアップスキャピタルを設立し、同子会社を通じてフォースタートアップス1号投資事業有限責任組合を新たに設立したことに伴い、2022年3月期第2四半期から連結決算に移行した。
同社は収益性が高いことが特徴で、2022年3月期第2四半期累計の営業利益率は29.0%であった。また、市場環境も好調で、成長性も高い(詳細は後述)。下期は人員増、オフィス拡張など積極的な先行投資を実施する予定ではあるものの、中長期的な視点での収益性は良好と弊社では見ている。
受注高については2020年4月の第1回緊急事態宣言発令時を底に回復傾向となっており、高水準で推移していることから、今後もコロナ禍の影響を受ける可能性は低いと弊社では見ている。
また、同社は人材への投資を積極的に行っており、2022年3月期第2四半期末の正社員数は前期末比22名増加の109名となった。2022年3月期では年間50名程度の増員を予定し、第2四半期までは計画どおり推移していることから、さらなる成長が見込めると弊社では予想している。
2. サービス別動向
(1) タレントエージェンシー
タレントエージェンシーの売上高は1,050百万円(売上高比率95.9%)となった。求人案件数については、2021年3月期上期はコロナ禍により顧客の多くが採用計画を見直したことでコロナ禍前と比較し減少したものの、下期に徐々に回復、2021年3月時点でコロナ禍前の水準に戻り、2022年3月期第1四半期以降も比較的安定した成長が続いている。また、人材支援人数についても第1四半期から引き続き高水準で推移しているほか、採用ニーズの高い企業や経営幹部層・エンジニアなど、需要の高いポジションの支援強化に継続して取り組んだことで、継続的な売上高成長を実現している。これらの結果、2022年3月期第2四半期の売上高は、四半期ベースで過去最高を更新した第1四半期に続き、同水準を記録した。
(2) オープンイノベーション
オープンイノベーションの売上高は44百万円(売上高比率4.1%)となった。コロナ禍を契機に、従来の大手企業のオープンイノベーション関連投資は全般的に見直しが図られているものの、新規事業創出や既存事業変革、既存オペレーションのDX化に対して優先度高く向き合う大手企業の予算は引き続き底堅く推移している。2022年3月期第2四半期は、「Public Affairs」において、第1四半期から引き続き地方自治体の主催するインキュベーションプログラムなどにも積極的に連携を図り営業先を拡大したこと、スタートアップ企業の資金調達を支援する「資金調達支援」の売上貢献が始まったことなどが寄与した。
売上寄与は小さいものの、「STARTUP DB」に蓄積された豊富なデータベースやベンチャーキャピタル・起業家とのネットワークなどの構築が進んでいることに加え、市場は底堅く推移している。加えて、資金調達支援によってさらなる企業成長を促進する方針を掲げていることから、同サービスの業績寄与は今後さらに高まると弊社では予想している。また、同サービスの成長に伴い、大手企業や官公庁との関係性も強化されることから、中長期的な選択肢・ポテンシャルの拡大につながる可能性も高いと弊社では見ている。
3. 財務状況
2022年3月期第2四半期末の資産合計は1,800百万円となった。主な内訳は、現金及び預金1,393百万円、売掛金228百万円、投資その他の資産112百万円であった。負債合計は535百万円となった。主な内訳は、未払金144百万円、1年内返済予定の長期借入金66百万円、未払法人税等112百万円、賞与引当金52百万円であった。純資産合計は1,264百万円となった。主な内訳は、資本金212百万円、資本剰余金212百万円、利益剰余金839百万円であった。
2022年3月期第2四半期末の現金及び現金同等物の期末残高は1,393百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは375百万円の収入となった。これは主に、税金等調整前四半期純利益316百万円、売上債権の増加額37百万円、未払金の増加額48百万円、未払消費税等の増加額28百万円によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは4百万円の収入となった。これは主に、投資事業組合からの分配による収入7百万円、敷金及び保証金の差入による支出2百万円によるものである。財務活動によるキャッシュ・フローは29百万円の支出となった。これは主に、長期借入金の返済による支出33百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入4百万円によるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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