＜話題の焦点＞＝腕時計メーカー、高級化戦略で活路開く

　リーマン・ショック後の景気低迷や、輸入品拡大により、苦戦を強いられていた日本の腕時計メーカーに復調の兆しが見えはじめた。アベノミクスの景気浮揚策により、時計・宝飾品需要が回復傾向にあるが、これが国内メーカーの高級化シフトと相まって功を奏している。日本時計協会の集計によると、２０１３年の国内時計メーカーの腕時計完成品の総出荷額（輸出と国内出荷の合計）は、２１４５億円（前年比１６％）と２ケタの伸びをみせた。

　シチズンホールディングス<7762.T>は、１５年３月期の時計事業について、売上高１７１５億円（前期比５．８％増）、営業利益２００億円（同１６．２％増）を見込む。欧米など先進国での完成品の販売好調や、中国向け中心にムーブメントの需要増が寄与する。今期の連結業績は、売上高３２７０億円（前期比５．５％増）、営業利益２７０億円（同１３．９％増）を予想。

　セイコーホールディングス<8050.T>は、高価格帯商品の「グランドセイコー」、「クレドール」はじめ、中低価格帯商品のレディスウオッチ「ルキア」など、幅広い価格帯で売り上げ拡大を目指す。

　カシオ計算機<6952.T>の１５年３月期の時計事業は、ＧＰＳ（衛星利用測位システム）と電波受信のハイブリッドモデルや、スマートフォン連携ブルートゥースモデルなどの高付加価値商品を投入することで拡大を目指す。腕時計部品関連銘柄では、精密部品加工を担当するスター精密<7718.T>、水晶部品関連の日本電波工業<6779.T>、大真空<6962.T>などがある。

◆主な腕時計関連銘柄

銘柄（コード）　　　今期営業増益率　　　株価　　　ＰＥＲ

日本電波<6779.T>　　　　６．２倍　　　８２４　　１３．４
カシオ<6952.T>　　　　　３１．７　　１３１２　　１５．３
大真空<6962.T>　　　　　４０．１　　　３７２　　２９．６
スター精密<7718.T>　　　８０．３　　１２９３　　１５．１
シチズンＨＤ<7762.T>　　１３．９　　　７６０　　１４．８
セイコーＨＤ<8050.T>　　１４．２　　　４１３　　　８．５

※株価は２２日終値（単位：％、円、倍）


出所：株経通信（株式会社みんかぶ）